2025年01月23日( 木 )

批判的発信を続けたら国民民主党が記者排除(会見締出し)

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    総選挙終盤から約1カ月にわたって国民民主党への批判的発信(記事や動画など)を続けたところ、会見から締め出されることになった。11月26日の玉木雄一郎代表会見までは参加できていたのだが突然、12月6日の榛葉幹事長会見への参加不可を告げられた。理由は「質問を遮るなどのルール違反」(報道担当の杉田氏)とのことだったが、ルール違反の日時や内容などの根拠を示すことはなく、「私たち主催の会見で参加者について判断するのに何が問題があるのか」(同)と開き直ったのだ。

 思い当たる節はあった。自公過半数割れの可能性が高まりつつあった総選挙終盤の10月24日、野党か与党か分からない「ゆ党」的な対応を始めた玉木雄一郎代表の追っかけ取材を開始。10月30日の本サイト記事「総選挙後に『ゆ党』に豹変、国民騙しの玉木氏の野望」を皮切りに、以下のような批判記事を次々と発信した。

『#国民民主党に騙されたな』民意裏切りの玉木代表」(11月1日)
石破政権延命アシストの玉木代表の嘘八百(事実誤認) 決選投票白票の根拠瓦解」(11月6日)
『国民だまし党』『国民自民党』玉木代表の大嘘と言論封殺体質」(11月8日)
『国民だまし党』『国民自民党』玉木代表が再び石破政権延命アシストの虚偽発言(事実誤認)」(同)
玉木代表に不倫報道直撃 首班指名再検討」(11月12日)

 記事執筆の狙いは、国民民主党の“ゆ党”ぶりを明らかにすること。自公の過半数割れで12年ぶりの政権交代のチャンスが訪れたのに、玉木代表は「首班指名で玉木雄一郎と書く」と総選挙直後から宣言、4倍増となった国民民主党(28票)が白票となるため、石破政権延命をアシストする動きをしていたためだ。

 兵庫県知事選での公選法違反が疑われる立花孝志・N国党首による誹謗中傷に対する国民民主党の対応も問題視。11月19日と26日の玉木代表会見で次のように問い質した。

 ――(国民民主党の補選予定候補だった)高橋茉莉さんを立花孝志が誹謗中傷していたことについて一言。死に追いやった原因を立花孝志がつくったことに対して、国民民主党は何か抗議をしたのか。「誹謗中傷をやめるように」とか。

 玉木 いずれにしても、個人のプライバシーということについては、これだけ既存のメディアのみならず、さまざまなメディアが出てくるなかで、相手やその背景にいる人たちに対する人に配慮を欠いた、時に、文字通り人を殺してしまうことにもつながりかねない問題です。

 ――立花氏に抗議したのか。イエスかノーかで答えてください。同じように兵庫県知事選でも立花孝志、個人情報のだだ漏れをやっている。今の質問、答えてください。

 玉木 無言。

 質問に答えない玉木代表に対して司会者が「時間が過ぎていますので」「また来週やりますので」と会見の打ち切りを宣言した。そこで私は、出口に向かって歩き始めた玉木代表に向かって「一言で答えられるでしょう。抗議したのかしないのか。(高橋茉莉さんを)死に追い込んだ責任の一端、国民民主党にもあるのではないか。(立花氏の)誹謗中傷、放置したのではないか」と声掛け質問をした。しばらく無回答状態が続いたが、ようやく「立花孝志氏の中傷動画、見ました? 高橋茉莉さんに対する」との問いに対して、玉木代表は「それは見ていない」とポツリと答えた。これを受けて私は「見てくださいよ。同じことを兵庫県知事選でもやりましたから」と追加説明した。

 翌週(11月26日)の玉木代表会見においても、2週連続で関連する質問をした。

 ――高橋茉莉さんのことを先週(11月19日)聞いたが、まさに先ほど「誹謗中傷で人権侵害になる個人情報漏洩については規制すべきだ」という海外事例を紹介した。国民民主党として高橋茉莉さんに対する立花孝志氏の誹謗中傷、動画で8万ビュー見られて、それが死に追い込んだ一因ではないかと見える。予定候補を取り消された後に(立花氏が)「ラウンジ嬢をやっていて生活保護を不正受給していたのではないか。ラウンジ嬢で働いていることは不正行為もしている疑いもある」という誹謗中傷を、本人の名誉を傷つけることを言って、それが8万ビューも見られて、その後、自殺されたという経緯からすれば、(立花氏の誹謗中傷が自死の)一因になっている可能性は十分あると思うが、それに対して国民民主党はどう防ごうとしたのか。(立花氏に)抗議をしたとか何らかのアクションをしたのかどうかについて聞きたい。

