2024年12月20日( 金 )

榛葉幹事長“首謀”による国民民主党の会見締め出しを擁護するメディア

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    12月6日の榛葉幹事長会見以降、会見締め出し(出禁)を通告してきた国民民主党を擁護する飛ばし記事が相次いでいる。12月11日の記事「小池知事とうり二つ、国民民主党の記者排除」で「嘘と歪曲のオンパレード」と指摘した同日の夕刊フジ(安積明子氏の署名記事)を皮切りに、12月13日には「国民民主・榛葉氏、会見出禁のフリー記者は『他のジャーナリストに暴言』『取材ではない』」と銘打った産経新聞の記事、翌14日にも「『人間としてのルールあるはず』国民民主・榛葉氏、記者の『出禁』を説明」と題した「よろず~ニュース」(神戸新聞の総合情報サイト)が出たのだが、ルール違反をデッチ上げた榛葉幹事長の虚偽発言を受け売りする“党広報誌”のような代物だった。

 “横田出禁事件”の首謀者は榛葉氏で、問題にしたのは11月1日の幹事長会見。このとき、司会者でもない堀田喬記者(フリーカメラマン)が私の質問中に二度も不規則発言をして進行を妨げ、会見は大荒れになった。しかし、榛葉氏はルール違反をした堀田氏を褒めたたえる一方、質問を遮られた私を出禁にした。先の本サイト記事で、加害者と被害者が逆転した「デッチ上げ事件(冤罪事件)」と指摘したのはこのためだ。

 しかし、産経新聞は、この場面を次のように歪曲した。「11月1日の榛葉氏の会見で、首相指名選挙に関する持論を訴え続け、周囲のベテラン記者に『質問するところだ。態度悪いよ』と注意された」。

 会見動画を見れば一目瞭然だが、私は「持論を訴え続け」ていたのではなく、以下の質問をしていた。

「石破政権を延命させると、なぜ選挙中に言わないのか。石破不信任案に賛成して、自公過半数割れを目指すと言って連立入りをしないといえば、普通の有権者は政権交代を目指すと思うのではないか。国民をだましたことになるのではないか」

 この質問中に堀田氏は「おまえさ、ここはさ」と不規則発言をしたので「黙れ!」と一喝。それでも「質問をするところだ。一問一答にさせろよ。態度悪いよ、本当に」と質問を遮ろうとしたが、無視して質問を続けたのだ。

 これに対して榛葉氏は「政策実現」を強調しつつ、「選挙で『野田さんを総理にします』とは一回も言っていない」とも回答したので、さらに「どっちが実現可能性が高いのか。(石破政権延命と)野田政権と組むことと」と再質問をしたときに、再び堀田氏は「次に回して次に回せ、本当に」と不規則発言をしたのだ。
 しかし、2度目に質問を遮った堀田氏に対して榛葉氏は「今日はいい司会進行がいるな」と褒めたたえたので、私は「スパイみたいなヤラセ記者がいる、堀田さん」と指摘した。

 すると、ここでも榛葉氏はルール違反をした堀田氏を批判するのではなく、質問を遮ったことに抗議した私の発言を問題視。「ヤラセ記者っていうのはダメだよ」と注意してきたので、「(質問を遮って)国民民主党の支援者みたいな対応をしているではないですか。司会者でもないのに(質問に)割り込んできて」と反論したのだ。まるで私が5分も10分もダラダラと意見陳述をしたので堀田氏が「質問するところだ」と注意したかのような印象を与えるが、実際は、私の質問中に堀田氏が二度の不規則発言で進行を妨げたのが事実なのだ。そして、それに対して私が「スパイみないなヤラセ記者がいる」と抗議したという流れだった。

 しかし産経新聞は、堀田氏が私の質問を遮った(ルール違反)ことについてまったく触れず、榛葉氏の言い分だけを以下のように報じたのだ。

 「『ルールを守ってください』と言っても守らず、他のジャーナリストに暴言を吐いた。私はこれは取材ではないと思う」「(やらせ記者発言について)みんなそれぞれの立場で取材している。やらせ記者とかそういうのはだめだ」。

 堀田氏のルール違反は見逃す一方、質問を遮られた記者の抗議(文言)に注意をするという本末転倒の対応を榛葉氏は行い、それを産経新聞が横流ししたのだ。

 14日の「よろず~ニュース」も、産経と同じ飛ばし記事で、榛葉氏の言い分を以下のように横流した。

「言論の自由ではなくて、完全に妨害」「同僚のメディアのみなさんを公然と批判する。報道の自由の前に、マスコミ・メディアとしての、もしくは社会人としての、人間としてのルールがあるはずです」
「何度注意しても恣意的にそれを破って暴言を吐く。これが本当にメディアと言えるのか」
「ここ(会見の場)で何度も『ルールを守ってください』と言っても守らずに、それを2度繰り返し、指名もされてないのに発言をし、他のジャーナリストに対して暴言を吐き。これは私は取材ではないと思います」
「ジャーナリストの側にもそれ相応のルールを守って欲しい、それだけです」

 しかし、会見動画を確認してもらえれば分かるように、私は質問を遮るなどのルール違反は一度もしていない。会見終了直後に声掛けをすることはあっても、会見中に不規則発言をしたことはない。それなのに、産経新聞もよろず~ニュースも、何日の会見のどの場面で私がどんなルール違反をしたかを示さないまま、榛葉氏の根拠不明瞭の言い分だけを垂れ流したのだ。

 しかも肝心なことを書き忘れているのも、安積氏の署名記事と同じだった。先の本サイト記事で以下のような指摘がそのまま通じるのだ。

「11月1日の榛葉会見以降も、11月19日と26日の玉木代表会見で立花孝志氏が誹謗中傷した後に自死した高橋茉莉さん(国民民主党の補選予定候補だったが取り消し)について2週連続で聞いている。そのときは通常のやりとりをして質問を遮るなどのルール違反をした気配すらないのに、突然、12月6日に会見締め出しになったことを記事では紹介していない。堀田氏と同様、国民民主党擁護の姿勢が透けて見えるのだ」

 要するに榛葉会見後に玉木代表会見に出席、11月19日と26日に高橋茉莉さんに対する立花孝志氏の誹謗中傷について2週連続で質問していた。この問題の関連質問を封じるために、12月6日に1カ月前(11月1日)の榛葉会見でのルール違反をデッチ上げ、国民民主党と立花氏が高橋茉莉さんを死に追い込んだことへの説明責任を拒否したようにも見えるのだ。

 国民民主党が厳しい質問をする記者を排除する差別的報道をいつまで続けるのかが注目される。

【ジャーナリスト/横田一】

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