2025年、日本株は米株独り勝ちの代替たり得るか(2)
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NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。
今回は12月20日発刊の第369号「2025年、日本株は米株独り勝ちの代替たり得るか~米国とともに株式資本主義の道を歩む~」を紹介する。(2) 日本株の魅力、超割安、好需給、株価革命を推進するM&Aブームの曙光
日本の好位置、魅力的バリエーション
日本株式も米国株に劣らない魅力を備えている。それは魅力的なバリエーションと好需給である。国際分散投資における長期資産配分に際しては、資産価格サイクル(スーパー・バブルサイクル)が重要である。資産価格の上昇下落の循環は、各国毎に10~数10年の固有の周期が観測でき、投資家にとって幸運なことに、この資産価格サイクルは国によって全く位相が異なっている。よってサイクルの高値にある国の資産を売って底値にある国の資産を買えば、長期的運用成果を大きく高めることができる。
主要国の資産価格サイクルを図示すると、中国赤信号、米国青から黄色への境目、日本青信号となる。中国は史上空前のバブルがサイクルのピークを過ぎたところにあり、不動産価格の底入れははるか先であろう。資産投資は抑制し、cash is Kingに徹するべきだ。中国政府はバブル対策として10兆元の地方融資平台などの隠れ債務の肩代わりを発表したが、バブルの規模からすれば焼け石に水に過ぎない。中国で求められる不良債権最終処理額は膨大なものである。(1)地方融資平台の債務残高66兆元(=1,300兆円)、(2)家計債務の累積額(2009~2022年)10兆ドル=70兆元、(3)中国国内の売れ残り新築物件の在庫は9,000万戸(単価2,000万円と見積もっても1,800兆円=90兆元)などから、ざっと見積もっただけでも60兆元、GDP比約6割の処理が必要である。(ちなみに日本の場合、地価はピークから8割下落して底入れした。この間発生した不良債権は100兆円、対GDP比20%の不良債権が処理された)
米国では資産価格は概ねフェアバリューにあり、金利急騰が起きれば、直ちにバブル化する、黄色信号寸前の状態にある。リスクテイクには警戒心が望まれる場面である。それらに対して日本は、バブル崩壊後の底入れからしばらく経った局面であるが、資産価格は割安水準にある。日本における投資リスクは日本株持たざるリスクであり、ほぼすべての投資主体は日本株を執拗に買い続けざるを得なくなる。
高リターンの日本株に向かって資金は流れ続ける
日本の株価は著しく割安なので、今後さらに上昇していくことはほぼ確実である。株価の最もピュアで正確な物差しは国債利回りとの比較であるが、日本株式は現在株式益回り6%、国債利回り1%と国債に比して著しく大きなリターンを提供している。1990年の日本のバブル時の両者が株式益回り2%、長期金利8%であったことと比較すると、天と地の逆転が起こっていることが分かる。1990年は株価が著しく割高(=正のバブル)であったのに対して、現状は著しく割安(=負のバブル)状態にある。
しかしながら日本家計の資産配分は著しく非合理的で、年金・保険を除く金融資産の71%が利息ほぼゼロの預貯金に眠っている。他方配当だけで2%、内部留保を含めれば6%のリターンがある株式と投資信託は27%のウエートに過ぎない。ちなみに米国は株・投信が77%、現預金は17%と全く逆の構成になっており、米国家計は株高により大きな資産形成を続けている。米国家計の純資産はリーマン・ショック(GFC)直後の2009年の59兆ドルから2023年末には156兆ドルと14年間で97兆ドル(対GDP比3.5倍)という巨額の資産形成を実現し、それが堅調な消費をもたらしている。日本でも、岸田政権による個人株式投資の減税枠の拡大(NISA改革)がきっかけになり今後現預金から株投信へと、怒涛の資金シフトが起こり、株高を加速させるだろう。
(つづく)
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