苦境に立たされた韓国造船業界(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
現在造船3社が保有している海洋プロジェクトの受注規模は662億ドル(約75兆ウォン)である。受注案件のなかで海洋プラントが占める各社の割合は現代重工業が45%で(243億ドル)、サムスン重工業67%で(220億ドル)、大宇造船海洋は46%(199億ドル)である。
受注には成功しているものの、問題は原油価格の低迷である。原油価格が60ドルを超えないと、掘削をしても採算性がないようだ。ところが、原油価格は現在40ドル台を推移していて、今後も原油価格が上昇する要因はすくない。それに、今後米国の金利引き上げが実施されると、資金調達コストが上昇し、石油採掘が減っていく確率が高くなる。なお、イランの原油が市場に供給されることになったら、原油は市場で供給過剰になる公算も高い。
このような見通しに立つと、現在のキャンセルだけでなく、今後も海洋プラントはキャンセルされるかもしれないし、計画が先送りされる可能性も十分ある。このような状況は、現時点ですでに発生しつつある。サムスン重工業は、今年の8月から12月に引き渡すことになっていた掘削装置を2017年に延期された。大宇造船海洋が受注したトランスオーシャン社の案件も、引渡し時期が来年10月から2017日年10月に延期された。今受注した案件の引渡し時期は2017年に集中しているが、今のような状況では引渡し時期が守られるという保障はどこにもない。即ち、2017年まで造船各社の業績は非常に不透明であるといわざるを得ない。
さらに納品の先送りの問題だけでなく、国内造船会社にとって設計能力の不足も別の問題として指摘されている。設計能力もろくに備わっていないのに受注をして、工期の遅れなども発生しているようだ。工期の遅れは追加費用の発生またはペナルティを発生させ、損失額を膨らませているのが現状である。このような状況なので、造船業界は2017年まで売上の減少が続くという見通しが大半を占めている。受注が増加してこそ将来の売上が増えていくが、受注額は現在売上高を大幅に下回っている。来年も船舶の発注が減少する可能性が高い。最近海運の世界最大手であるデンマークのマスク社は大宇造船会社と結んだオプション契約をキャンセルすると発表した。大宇造船海洋から11隻の大型コンテナ船を契約する際に、追加で6隻のコンテナ船の発注できるオプション契約をマスク社は締結しているが、それをキャンセルしたわけだ。来年に導入される環境規制に備えるために今年は駆け込み需要があっただけに、来年は需要の落ち込みも予想されると専門家は指摘する。韓国の造船会社は輸出に貢献をする存在から国民の血税を吸い込む存在に変わってしまっている。中国は最近韓国とは対照的に海洋プラントでも奮闘している。数ヶ月前までは月単位で受注世界1位に返り咲いて喜んでいた韓国の造船業界であるが、半年前から風向きが変わっている。これからは陸地よりも海洋が大事になる時代になるし、造船産業は鉄鋼事業など関連産業との波及効果も大きいので、造船産業の凋落を放置してはならない。海洋プラントの設計能力の向上、事業戦略の再構築、リストラなどを通じた構造調整をしないと、韓国の造船業界に未来はないかもしれない。
(了)
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