一次産業から福祉まで、タイミーが広げる「はたらく」の可能性(後)
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最短1時間から働くことができるスキマバイトサービス「タイミー」を運営する(株)タイミー(東京都港区、東証グロース)は現在、雇用促進を目的とした地方自治体との協定締結を積極的に進めており、福岡県においても2024年6月に糸島市と全国6例目となる連携協定を締結。同年9月には宗像市とも連携協定を締結した。今回、「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」をミッションに掲げるタイミーの、地域社会に根ざした「はたらく」の可能性を広げる取り組みについて聞いた。
──糸島市には海の幸・山の幸をはじめブランド化したものも多く、地域の財産となっています。一次産業における求人状況の傾向を教えてください。
三好 タイミーが全国的に提供している農業関連の求人は増加傾向にあります。たとえば先の岐阜県下呂市でも、農業従事者不足が大きな課題になっており、連携の主な目的として農業従事者の確保が挙げられました。糸島市でも多様な農作物が育てられており、同様の課題に頭を悩ませている農業関係者は少なくないと思います。タイミーを通じて農業に携わるワーカーを集め、定着を促していきたいと考えています。
実際に求人をスタートさせて興味深かったことは、リフレッシュの一環で土日に農作業を希望する人や、農業に携わりたいと考える農学部の学生などが多く、想像する以上に農業が人気を集めているという点です。普段は事務職などで働いているサラリーマンが、週末に農業を体験することで新たなスキルや知見を身につけたり、自然に触れることで癒されたりと、農業に対する関心は決して低くありません。
タイミーの利点として、単発・短期の求人に適しているという点が挙げられます。農作業の現場は、収穫期や天候の変化に応じて臨時の人手が必要となることが多いため、事業者、求職者双方にとってスポットワークという働き方は有効活用してもらえると思います。地域内でワーカーが多様な仕事を体験することで、地元に対する愛着やキャリアの選択肢が広がり、将来的には移住や定住への可能性も広がると考えています。
──今後も地方自治体との提携に力を入れていくのでしょうか。
三好 当社は福岡ならびに九州全土で、積極的に自治体や地域企業との連携を進めています。24年9月には宗像市、11月には宮崎県都農町、ツノスポーツコミッションとも連携協定を結び、主に福祉分野の人材不足に対応する取り組みをスタートさせました。宗像市では介護や保育の分野における労働力不足が顕著で、タイミーのスポットワークが同分野での労働力不足解消に貢献できると期待されています。タイミーを活用することで、介護や保育の資格保有者が手軽にスキルを活かして働けるようになり、職場環境の改善とともに、福祉サービスの質的向上が図れるのではと考えています。
九州においては、今後も自治体や地域企業と連携した労働力の確保と、地域活性化を目的とした協力体制を構築していきます。また、自治体だけでなく、地域の商工会議所や観光協会、農協や漁協といったさまざまな経済団体との協定も検討しています。
「はたらく」を通して人々の人生を豊かにする
──近年の貴社の取り組みについて教えてください。
三好 タイミーでは近年、登録事業者が気に入ったワーカーと直接長期アルバイト契約を結ぶ事例が増加しており、紹介料や手数料がかからず、ワーカーも事業者も気軽に長期的な関係を築くことができるようになっています。事業者にとっては採用コストの削減や、長期的な人材確保が可能になり、ワーカーにとっては多様な職種を経験しながら将来のキャリアを模索できるメリットがあります。一見、当社側のメリットがあまり感じられないように思われるかもしれませんが、もし長期でのアルバイト雇用や正社員雇用となったとしても、その先でまたスキマ時間などにタイミーを利用してくださることがあれば、そこでまた多くの経験や出会いを提供できますので、タイミーを介してコミュニティの輪や働き方の選択肢が広がっていくのではないかと考えています。
また、「アルバイト」という形態上、学生などの若者をイメージしがちですが、近年はシニア・プレシニア世代のワーカーも増えています。当社の調査では、シニア・プレシニア世代の方が、長期就業を打診しているという実態も明らかになっています。さらに、旅の途中や出張中に、給料を得ることだけを目的にするのではなく、「はたらく」を通じてその地域ならではの経験をしたり、人々との出会いを求めたりしてタイミーを利用する方もいます。多様化するニーズを理解し、これからもさまざまな世代・目的に寄り添いながら「人生の可能性が広がる機会の提供」ができたらと考えています。
──最後に、タイミーの展望についてお聞かせください。
三好 タイミーが目指しているのは、水道、ガス、電気のように「どんな場所でも、だれでも」利用できる、生活インフラのような存在です。24年9月時点で、全国のワーカー数は900万人、導入事業者数は13万6,000企業、事業所数は29万7,000拠点に達しました。しかし、生活に困難を抱える方々の社会復帰を支援したり、一次産業や介護・保育といった福祉分野での人手不足を解消したりと、まだまだサービスを届けたい業種や人々が数多く存在します。また、現時点では18歳以上の方のみ登録可能となっていますが、これまで培った知見を生かし、いずれは学生へのキャリア支援にも取り組んでいきたいと考えています。
今後も行政や企業との連携を強化していくことで、地域に根差した「タイミー」というプラットフォームを構築していきたいと考えています。その実現のためにも、まずはしっかりと九州からも多くの成功事例を生み出していけるように、はたらく機会の創出・提供に取り組んでいきます。
(了)
【立野夏海】
法人名
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