米韓協力で韓国造船業に追い風?(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏

艦艇の修理などで韓国造船業にチャンス

造船所 イメージ    韓国は全世界の船舶の26%を建造し、60%近いシェアを占めている中国に次ぐ世界2位の造船国である。受注した仕事は、3年分貯まっているほど、造船業は景気が良い。しかし、一方では中国の低価格攻勢にさらされ、シェアを落としつつある。また、高齢化による人材不足も深刻で、造船所には外国人労働者があふれている。だが、このような人材不足は今後ロボットによって解決される可能性が高い。

 そのような状況下、造船業が衰退した米国は、中国の台頭をけん制するため、同盟国である韓国や日本との協力を模索している。米国内ではなかなか修理できない米国の艦艇を韓国などで修理する道が開ければ、韓国の造船業にとっては大きなビジネスチャンスにつながる。

 韓国の造船会社が目指す方法は3つで、1つ目は米国船籍の船舶の設計を請け負うことである。2つ目は、ブロックを韓国で生産し、そのブロックを米国で組み立てて船舶の建造ができるようにすること。3つ目はエンジンなどの船舶の設備を納めるか、船舶のメンテナンスを受注することだ。

造船業の次の成長分野になる可能性

 今後、造船業の有望な分野の1つは艦艇の修理・維持・補修(MRO)事業である。韓国の技術力と価格競争力を生かし、軍艦などを韓国の造船所で修理できるようになると、大きなビジネスになる。過去にはジョーンズ方が制定されているにもかかわらず、スペインで米軍艦が建造されたケースもある。また艦艇の建造はできなくても、米国の韓国企業が艦艇を建造し、メンテナンスを受注するなど、方法はいくらでもある。

 米国の造船業が衰退しているなか、海軍力を補強するために韓国造船業との連携が欠かせなくなるかもしれず、韓国造船業にとっては朗報である。米海軍は295隻(24年)の軍艦を54年までに390隻に増やすことを目指している。それだけではなく、関連法案を発議することによって、米国船籍の商船も大幅に増加させようとしている。

 軍艦には軍事機密があるので、どこまで外国企業に門戸を開放できるかわからないが、法律の改正も含めて、米国が積極的に対応する可能性は高い。人材確保やインフラの整備は一朝一夕にはいかない。そのため、造船業において米国と日韓の同盟が強化されることは間違いないだろう。

(了)

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