2025年01月08日( 水 )

福岡再開発2025 博多コネクティッド本格化へ(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

 天神ビッグバンと同様に、福岡市が主導する都心部再開発プロジェクト「博多コネクティッド」の動きも活発化している。

 2019年1月に始動した博多コネクティッドは、博多駅から半径約500mの約80haを対象エリアに、容積率などの規制緩和や国の金融支援、税制優遇などによって、耐震性の高い先進的なビルへの建替えを促していくほか、交通基盤拡充などによって都市機能の向上を図っていこうというプロジェクト。天神BBBと同様の建替え促進のためのインセンティブ「博多コネクティッドボーナス」(以下、博多CB)もある。交通インフラ整備などの独自の取り組みもあるものの、基本的には博多版“ビッグバン”といって差し支えないだろう。

 ビルの建替え目標は28年末までに20棟で、市の試算では目標を達成した場合の10年間の建設投資効果が約2,600億円、建替え完了後には年間約5,000億円の経済効果が見込まれるとしている。

 これまでに博多CBの認定を受けたなかでは、「博多イーストテラス」(22年8月竣工)と「コネクトスクエア博多」(24年3月竣工)の2棟のビルが完成・開業を迎えている。そのほかにエリア内では、「都ホテル博多」(19年6月竣工)や「THE BLOSSOM HAKATA Premier」(19年9月竣工)、「九勧承天寺通りビル」(20年4月竣工)、「博多深見パークビルディング」(21年2月竣工)などのビルも竣工を迎えているが、これらのビルは博多コネクティッドがスタートする以前から開発および計画が進んでいたため、博多CBは受けていない。エリア内における建築確認申請数は29棟(19年1月~24年3月末)、竣工棟数は22棟(24年3月末時点)となっている。

西日本シティ銀行本店本館建替えプロジェクト

西日本シティ銀行本店本館建替えプロジェクト
西日本シティ銀行本店本館建替えプロジェクト

    かつて博多駅前・博多口のランドマーク的な存在だった「西日本シティ銀行本店本館ビル」の跡地では現在、(株)西日本シティ銀行と福岡地所が出資する「特定目的会社Walk」による「西日本シティ銀行本店本館建替えプロジェクト」が進められている。

 同プロジェクトは西日本シティ銀行と福岡地所が共同で、西日本シティ銀行本店本館ビルを建て替えるもので、西日本シティ銀行保有ビルの連鎖的再開発の第1弾として、西日本シティ銀行の本店機能に加え、オフィスフロアや商業店舗を配置した複合ビルを計画。建物の構造は地上14階・地下4階建で、はかた駅前通り地下通路にビルの地下部分で直結する。

 デンマークを拠点に活動する国際的な建築デザイン事務所「3XN Architects(スリーエックスエヌアーキテクツ)」が国内で初めて内外装のデザインを手がけ、博多駅前の新たなランドマークとなる洗練されたデザインを実現。地上では建物のコーナー部を持ち上げることで人々を迎え入れる空間を形成し、9階では切り込みを設けて建物のボリュームを分節することで、周辺街区のスケールに調和させ、都市景観に配慮するほか、セレーション(鋸歯状)化されたタイルとガラスの外装により光の反射を抑え、周辺環境にも配慮している。

 また、敷地北東側には地上・地下の歩行者ネットワークの核となる大規模立体広場「コネクティッドコア」を整備し、博多駅から住吉通りやはかた駅前通りへの回遊性向上につなげる。さらに、オフィスフロアは博多駅前エリア最大級の基準階面積約1,190坪を有するハイグレードオフィスとなるほか、地下には約400人規模のホールも設置する。

 同ビルは23年3月に博多CBの認定を受け、23年11月に着工。26年1月の竣工を予定している。

(つづく)

【坂田憲治】

(後)

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事