2025年01月07日( 火 )

福岡再開発2025 次々完成迎える天神ビッグバン(後)

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天神ビジネスセンター2期計画

(仮称)天神ビジネスセンター2期計画
(仮称)天神ビジネスセンター2期計画

 天神ビッグバンの第1号となった「天神ビジネスセンター」の隣接地では現在、天神一丁目761プロジェクト(同)(福岡地所、九州電力(株)、(株)九電工で構成される特定目的会社)および福岡地所による「(仮称)天神ビジネスセンター2期計画」(以下、天神BC2)の開発が進んでいる。

 同計画はもともと「市役所北別館」の跡地活用事業として、21年7月に優先交渉権者となった福岡地所を代表企業とするグループ(構成企業:九州電力、九電工、前田建設工業(株)、(株)俊設計、(株)旭工務店、(株)サン・ライフ)によって進められようとしていたが、その後、市役所北別館に加えて隣接する大型ビル「メディアモール天神(MMT)」と「第2明星ビル」の計3棟を一体再開発するかたちで22年12月に事業計画の変更を発表。この計画変更によって、敷地面積および延床面積は当初計画の約2.7倍に拡大した。

 天神BC2は、地上18階・地下2階・塔屋2階建の高さ約88.2mのビルとなる計画で、隣接する天神ビジネスセンター(地上19階・地下2階・塔屋2階建、高さ89.56m)に比べると1階分低くなっている。

 建物外観は、天神ビジネスセンターのデザイン・監修を担当した建築家・重松象平氏(OMAパートナーおよびニューヨーク事務所代表)がデザイン監修を行うことで、まるで双子のような2棟のビルが立ち並ぶかたちとなり、街区全体の統一感と求心力を高めていく。

 大きな特徴としては、建物内部に地下広場からつながる7層におよぶ吹抜け空間「アクセラリウム」が整備されていることが挙げられる。このアクセラリウムに面した各フロアで、さまざまなワーカーサポート機能やアクティビティが発生する場を配置し、賑わいの創出に欠かせない集客・交流・創造の活性化へとつなげたい考え。また、市が進める「都心の森1万本プロジェクト」や「Fukuoka Art Next」「感染症対応シティ」などの取り組みにも対応している。

 同ビルも23年6月に天神BBBの認定を受け、23年10月に着工。26年6月の竣工を予定している。

(仮称)天神ビジネスセンター2期計画
事業主 :天神一丁目761プロジェクト(同)/福岡地所(株)
敷地面積:4,085m2
延床面積:6万2,932m2
規 模 :地上18階・地下2階・塔屋2階建
用 途 :オフィス、店舗、駐車場
建物高さ:約88.2m
竣 工 :2026年6月(予定)

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 そのほか、天神ビッグバンのエリア内では現在、「(仮)天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト」や「福岡中央郵便局およびイオンショッパーズ福岡の段階連鎖建替えプロジェクト」「天神一丁目15・16番街区」の3つのプロジェクトが公表されている。

新天町
新天町

 まず「(仮)天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト」は、新天町商店街やパルコ、西鉄福岡駅ビルなどにまたがる約2.2haにおいて、パルコ本館・三井住友銀行、パルコ新館、新天町ビル、西鉄福岡駅ビル、新天町商店街の5つのビル・商店街を一体的に再開発するもの。事業主は新天町商店街商業協同組合および(株)新天町商店街公社、(株)パルコ、西日本鉄道(株)、(株)三井住友銀行の5者となっている。発表された将来構想のイメージでは、東街区と西街区の2つの街区で構成され、低層部には商店街・商業施設などが入る方針。開業は2030年度を目指している。

福岡中央郵便局およびイオンショッパーズ福岡の段階連鎖建替えプロジェクト
福岡中央郵便局およびイオンショッパーズ福岡の段階連鎖建替えプロジェクト

 「福岡中央郵便局およびイオンショッパーズ福岡の段階連鎖建替えプロジェクト」は、文字通り福岡中央郵便局(1982年竣工)およびイオンショッパーズ福岡(71年竣工)を段階連鎖的に建て替えていくプロジェクトで、事業主は日本郵便(株)とイオン九州(株)。第一段階として福岡中央郵便局を、第二段階としてイオンショッパーズ福岡を段階連鎖的に建て替えていく方針で、福岡中央郵便局建替え(第一段階)は30年ごろの竣工を目標とし、続くイオンショッパーズ福岡建替え(第二段階)は30年代中ごろの竣工を目標としている。

 「天神一丁目15・16番街区」は、天神一丁目15・16番街区の地区内有志の地権者で構成される「天神一丁目15・16番街区再開発準備組合」(事業協力者:西鉄、日鉄興和不動産(株))によって進められる複数街区にまたがる段階的および連鎖的なプロジェクト。福岡城の鬼門にあたる現在地にある水鏡天満宮を、方角を変えずに那珂川の水辺に近づけるほか、赤煉瓦文化館前の県道を天神通線へ付け替えて一体整備することで、那珂川に面した部分に水鏡天満宮や赤煉瓦文化館と一体となった緑・公園を創出。また、その西側部分に建物の高度利用と都市機能の更新や耐震性の向上、感染症対応、環境負荷低減などに資する建物計画を行うほか、低層・地上部には既存の特徴ある連続した店舗空間(横丁)等の継承を行っていく方針で、全体の完成は30年以降を目標としている。

 これら3つのプロジェクトは、いずれも26年12月末までの天神BBBの竣工期限には間に合わないが、複数街区にまたがる段階的および連鎖的な建替え計画として、特例的に天神BBBの認定に向けて検討が進められている。

解体が進む福岡天神センタービル
解体が進む福岡天神センタービル

    ほかに、まだ正式に再開発プロジェクトの公表はないが、明治通りに面する「福岡天神センタービル」(1976年4月竣工)も現在、再開発に向けての解体工事が進められている。

 同ビルは野村不動産(株)などが所有するもので、入居テナントの退去を経たうえで23年7月末に閉館。解体工事は(株)竹中工務店の設計施工で、23年9月に着工している。

 なお、隣接して立地している「野村不動産天神ビル」「野村不動産天神ビルⅡ」も同じく解体工事に着工しているほか、同じ街区内の別のビルの取得も進めていると聞かれる。順当にいけば26年12月末までの天神BBBの竣工期限には間に合わないため、おそらく複数街区にまたがる段階的および連鎖的な建替え計画にすることで、特例的に天神BBBの認定を受けようとしているのだと考えられる。

(了)

【坂田憲治】

(中)

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