2024年11月05日( 火 )

維新馬場代表が首班指名で野田代表と書く可能性

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 立憲民主党の野田代表は10月30日、維新の馬場代表と共産の田村委員長とそれぞれ党首会談を行い、首班指名選挙の決戦投票で「野田」と書いてもらうように働きかけた。

    政権交代の実現には、過半数を超えた非自民勢力を結集することが不可欠。そのために石破内閣不信任案を共同提出した維新と共産と国民民主への働き掛けを開始、玉木代表だけが即座の党首会談を拒否したが、残りの二党は応じたのだ。

 その効果もすぐに現れ始めたようだ。10月29日放送のBSフジ『プライムニュース』で馬場代表は、首班指名決選投票について「どちらかに入れると軍配をそっちに上げるということだ。軍配を真ん中に据えておけば、いつでも物言いをつけたりできる」と発言、石破首相にも野田代表にも投票しない考えを示していたが、30日の党首会談後の囲みで、大義や具体的な政治改革案があることを条件にしながらも野田代表と書く可能性を全否定はしなかった。31日の朝日新聞が「『立憲・野田首相』へ投票要請に共産は前向き検討、維新『大義を』」という見出しで報じたのはこのためだ。

 そこで私は31日、大阪での執行役員会後の会見で同主旨の質問をした。

 ――来週は自民党とも会うが、立民とどちらが政治改革の道筋をつけられるのかを見極めたうえで、石破さんか野田さんかに入れるのかを決めるという理解でいいのか。

 馬場 決戦投票は無効になっても一回目に投票する人間の名前を書く可能性が高い。あまり時間がないですから。この間も野田代表とも話をしたが、何か、そんなにスピード感をもって、政治とお金の問題や我が党と大きく違う政策を完全に詰めてしまおうという感じはあまり受けなかったので、どちらもそうだと思う。自民党も立憲民主党も。そういうファジーな感じのときにどちらかに軍配を上げるのは良くないと思う。

 ――野田代表が「(決選投票で)野田さんと書いて欲しい」といったことは、(首班指名選挙がある11月)11日までに立民の(政治改革の)道筋を白黒つけるということではなかったか。

 馬場 それは、10月のときにも野田さんの講演(維新勉強会)をベースに政治資金法改正、公職選挙法改正、これらを法案にして、野田代表が誕生した直後に渡して、「解散前に出しましょう」ということをもちかけたが、「最終的には時間切れ」という答えだから、やっぱり今回、(立民の)人数も相当増えているし、なかなか意思決定。もともと立憲が弱い部分だと思うから、すぐに意思決定できるとは我々は見ていないということだ。

 ――(政治改革の道筋をつける)意思決定ができれば、可能性はあると。
 馬場 そうだ。

 立民の意思決定の遅さを指摘しながらも、早急に政治改革の道筋が明らかになれば、野田代表と書く可能性は残っていることを明言したのだ。

 そこで11月1日、野田代表会見で次のように聞いてみた。

 ――(国民民主党と)同じように不信任案を出した維新は、昨日大阪で馬場代表が会見をしたが、野田代表を勉強会に招いて政治改革について議論をして、政治改革実現の道筋がつけば、決選投票で野田さんと書く可能性もあるというふうに言って、玉木代表のように頭から否定していなかったが、ただ一方で馬場代表は「そんなにスピーディーに立民が意思決定できるのか」というふうに言っていたが、政治改革の道筋をつける維新との協議は早急にまとまる可能性はあるのか。

 野田 考え方を整理している。この間、政権公約のなかで打ち出した政治改革のなかで企業団体献金の廃止であるとか、政策活動費の廃止とか、いろいろ書いてあるので、それは、維新の皆さまに理解をいただけるものだと思うし、加えて、パッケージで国会改革の話も、与党審査を含めて裏の政治を止めて表に全部していこうということなどを含めて、パッケージで提案をしてはどうでしょうかというところまで会談を進めている。

 ――ということは、(維新と)スピーディーにまとまる可能性があると。「野田政権が誕生した場合には政治改革の道筋がつく」と。

 野田 少なくとも政治改革については本気で進めていくことは、「やる」という前提で協力をお願いするということだ。

 先の朝日新聞の報道の通り、共産党の田村委員長は決選投票で野田代表と書くことを前向きに検討すると表明しており、立民と維新の協議が合意に至れば、内閣不信任案を出した4党(立民・維新・国民民主・共産)のうち3党の足並みがそろうことになる。
国民民主党だけがそうそうと「決選投票でも玉木雄一郎と書く」と宣言。自公政権延命をアシストするかたちになっており、「自公過半数割れで政権交代を望む民意を裏切る国民民主党」という批判がさらに強まる可能性が出てきたのだ。

 11日の首班指名まで与野党の駆け引きが続くのは確実。当分、永田町から目が離せない。

【ジャーナリスト/横田一】

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