アビスパ新監督就任記者会見 パワハラ問題に質問が集中
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サッカーJ1リーグアビスパ福岡は16日、2025年シーズンから指揮を執る金明輝(キン・ミョンヒ)監督(43)の就任記者会見を行った。会見には金監督と川森敬史代表取締役会長、柳田伸明強化部長が出席した。金明輝監督は、かつてサガン鳥栖の監督・ユース監督として指導に当たっていた際に暴力行為・暴言などのパワハラを行ったと認定され、Jリーグチームの指揮に必要な日本サッカー協会S級ライセンスから降格処分を受けていた。
これを踏まえ、11月に「金明輝氏、次期監督就任濃厚」という報道が出ると、ネット上で紛糾。サポーター団体「ウルトラオブリ」からは「監督人事に対して疑問を抱かざるを得ない」と声明が出された。
冒頭、川森会長から金監督を次期監督として選定した理由、今後目指していくチームづくりなどについて説明があった。
川森会長は、パワハラ事件を念頭に「クラブとしては、過去の過ちは決して容認できるものではありません」としたうえで、「反省して再出発をしようとしている金明輝・新監督を信じ、次のステップを目指して挑戦していく」と決断の理由を語った。
柳田強化部長からは、サッカー面での選定理由が説明された。長谷部茂利・前監督が築いた「攻守にアグレッシブ」という長所を生かしたうえで、プレーしている選手が自律的に判断することによって生まれる攻撃のオートマチズムを構築できる指導者であること、そして若い選手を育ててより高いステージに送り出す実績があることが理由だ。
最後にマイクを握った金監督は、まず「僕の就任に対して、少し騒がせてしまったことに関して申し訳ないと思っております」と今回の騒動に対して謝罪。そのうえで、「チームの一体感、選手との一体感、クラブスタッフの一体感を大事にし、リスペクトしながらより強いチームをつくっていきます」と抱負を語った。
質疑応答では、パワハラ問題について質問が集中。「サガン鳥栖時代のパワハラ被害者に対して、たとえば直接謝罪するなど具体的な対応はされたのでしょうか」という記者の質問に金監督は、「匿名性が担保された調査だったので、個人が特定できない」と回答。記者が重ねて「ご本人ならば(被害者が誰なのか)おわかりなのでは」と問うと、川森会長が「これは釈明会見ではないので」と割って入る一幕もあった。
続けて川森会長は、「日本サッカー協会による更生プログラムに参加された方にヒアリングして、金監督が『リスペクトの気持ちを、死ぬまで心に刻んだ』と話していたと聞きました」と述べ、クラブとしての金監督への厚い信頼を改めて表明した。
サガン鳥栖、町田ゼルビアでの実績を見ると、金監督のサッカー指導者としての手腕に疑いはない。金監督就任に対してネガティブな意見をもつサポーターの多くが心配しているのは、パワハラが再発してアビスパの選手、スタッフ、ユース生が被害を受けるのではないかということだ。
クラブ側は、金監督の反省の態度を信じると同時に、チーム内の権限が監督だけに集中しすぎないような組織づくりを行い、クラブの誰もが自らのミッションを遂行して業務に集中できる環境を実現していくという。また、コンプライアンス研修の実施、弁護士事務所を窓口とした外部通報制度の導入(20年から)、強化部スタッフが練習やミーティング、遠征には常に帯同して緊密なコミュニケーションを築くなど、パワハラ防止に精力的に取り組んでいる、とした。
アビスパのサポーターもスポンサーも、望むのは「心置きなくアビスパを応援できる」こと。金監督の「これからの言動で、しっかりと信頼を取り戻していきたい」という言葉を実現するためにも、チームとしての勝敗だけではなく監督や選手、スタッフの一挙手一投足に多くの目が注がれていることを忘れないでほしい。
そして、ベススタでファン・サポーターと監督、選手、スタッフみんなが勝利の歓喜に酔いしれる、そんな2025年シーズンの到来を心から楽しみに待ちたい。
【深水央】
法人名
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