小池知事とうり二つ、国民民主党の記者排除
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希望の党代表時代の「排除」発言で失速した小池百合子東京都知事とうり二つの記者排除(差別的報道対応)を、玉木雄一郎代表(元・2代目希望の党代表)率いる国民民主党が断行した。12月6日の榛葉幹事長会見から締め出された“横田出禁事件”のことだ(12月10日の本サイト記事「批判的発言を続けたら国民民主党が記者排除(会見締出し)」で紹介)。
榛葉氏が“首謀者”のデッチ上げ事件(冤罪事件)のような様相を呈しているが、要は、不規則発言で質問を遮った加害者(フリーカメラマンの堀田喬氏)が罰せられず、質問を遮られた被害者である私が「ルール違反」(報道担当の杉田氏)と見なされて会見参加不可となったからだ。
出禁の理由を報道担当の杉田氏に聞くと、「榛葉幹事長の判断を受けて党の方で決定」と経緯を説明、「たびたび質問を遮られた」との理由もあげた。これに対して私は質問を遮ったことを否定、「堀田さんが僕の質問の途中に遮ったことはあるが」と被害者であることを主張したが、杉田氏は「いえいえ」と言って私がルール違反をしたとの認識を変えなかった。
動かぬ証拠もある。11月1日の榛葉会見動画(12月9日配信のネット番組「横田一の現場直撃」の冒頭でも紹介)を見ると、司会者でもない堀田氏が二度にわたって私の質問を遮った以下の場面を確認できる。一回目は自公過半数割れをしたのに首班指名で白票を投じると宣言、石破政権延命に手を貸す姿勢を問い質しているときのことだ。
――(横田)それ(石破政権を延命させること)を何で選挙中に訴えないのか。石破政権──。
堀田 (質問を遮る不規則発言)おまえさ、ここはさ。
――(横田)黙れ。黙って。
堀田 質問をするところだ。一問一答にさせろよ。態度悪いよ、本当に。
――(横田)(質問が遮られたのを無視して質問継続)なぜ選挙中に言わないのですか、そういうことを。石破政権を延命させると。石破不信任案に賛成して、自公過半数割れを目指すと言って連立入りをしないと言えば、普通の有権者は政権交代を目指すと思うのではないか。国民をだましたことになるのではないか。
榛葉 我々はずっと各党と等距離で政策実現と言ってまいりました。政治を混乱させて、それが目的ではない。政策実現です。(中略)選挙は選挙で国民民主党を伸ばすように、国民民主党の政策を理解してもらえるように我々は訴えた。選挙で「野田さんを総理にします」とは一回も言っていない。
一回目の堀田氏による質問の遮りに対して私は「黙れ」と一喝して質問を続けたが、再び堀田氏は以下のような不規則発言で私の再質問を妨害した。「政策実現」を強調した榛葉氏に関連する質問をしたときのことだ。
――(横田)どっちが実現可能性が高いのか。野田政権と組むことと。
堀田 次に回して、次に回せ、本当に。
榛葉 今日はいい司会進行がいるな、これ。(記者から笑い)
――(横田)スパイみたいなヤラセ記者がいますね、堀田さん。
堀田 何がスパイだよ。
榛葉 横田さん、ヤラセ記者っていうのはダメだよ。それはみんな、それぞれの立場で取材しているのだから記者に対して、同業者に対して「ヤラセ記者」とか、そういうのはダメだ。
――(横田)(質問を遮って)国民民主党の支援者みたいな対応をしているではないですか。司会者でもないのに(質問に)割り込んできて。
ここで驚いたのは榛葉幹事長の対応だ。司会者でもないのに二度も質問を遮った堀田氏のルール違反(不規則発言による進行妨害)を注意するのではなく、「今日はいい司会進行がいるな」と持ち上げたのだ。
その一方で、質問を遮られた私が「スパイみたいなヤラセ記者」と批判したことを問題視したのだ。国民民主党を支援する友好的な記者のルール違反は見逃す一方、質問妨害の被害を受けた敵対的な記者の抗議内容(文言)に注意をするという本末転倒な対応を榛葉幹事長はしたのだ。今回の“横田出禁事件”は、加害者と被害者が逆転した「デッチ上げ事件(冤罪事件)」のようなものと評したのはこのためだ。
しかし、そんな国民民主党を擁護する記事が12月11日の夕刊フジに掲載された。「衆院選躍進で注目 国民民主党、思わぬ“ハレーション”も」と銘打ったフリーランスの安積明子氏の署名記事のことだが、嘘と歪曲のオンパレードだった。
「横田一氏が、榛葉会見の『出入り禁止』を受けたという」と切り出した後、11月1日の榛葉会見について次のように紹介したのだ。
「横田氏は国会の首相指名について、『(立憲民主党の)“野田(佳彦)”と書いて政権交代をはたすべき』と迫った。榛葉氏は『参院は自公が(過半数の)149議席。衆院で政権交代をしても法律は1本も通らない』と応じたが、横田氏は同じ質問を続けた。見かねたフリーカメラマンが『ここは質問をするところ。一問一答にさせろ』と注意すると、横田氏は『黙れ』と強く反発した」
安積氏は「同じ質問を続けた」と指摘するが、先に紹介したように切り口を変えて再質問をしている。
歪曲部分はほかにもある。堀田氏による質問の遮りについて「『一問一答にさせろ』と注意」と表現しているが、国民民主党の会見では「一問一答」というルールはなく、他の記者も再質問を当たり前のようにしている。記事を読むと、ルール違反をしている私を堀田氏が注意したかのような印象を受けるが、ルール違反をしていない私の質問を堀田氏が不規則発言で遮ったというのが実態だ。事実を歪曲して、被害者である私がルール違反をして注意を受けた問題記者であるかのようにおとしめたともいえるのだ。
しかも安積氏は肝心なことを書き忘れている。11月1日の榛葉会見以降も、11月19日と26日の玉木代表会見で立花孝志氏が誹謗中傷した後に自死した高橋茉莉さん(国民民主党の補選予定候補だったが取り消し)について2週連続で聞いている。そのときは通常のやりとりをして質問を遮るなどのルール違反をした気配すらないのに、突然、12月6日に会見締め出しになったことを記事では紹介していない。堀田氏と同様、国民民主党擁護の姿勢が透けて見えるのだ。
小池知事も会見で緩い質問をするお気に入り記者を優先的に指名、厳しい質問をする記者は指名しないという差別的な報道対応をしてきた。そんな記者排除の姿勢は、2代目希望の党代表だった玉木代表を通じて現在の国民民主党にしっかりと引き継がれているようなのだ。今後の国民民主党の対応が注目される。
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