“斉藤劇場”第3幕 兵庫県知事選で買収疑惑浮上
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まるでジェットコースターのようなアップダウンのある“斉藤劇場”の第三幕が開幕した。約半年にわたって文書問題を追及されて全会一致の不信任決議案可決で9月末に失職したのが第一幕で、「兵庫県知事選(11月17日投開票)」で奇跡の逆転勝利をした第二幕が閉じた途端、公選法違反の「2馬力選挙」(11月21日の本サイト記事「斉藤兵庫県知事、立花党首と共犯で公選法違反なら失職の可能性も」参照)に加えてPR会社買収疑惑も浮上、再び知事選となる可能性が高まったのだ。
元東京地検検事の郷原信郎弁護士と神戸学院大学の上脇博之教授は12月2日のリモート会見で、斎藤知事とPR会社社長に対する告発状を兵庫県警と神戸地検に郵送したと発表。翌日に告発状を公開した。
発端は、投開票から3日目の11月20日に、PR会社の折田楓社長が投稿した「note」。ここでSNSの広報戦略を斉藤知事にプレゼンするなどの選挙活動を詳細に記載したことから、ネット上で「公選法違反ではないか」と大炎上。江東区長がネット有償広告を出して辞職したことを見てもわかるように、公選法は業者に報酬を支払うことを禁止しているため、県知事選で斉藤知事がPR会社に支払った71万5,000円はSNS選挙運動の対価で公選法違反の買収に当たると告発したのだ。
これに対して斉藤知事側は、報酬はポスターのデザイン料などの成果物の対価であり、折田氏はボランテイアで参加したとして公選法違反を否定した。しかし斎藤知事が極めて疑わしい動きをしていたことが11月27日に発覚する。大炎上後、折田氏のnoteの一部が削除や改竄をされていたのに、代理人の奥見司弁護士は把握していなかったのだ。公選法違反に問われかねない問題部分の証拠隠滅としか見えない行為を代理人にも隠していたのだ。
再選後初の知事会見が開かれた11月27日、買収疑惑に関する相次ぐ質問に対して斎藤知事は「代理人弁護士に一任」という逃げの答弁に終始。しかし、その直後に開かれた代理人の弁護士会見(斉藤知事は同席せず)で、私との質疑応答でnoteの削除や改竄を知らなかったことがばれてしまったのだ。
──「#(ハッシュタグ)斎藤(元)知事がんばれ」というのは、まさに9月29日にPR会社のオフィスでプレゼンを受けたときのプレゼン資料のなかにも入っている。そのタイトルが「広報(SNS)戦略の提案」。ポスター制作とか成果物だけではなくて、広報全般に対する提案になっている。その後、見積もりも出ていることからすると、これは明らかに業務としての提案。ボランテイアではなくてPR会社のプロとしての提案が、「#(ハッシュタグ)斎藤(元)知事がんばれ」を含めて採用されたという理解になるのではないか。こう考えるのが普通ではないか。
奥見 私もnoteの記事を見たときにそのように思った。ただ後から(斎藤知事選対の)皆さんに確認をしたところ、この note に書かれている「#さいとう元知事がんばれ」は、9月29日に社長に示されたものにはなかったというふうに聞いている。
──でも(投稿されたnoteにある)写真に写っているではないか。(PR会社オフィスでのプレゼン)写真のなかにいま話が出た(斎藤選対幹部の)片山(喜一郎)さんと斎藤さんの画面に出ているではないか。「兵庫県知事選に向けた広報(SNS)戦略のご提案」という画面になっていて、その下に「(#)斎藤(元)知事がんばれ」と書いてあるではないか。この段階で折田さんがキーワードになる「#(斎藤元知事がんばれ)」を提案して採用された。これは、まさにプロの仕事の成果ではないか。ボランテイアなんて嘘八百言わないでください。
奥見 こちら側の認識としましては、「#さいとう元知事がんばれ」というものが決められたのは10月に入ってから、3人、4人の話し合いで決められた(と認識)。
──それは9月29日に提案されて、それを採用したということではないか。プロのPR会社の提案を受けて、それ(#)が流れを変えたと。これも折田さんがボランテイアでやったということか。
奥見 そうです。
──PR会社がプロとして見積もりも出した内容を後から「ボランテイアでやった」なんてという言い訳は常識的に考えて通用するのか。
奥見 見積もりのなかにハッシュタグ(#)とかSNS戦略は含まれていない。
──でも最初のプレゼンが広報(SNS)戦略全般についてプレゼンをして、#のことも(プレゼン資料の表紙に)入れて、実際に#の統合、ブランドイメージが統一されたと。いくつかあったアカウントが統合されて効果があったのは紛れもない事実。noteの内容、折田さんの指摘、仕事の内容と実際の現実が一致しているではないですか。
奥見 #の認識としては10月に入って決められたと。
──最初のnote、ご覧になっていますか。あとから削除されたものを見て会見に臨んでいるとしたら会見をやり直さないといけないと思うが、そのへん、確認をしたのか。先生が見たのは何日付のものか。
奥見 私がこの話を聞いたのは先週の金曜日(11月22日)ですので、そのときに直ちにプリントアウトしていますので、多分、その(11月22日の金曜日)。
──改ざん削除される前のものを見たという理解でいいのか。
奥見 22日に改ざん削除があったとして、まったく把握していないので。
──それ、確認してくださいよ。
奥見 改ざんしている、していないを問題にしていない。
──弁護士だったら、そういう意図的な犯罪的行為を隠蔽しようとする削除行為を見抜かないといけないではないか。ちゃんとチェックしたのか。
奥見 まったくしておりません。(会場から笑い)
──もう1回、(記者会見を)やり直してください。
奥見 削除した、削除していないは、PR会社および、その社長にかかる話で。
──そこの改変が一番重要なのですよ。公選法違反の疑いが強いから徐々に削除しているわけだ。そこをチェックしないで会見に臨むなんて弁護士失格ではないか。出直してきてください。最初のを見てください。
奥見 (折田氏の)noteに何が書いてあるのかは正直問題ではない。
──そこが発端ではないか。何、とぼけたことを言っているのか。
奥見 客観的な事実として公職選挙法等の違反があったのかどうか(が問題)。
──それは、noteの改ざん前のを見れば、生々しく語られていると。それを改ざんしたということは後ろめたさがあったと。犯罪的行為を隠蔽したいという意図があったのはみえみえではないか。そこをチェックしないで会見に臨むなんて弁護士失格ではないか。斉藤知事を呼び出して説明させてください。改変前と会見後の内容をいま、ここに斎藤知事にもって来させて、説明させてください。先生に改ざん後のデータだけ見せて会見に臨ませるなんて、とんでもない話ではないか。ちょっと斎藤知事を呼び出してください。
奥見 無言(司会者に質疑応答を打ち切られる)
この弁護士会見は「〈ツッコミどころ満載会見〉『斎藤さんをここに呼んで!』知事に釈明を丸投げされた代理人は、改変前の“折田note”を読んでおらず…」と銘打った11月28日の集英社オンラインで紹介され、12月1日放送のサンデーモーニングも「PR会社が『広報全般任された』投稿、後に削除」と題して質疑応答の一部が紹介された。郷原氏と上脇氏が告発した公選法違反の買収疑惑は、代理人の釈明で鎮静化するどころか、ますます疑惑が深まることになったのだ。今後の兵庫県警と神戸地検の動きが注目される。
【ジャーナリスト/横田一】
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