党大会でも続いた国民民主党の批判的記者排除(出禁)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

   国民民主党の批判的記者の排除(出禁)は、2月11日に開催された党大会でも続き、党大会参加申し込みをしたのに、「案内していない方からの申し込みは無効となり、当日お越しいただいてもお通しすることがない」と拒否された。

立ちはだかり取材妨害をする国民民主党スタッフ

 昨年12月20日の本サイト記事「榛葉幹事長“首謀”による国民民主党の会見締め出しを擁護するメディア」などで紹介した通り、私は昨年12月6日の榛葉幹事長会見から参加不可(出禁)となり、いまだに解除されていない。党大会でも同様の差別的対応を受け、好意的記者だけに案内を出すことで批判的記者を排除するという差別的報道対応が続いた。

 納得がいかないので当日、党大会会場の受付で理由を問い質したが、入場を阻んだスタッフは「案内を出している方のみ参加可能」というメールでの返答を繰り返すだけ。そこで、用意した出禁の理由を問い質す質問状のコピーを党大会参加者に配布しようとしたが、これに対しても複数のスタッフから「止めてください」と言われ、妨害された。

 この押し問答を目撃した産経新聞の奥平慎平記者は翌日の2月12日、「『出禁になっているんですよ』処分のフリー記者・横田一氏が場外で抗議 国民民主の党大会」と銘打った記事を発信。以下のように切り出した。

 「国民民主党が11日に開催した党大会では会場となった東京都墨田区のビルの1階に同党の一部の記者会見を出入り禁止となったフリージャーナリストの横田一氏も駆け付け、出禁処分を不服とするビラなどを配るなど抗議活動を展開した。横田氏は産経新聞の取材に『国民民主党の出禁体質、差別的報道対応を訴える』と強調した」

 ここにある「国民民主党の出禁体質、差別的報道対応」こそ、先の本サイト記事などで何度も訴えてきたことだったが、これに続く記述には事実と異なる部分がある。

 「横田氏は、不規則発言を重ねたり挑発的な言動を繰り返したりする記者として知られる。昨年11月、榛葉賀津也幹事長の会見で持論を唱え続け、注意したベテランカメラマンに対して『やらせ記者』と発言。榛葉氏は『“ルールを守ってください”と言っても守らず、他のジャーナリストに暴言を吐いた』などと横田氏の言動を問題視し、12月以降『出禁』としている」(前出の記事)。

 まず「不規則発言を重ねたり」とあるが、質問者として指名されないのに不規則発言をして質疑応答を妨害したことはない。会見終了後に声掛け質問をすることはあるが、会見の進行を妨げたことはない。そのため、記事中にある「『ルールを守ってください』と言っても守らず」という榛葉氏のコメントは、虚偽発言をまるで事実であるかのように引用・流布したことになる。

 次に「榛葉賀津也幹事長の会見で持論を唱え続け」の部分も事実誤認。問題になった昨年11月1日の榛葉会見で私は、持論を唱え続けたのではなく、以下のような質問をしていた。

 「石破政権を延命させると、なぜ選挙中に言わないのか。石破不信任案に賛成して、自公過半数割れを目指すと言って連立入りをしないといえば、普通の有権者は政権交代を目指すと思うのではないか。国民をだましたことになるのではないか」

 この質問中にベテランカメラマン(堀田喬記者)は「おまえさ、ここはさ」と不規則発言をしたので「黙れ!」と一喝。それでも「質問をするところだ。一問一答にさせろよ。態度悪いよ、本当に」と質問を遮ろうとしたが、無視して質問を継続した。

 これに対して榛葉氏は「政策実現」を強調しつつ、「選挙で『野田さんを総理にします』とは一回も言っていない」とも回答したので、さらに「どっちが実現可能性が高いのか。(石破政権延命と)野田政権と組むことと」と再質問をしたときに、再び堀田氏は「次に回して次に回せ、本当に」と不規則発言をしたのだ。

 私が質問を続けていたときに、指されてもいないベテランカメラマンの堀田氏が不規則発言で二度も質問を遮ったというのが事実だ(国民民主党会見動画で確認可能)。

 「『やらせ記者』と発言」と紹介した部分も説明不足。2度質問を遮ったルール違反の堀田氏に対して榛葉氏は「今日はいい司会進行がいるな」と褒めたたえたので、私は「スパイみたいなヤラセ記者がいる、堀田さん」と反論したのだ。産経新聞が榛葉氏の発言「ほかのジャーナリストに暴言を吐いた」を引用するなら最低でも私の質問を二度妨害した堀田氏への抗議であったことを紹介しないと不公平である。

 一部内容に問題があるにせよ、国民民主党大会での抗議活動を取り上げてくれた産経新聞の記事は評価している。なお党大会で配布していた質問状(記事の写真で私が手にもっている文書)は以下の通りだ。会見参加不可(出禁)となった理由を聞くもので、1月9日に受理されたのにいまだに無回答状態なのだ。

・質問1 榛葉幹事長は出禁の理由について12月13日の会見で「『ルールを守ってください』と言っても守らずに二度繰り返し、指名をされていないのに発言」(アークタイムズの尾形氏への回答)と述べていますが、総選挙後に二回出席した榛葉幹事長会見(11月1日と11月8日)の動画を確認しましたが、指名もされずに不規則発言をした場面も「ルールを守ってください」と注意された場問も確認できませんでした。私がルール違反をした根拠を教えてください。
・質問2 12月20日の榛葉幹事長会見でアークタイムズの尾形氏は、11月1日の会見で指名されていないのに不規則発言(私の質問への妨害)をしたのが堀田記者と指摘。堀田氏に質問を遮られた側の私が「ルール違反になる」と言われて出禁になるのは「報道の自由への侵害ではないか」と聞いていますが、榛葉幹事長は否定しました。ルール違反をした堀田氏が出禁にならずに、なぜ不規則発言で質問を妨害された私が出禁になるのでしょうか。
・質問3 榛葉幹事長は出禁の理由について「ほかのジャーナリストに対して暴言を吐き」(12月13日の会見)も挙げていますが、不規則発言で質問を妨害した堀田氏に「ヤラセ記者」と私が抗議したことを指しているのでしょうか。堀田氏のルール違反は問題にせずに、ルール違反への抗議の声を問題にするのは、差別的報道対応ではないのでしょうか。
・質問4 榛葉幹事長は出禁の理由ついて「会見終了後も声を出す」(12月20日の会見)ことも挙げていますが、榛葉幹事長会見は約34分と玉木代表会見の約1時間に比べて短く、指されない記者も少なくありません。11月9日の榛葉幹事長会見で指名されなかったので、会見終了直後、短い会見時間への抗議も込めて声掛け質問をしましたが、会見終了後なので会見の進行を妨げたわけではありません。会見終了後の声掛けも出禁の理由になるのでしょうか。
・質問5 11月1日と8日の榛葉幹事長会見後も11月19日と26日の玉木代表会見に参加可能でしたが、なぜ12月6日の会見から出禁となったのでしょうか。この決定は、いつ誰がどのような場で行ったのでしょうか。

 この質問状のコピーを党大会参加者(議員や報道関係者や支持者)に配布した。完全無視の人が多かったものの、国会議員を含めて少なからぬ人が受け取ってくれた。この抗議活動、国民民主党の出禁姿勢を産経新聞が報道したのを受けて、国民民主党が出禁解除をするのか否かが注目される。

【ジャーナリスト/横田一】

関連キーワード

関連記事