【BIS論壇No.461】医療先進国・キューバ
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NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は11月6日の記事を紹介する。BIS創設10周年記念にBISで何度かご講演いただき、筆者がインド・ニューデリー駐在以来長年お世話になっていた馬淵睦夫駐キューバ大使のお招きもあり、BIS関係者18名のミッションを2001年9月に1週間キューバに派遣した。駐日キューバ大使館のお世話もあり、以来20年以上、キューバ大使館とはご縁がある。
BISでは世界的な心臓外科の臨床医として有名なNY医科大学の故・広瀬輝夫教授のご指導もあり、同教授が創設された国際伝統・新興医療融合協会国際会議を毎年開催。自然伝統医療研究で抜きん出ているキューバからも在日キューバ大使館の御協力で毎年、有名なキューバの自然伝統医療および先端医療に関しご講演をいただいており、感謝している。
キューバは伝統医療と現代医療を融合させ、医療分野では最先端医療先進国であるが、日本では認識不足であることは否めない。
たとえば国民1人あたりの医師数が最も多い国の1つでもある。1,000人あたりの医師数は日本が2.3人に対し、キューバは6.7人で日本の3倍の医師数で医療先進国である。平均余命も79歳で米国並みだ。とくに災害医療、医療外交は有名で、年間4万人を国際災害支援、世界のハリケーン、地震災害地に派遣している。また先のコロナ禍においてもワクチンを5種類開発、発展途上国に供与したことで有名だ。
医療先進国キューバは1959年のキューバ革命以来、65年で社会保障、医療、教育の無償化を行い、識字率も先進国並みの99.75%(2002年)に達している。
「成長より分配」「社会的公正」を優先する政治哲学で1990年には自然伝統医療を活用し、予防医療を推進する政策を樹立。革命の戦士、チェ・ゲバラが医者であった関係もあり、さらにカストロの弟ラウル・カストロが1990年来、近代医療と自然伝統医療のハイブリッドの統合医療(融合医療)、予防医療、伝統、相補、代替医療の併用に注力。伝統、新興医療の先進国とみなされるようになった。
2000年前後には家庭医、看護師からなる家庭、地域医療に注力。このコンビは600人から1,500人単位でハーブ、薬草を家庭で栽培。自然伝統医療とのハイブリッド健康教育を初等少学年から開始。教育費は大学まで無償。さらに社会保障、医療費用も無償の先進国顔負けの社会制度を整備。社会保障、医療、教育分野において米国はもとより日本も顔負けの「健康は自分でつくり、自分で維持する」をモットーにカリブ海の夢の理想的社会システムを構築している。
日本では1970年代に伝統、民間医療は消滅しているが、キューバの民間伝統医療を見習い、日本でもさらなる伝統医療、新興医療の両立、融合に尽力すべきと思われる。
<プロフィール>
中川十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)。関連キーワード
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