駅前に新たなランドマーク 南の副都心・大橋(3)

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単身世帯が多くマンション開発活発

 別記事で紹介している「大橋駅周辺のまちの声」にもあるが、大橋エリアの大きな特徴の1つとして「住みやすさ」が挙げられる。前述したように交通利便性に優れ、コンパクトな範囲内に生活利便施設から公共施設、医療施設などのさまざまな要素がそろっている大橋エリアは、福岡市内でも人気の高い居住区として認知されており、右肩上がりで人口増が続いている。

 数字データを見ていくと、福岡市の住民基本台帳に基づく公称町別の人口および世帯数では、大橋エリア(大橋1~4丁目、向野2丁目、筑紫丘1丁目、塩原1~4丁目、大橋団地)は24年12月末現在で人口2万8,701人、1万6,989世帯となっている。遡ること14年9月末時点では人口2万4,792人、1万3,598世帯。さらに04年9月末時点では人口2万1,524人、1万1,618世帯となっており、人口および世帯数とも10年ごとに約1.1~1.2倍ずつの順調な伸びを見せている。また、1世帯あたりの人数は約1.7~1.8人程度で推移しており、大学などが多く学生街の性質も帯びているため、大橋エリアには単身世帯が多い模様だ。

 こうした人口増を背景とした高い居住ニーズを満たすべく、エリア内ではマンション開発および供給が断続的に行われている。

 近年に開発・供給された主な分譲マンションを挙げると、22年11月には、塩原1丁目で照栄建設(株)による「アルテマインド塩原」(24戸)が竣工。22年12月には、移転統合のために閉店となった大橋1丁目の高架沿いの西日本シティ銀行大橋店跡地では、(株)コーセーアールイーによる「グランフォーレ大橋駅前レジデンス」(83戸)が竣工した。そして23年9月には、大橋2丁目の県道31号沿いの那珂川を臨む場所で、(株)日本エスコンと(株)LANDICとの共同事業による「レジアス大橋」(140戸)が竣工。さらに同マンションの隣接地では現在、新たに「レジアス大橋デュクス」(90戸)の開発も25年5月竣工予定で進んでいる。

左:RE BLDG/右:(仮称)大橋一丁目計画新築工事
左:RE BLDG/右:(仮称)大橋一丁目計画新築工事

 このように分譲マンションも一定数の開発・供給が行われているが、前述のように単身世帯が多い大橋エリアでは、賃貸マンションの開発・供給がとくに多い印象だ。21年2月には大橋1丁目で九州旅客鉄道(株)(JR九州)による「RJRプレシア大橋駅前」(152戸)が竣工。22年2月には大橋1丁目の駅前すぐの場所で、福徳興産(株)による「RE BLDG」(90戸)が竣工した。ほかにも、大橋2丁目では「アクシア大橋」(20戸、23年8月竣工)、塩原1丁目では「(仮称)塩原1丁目ビル」(29戸、24年1月竣工)、塩原4丁目では「エフ・パルク大橋2」(35戸、23年2月竣工)と、(株)マリモによる「アルティザ大橋駅前」(23戸、24年7月竣工)など、多くの賃貸マンションが供給されている。

 現在も、大橋1丁目の県道31号沿いでは、(株)シスイエンによる共同住宅・一部物販店舗の「(仮称)大橋一丁目計画新築工事」(48戸、うちワンルーム24戸)の開発が25年5月竣工予定で進んでいるほか、大橋3丁目の県道31号沿いではLANDICによる「(仮称)大橋3丁目計画新築工事」(ワンルーム57戸)が24年10月着工で進行。大橋2丁目では(株)柴田産業による「(仮称)アクシオン大橋2丁目新築工事」(21戸、うちワンルーム20戸)の開発が24年11月着工で進むほか、大橋3丁目では事務所付共同住宅「ラシュール・イン大橋Ⅱ新築工事」(30戸、うちワンルーム20戸)の開発が24年12月着工で進むなど、今後も多くの賃貸マンションが供給されようとしている。

(仮称)大橋3丁目計画新築工事
(仮称)大橋3丁目計画新築工事

 ほかにマンションではないが、大橋1丁目の駅前では福徳興産による「(仮称)大橋1丁目テナントビル新築工事」の開発も進んでいるほか、向野2丁目では(株)OMPによる「(仮称)向野2丁目事務所新築工事」が25年5月着工予定で進められようとしている。地場不動産関係者によると、とくに大橋駅周辺では、前述の大規模区画整理事業の完了後の85年頃から多くのビルが建ち始めたといい、更新期を迎えているものも多いという。そのため現在、古いビルを建て替えるかたちで、住居だけでなくさまざまな開発が活発に進行している模様だ。

左:(仮称)大橋1丁目テナントビル新築工事 右:(仮称)向野2丁目事務所新築工事
左:(仮称)大橋1丁目テナントビル新築工事
右:(仮称)向野2丁目事務所新築工事

(つづく)

【坂田憲治】

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