 玉木 私自身、立花さんの動画を、発信をその当時認識していなかった。横田さんに指摘をいただいて認識をしたのは事実だ。木村花さんの件もそうだが、ネット上に拡散される誹謗中傷は決して許してはならないと思う。(中略)そういった憶測に基づく虚偽情報の流布で、人の心を傷つけるということは、ぜひやめていただきたいと思うし、そのこと(立花氏の誹謗中傷)が(高橋茉莉さんの自死と)どのような因果関係があったのかについても、できるだけ検証できるところはしていきたいと思っている。

 ――兵庫県知事選でも立花孝志氏は同じことをやっている。元県民局長の押収された個人情報を勝手にしゃべりまくって、新たな自殺者が出るかもしれないという事態がいま起こっていて、ぜひ、国民民主党として高橋茉莉さんのことを検証して、立花孝志氏が二度とこういうことをやらないように問題提起をしてほしいが、その意気込みを最後に聞きたい。 

 玉木 多くの人がネット上の誹謗中傷や根拠のない虚偽情報で傷つき、なかには命を落とされる方がいるのは速やかに変えていかないといけないし、現行法で不十分なところがあれば、これはプライバシーをしっかり守っていくということで対応していかなければならないといけないと思っています。

 小泉進次郎さんがプライバシー議連のトップを務めている。我々も参加していますが、プライバシー議連があるので、そういったところでもいまいただいた指摘を踏まえて、どういう法的な対応ができるのかを含めて検討していきたいと思う。

 2週連続のやりとりで、立花氏の誹謗中傷への問題意識を玉木代表と共有、党をあげて高橋茉莉さんの自死との因果関係の検証が進んでいくと確信した。その進捗状況を聞こうとして、12月6日の榛葉幹事長会見に出ようとしたのだが、突然、会見参加不可の通告を受けたのだ。

 なお当初は3週連続で玉木代表会見に出て聞こうと思ったが、12月3日は会見時間が定例の午前10時半から昼すぎへと変更となり、会食の日程と重なったため欠席。ただ幹事長は選挙実務を担当しているので、3日後の幹事長会見で同じ質問をしようとしたのだ。

 なぜ急に会見参加不可となったのか。報道担当の杉田氏に聞いてみたが、以下のような具体的根拠を示さない回答に終始した。

 ――日時も具体的根拠も言わずに記者排除をして差別的報道対応をして、厳しい質問をする記者を排除したいという狙いは明らかではないか。(古川)代表代行は知っているのか。

 杉田 党として、そのような判断をした。

 ――玉木代表秘書に聞いたら「別に(玉木代表)会見に参加しているのに何でですかね」と言っていた。榛葉幹事長に言われて急に決めたのか。榛葉幹事長が首謀者か。

 杉田 (国民民主党が会見の)主催者なので。

 ――具体的な日時・場所・ルール違反の内容も答えずに記者排除、差別的報道対応をした。都合の悪い記者を排除するのが国民民主党の姿勢ということでいいのか。

 杉田 横田さん以外の方は(参加している)。

 ――なぜ、先週の火曜日(11月26日)の会見で質問をして問題がなかったのに、急に方針が変わるのか。ルール違反はその間、やっていない。

 杉田 いずれにしても私たちが判断をしているので。

 玉木代表と小池百合子知事の姿が重なって見える。2017年9月に「希望の党」代表となった小池百合子知事から排除発言を引き出して以降、私は都知事の会見で一度も指名されることがなく、最近ではコロナなどを理由に会見場への入室さえできなくなった(リモート参加は可能)。

 これに対して私は「厳しい質問をする記者の排除」「差別的報道対応」と批判してきたが、17年の総選挙敗北で代表を辞任した小池知事に代わって2代目の希望の党代表となったのが玉木代表だった。「記者排除(差別的報道対応)」という姑息な手段を小池知事から引き継いだとしか思えないのはこのためだ。

 根拠も示さずに会見締め出し(記者排除)を通告してきた国民民主党がいつまで差別的報道を続けるのかどうかが注目される。

【ジャーナリスト/横田一】

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