2025年「世界資本主義再構築」と日本の好位置(4)
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NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。
今回は1月1日発刊の第371号「2025年「世界資本主義再構築」と日本の好位置」を紹介する。(3)米国覇権の再構築に与力する日本
第三の開国、米国の世界秩序再構築の支柱に
近代日本の興隆は常に米国とともにあった。黒船による第一の開国、敗戦による第二の開国、そして今第三の開国が米国流株式資本主義の受容として、実現しようとしている。
近現代の日本の世界史的役割は、西欧民主主義と資本主義の世界伝播の懸け橋になったことにある。非西洋で近代資本主義と民主主義を土着化させ発展させたのは日本だけである。また非西洋で近代化と工業化を発展させ国民の生活水準を先進国の域にまで高めたのは韓国・台湾・中国(香港)の東アジア3カ国だけであるが、韓台中の発展は日本の経済発展モデルをほぼ模倣・踏襲したものであった。韓国・台湾・中国(香港)の東アジア3カ国は、移植した市場経済の基盤の上で、米国・先進国からの技術導入と米国市場でのシェア獲得により飛躍的経済成長を実現した。
日なかで対極にある対米姿勢、どちらが吉か
起点は1971年のニクソンショックにある。ドルが金の縛りを脱したことにより、米国は対外債務を急増させ、まず日本から、そして最後には中国から巨額の輸入を行った。1980~90年代に日本が対米輸出で経済飛躍を遂げ、1990~2000年代には韓国、台湾、香港などのアジアNIESが離陸し、2000年代以降、中国経済が高成長を遂げたが、その起点はドルの散布にあったといえる。中国が世界の製造業生産の4割弱、PC、スマートフォンなどハイテク製品や、ソーラーパネル、EVなどのクリーンエネルギー分野では8~6割という高シェアを獲得するというオーバープレゼンスはまさしくニクソンショックの賜物であった。
米国は東アジア諸国の発展を支えたが、それが脅威となり敵対者と認識すると手のひらを反す。まず産業競争力を飛躍的に高めた日本を米国産業の土台を壊す相手と認識し、強烈な日本たたきを展開した。貿易摩擦、超円高、構造協議という口実による内政への関与などで日本を縛り上げた。そして今、米国覇権に対する挑戦の意志をあからさまにした中国に対して、激しい制裁を課し始めている。
ここにおいて同じ経路で発展してきた日本と中国の間に、決定的相違が生じた。軍事的に従属している日本は、米国に屈服したが、中国は米国への対抗心を強めて意気盛んである。中国の方にこの話をすると、溜飲を下げる表情を見せるが、米国は甘くはない。
日本の米国要求の受容は正解だった
米国流のビジネスモデルを受け入れた日本の対応は正しかった。失われた30年の間に、日本は米国の価値観とビジネス慣習に大きくすり寄り、好ましいビジネスパートナーに変わった。
この米国への譲歩は、日本における企業のガバナンス改革に帰結し、これからの日本株高、株式資本主義の繁栄を準備しているように見える。既得権益が強固な日本においてガバナンス改革が成就し得たのは、米国の外圧が重要であった。
他方中国は勝ち目のない相手を敵視することで、国の選択を誤ろうとしている。日本は米国の世界秩序再構築の共同遂行者の役割を淡々とこなすことで国運の隆盛につながる。
(つづく)
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