金森&岩崎の今季初得点で残留決定 福岡2-1柏
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サッカーJ1リーグアビスパ福岡は3日、ホームのベスト電器スタジアムに柏レイソルを迎えて第35節の試合を行った。
長谷部茂利監督の退任が正式に発表されたアビスパ。リーグ戦6位以上という今シーズンの目標達成は難しくなったものの、これまでの積み上げを最後まで表現し、勝利を積み重ねたい。堅守に加え、攻撃でもいいプレーが出てきたここ数試合の流れを継続したいところだ。
対する柏はリーグ17位と残留争いに巻き込まれ、難しいシーズン終盤を迎えている(18位以下がJ2降格)が、パリ五輪代表FW細谷真大をはじめ、個人能力が高い選手が揃うラインナップは破壊力抜群だ。
前日の大雨が嘘のようにすっきりと晴れ上がった青空の下でキックオフを迎えたこの試合は、ファーストプレーから波乱含みとなった。キックオフ直後、自陣からのロングボールを右サイドで競り合ったアビスパDF小田逸稀が、背中からフィールドに落ちて腰を強打してしまう。強靭なフィジカルが特徴の小田だが、自力では起き上がれず、そのまま担架で退場、負傷交代となってしまった。
FWウェリントンを累積警告による出場停止で欠き、前線のターゲットとして期待されたDF小田までも失ったアビスパ。柏の守備陣はDF古賀太陽、DF犬飼智也ら長身の選手が揃い、小柄な選手が多いアビスパの攻撃陣は競り合いで劣勢に立つ場面が増えた。だが相手の背後へのパスや足元への鋭いパスへと攻撃パターンを切り替えたアビスパは、2回、3回と波状攻撃をかけるシーンが増えていく。
これがついに実ったのが、前半終了間際の40分。DF小田に代わってピッチに立ったDF亀川諒史が右サイドにパスすると、ここに走りこんでいたMF重見柾斗がグラウンダーの速いクロスをキーパー正面に送る。そこに斜めに走りこんできたFW金森健志が相手GKの目の前でうまくボールを跳ね上げ、先制ゴールを挙げた。金森にとってはこれが今シーズン初ゴールとなった。金森は得点後、攻守にわたってさらなる躍動を見せる。ドリブルで相手陣内に侵入し、2人に囲まれてつぶされそうになりながらも必死にボールをキープ。「博多のプリンス」と呼ばれる金森がサポーターに愛されるのは、その甘いマスクや華麗なプレーではなく、泥くさく必死にボールを追う姿勢があるからだ。
1点リードで前半を終えたアビスパだったが、柏が意地を見せたのは後半開始早々だった。48分、アビスパFW金森のドリブルがカットされたところから柏がカウンター。FW細谷が前線でボールを受け、FWマテウス・サヴィオに落とす。Jリーグ屈指のテクニシャン、サヴィオの芸術的なシュートがアビスパゴールに突き刺さった。MF前寛之のスライディング、GK永石拓海のセービングも惜しくもおよばず、同点ゴールを喫してしまう。
その後は両チームとも勝ち越しゴールを目指して選手交代のカードを切るが、最後に笑ったのはアビスパ福岡だった。アディショナルタイムの92分、MF前のフリーキックからDFドウグラス・グローリがシュート。このこぼれ球を、途中出場のFW岩崎悠人がさらにシュートを放つ。相手DFにあたってコースが変わり柏ゴールに吸い込まれ、これが決勝点となった。岩崎にとって、これがうれしいシーズン初ゴールとなった。快足を飛ばして縦横無尽にピッチを走り続けてきた岩崎が、ようやく報われた瞬間だったといえるだろう。
試合は2対1でアビスパが勝利。順位は2つ上がり、9位となった。なおこの試合の結果、アビスパのJ1残留が決定したが、この時点では選手たちや長谷部監督、チームスタッフや取材メディアもこの事実に気づいておらず、試合後の記者会見でもとくに質問などはなかった。ほほえましいエピソードにも見えるこの「残留見落とし」だが、これこそがアビスパが長期目標としてきた「J1定着」をはたしている証拠なのではないだろうか。
今シーズンの残り試合はあと3試合、ホームゲームは11月30日の浦和レッズ戦を残すのみとなった。浦和戦終了後にはホーム最終戦セレモニーが行われる。長谷部監督を含め、今のメンバーをベススタで見られるのは浦和戦が最後となる。ぜひ、彼らのプレーを目に焼き付けよう。
【深水央】
法人名
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