2024年12月20日( 金 )

関家具が独禁法違反、小売業者の販売価格を拘束

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 多機能チェアの小売価格を拘束したことが独占禁止法に違反するとして、公正取引委員会は19日、家具販売大手の(株)関家具(福岡県大川市)に対し、法令順守の周知徹底などを求める排除措置命令を出したと発表した。調査で、独禁法違反行為が露見しないための対策を講じていたことも判明したため、第三者による定期的な監査も命じた。

 同社は中国の製造業者から多機能チェア「Ergohuman(エルゴヒューマン)」を輸入し、アマゾンジャパンやアスクルをはじめとするインターネット通販会社と、実店舗を持つ小売業者に卸販売している。公取委の調べによると、同社は遅くとも2020年2月ごろから、同製品を卸販売する際に、取引先の小売業者に対し、自ら定めた「参考売価」で販売するよう求めていた。

 同社では新規取引の開始時などに、参考売価による販売に合意した小売業者のみに同製品を卸していた。また、インターネット通販の販売価格を監視したり、小売業者から他店舗で値引きしているという苦情を受け付けたりして状況を把握。値引き販売を行う小売業者に対しては、参考売価に戻すよう要請していた。

 ほとんどの小売業者は同社の要請に応じたが、値引き販売を継続するケースもあったという。そうした場合には、出荷価格を引き上げて、利益を圧迫することで値引きができないようにしていた。

 同製品は消費者に人気があり、商品ラインアップに加えることが小売側にとって重要となっている。このため、販売価格を拘束された小売業者は、18年度から22年度までの5年間で約800社に上った。

公正取引委員会の発表資料より
公正取引委員会の発表資料より

違反行為が露見しないための対策も

 公取委は、今回の行為が独禁法の「再販売価格の拘束」に当たると判断。独禁法では、自ら定めた販売価格を取引先に維持させる行為や、自由に販売価格を決定することを拘束する行為を禁止している。

 公取委は同社に対し、同様の行為を行わないように命じるとともに、役員・従業員に法令順守を周知徹底するよう求めた。

 また、調査で「元常務取締役の主導により、調査を警戒して、独禁法違反行為が露見しないような対策を講じていたことが明らかになった」(審査局第四審査)という。このため、第三者による定期的な監査も排除措置命令に加えた。公取委では「家具業界の最大手として社会的責務も踏まえて、再発防止に取り組んでほしい」(同)と話している。

 同社は19日、自社ホームページ上で「お客様およびお取引先様をはじめ、関係者の皆様には、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪。「この度の命令を厳粛に受け止め、今後は法令遵守の徹底と再発防止に努め、信頼の回復に全力で取り組んでまいる所存です」とのコメントを発表した。

【木村祐作】

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