糸島に九州最大規模・300MWデータセンター建設 アジアのハブDCとなるか
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5日、不動産投資・開発を行うアメリカ企業のアジア・パシフィック・ランドグループ(APL)は、福岡県糸島市にデータセンターを建設することを発表した。投資額は3,000億円超、規模を示す総受電容量は最大300MWで九州最大規模になる。
建設予定地は、西九州自動車道の前原インターチェンジ近辺の約12万m2の敷地。着工は2025年春の予定で、29年はじめに2棟程度を稼働し、その後、34年中に全部で6棟の稼働を目指す。全体稼働時に300MWとなる。
APLは昨年にも、北九州市学術研究都市内の6万3,000m2の用地に投資額1,250億円をかけて総受電容量120MWのデータセンターを建設することを発表していた。
DC最適立地としての日本
世界は目下データセンター(DC)の建設ラッシュにあり、そのなかで日本は好立地の1つとして注目されている。現在国内で建設ラッシュが続いているのは需要が最も多い関東、関西だが、日本がDC建設地として世界的にも好立地とされる理由は、日本がアジア・アメリカの中間点にあり、また地政学的に安定していること、海底ケーブルのハブとしての役割を担っていることなどがある。
詳しくは既報記事をご覧いただきたい。
『AI・データセンターとエネルギー戦略 そしてエッジ・コンピューティングの未来』DC立地としての九州の可能性
今回、北九州に続き福岡近隣でもいよいよハイパースケールデータセンター(HSDC)が建設されることとなった。
では、今後九州でもDCの建設計画は続くのか。それについては九州でDCが建設される理由について理解する必要がある。
北部九州は福岡市のような国内有数の大都市があるとはいえ、現状、大規模なDC建設の直接の動機となる大需要地にはなっていない。よってまず九州へのDC建設の動機はリスクヘッジにある。国内で見れば、南海トラフ地震など太平洋地域での災害に対するリスクヘッジと、地政学的な流動性が不安視される東アジア諸地域への距離的な近さからの利用、つまり、国内のリスク分散と、東アジアでのリスク分散において九州の立地が注目されるということだ。
そして、地理的な好立地性を後押しするのが将来的な電力戦略だ。DCは何万世帯分にも相当する大規模な電力の24時間安定供給を必要とする。
九州電力は今年7月から川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の1号機が20年の運転延長に入った。同社の池辺社長は、小型モジュール炉(SMR)の新設に意欲を見せるほか、国の次期エネルギー基本計画でも「原発新設」の明記を求める考えを示すなど、積極的な原発推進姿勢を打ち出している。
福岡はまだDCの大需要地とはいえず、DC建設には収益性の確保が課題になると見られるが、本来の大需要地である関東や関西近辺でDCに必要な大規模な土地や電力を確保するのが難しくなりつつあるなかで、北部九州はアジアへの海底ケーブル陸揚げ局への近接性による東アジアのリスクヘッジとしての機能をアピールしつつ、今後日本のDC戦略における国内第3のハブとして存在感を示すことになるのか、注目される。
【寺村朋輝】
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