2024年11月25日( 月 )

吉松源昭県議の発想の貧困~糟屋郡発展は「高島市長におんぶにだっこ」?!

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福岡都市圏のなかでも、粕屋地域(1市7町)、とくに糟屋郡は独特だ。「平成の大合併」で合併しなかったため、それぞれの自治体が小さく注目されにくいが、多様な魅力を持つ。糟屋郡選出の吉松源昭県議(自民)に、まちづくりの課題、ビジョンを聞く機会を得た。県議4期目、自民党県連副幹事長、自民党県議団副会長を務めた糟屋郡のキーマンである。


 糟屋郡の人口は約23万人と、筑紫野市と春日市を合計した人口よりも多いが、平成の大合併に乗り遅れたのか、あえて乗らなかったのか、1つの見識ある選択だった。今年10月の粕屋町長選で合併推進を掲げる因辰美・新町長が誕生し、合併の機運が生まれるのか。
 吉松県議の見解は、こうだ。
 「平成の大合併では、新宮町を除く6町合併協議会を立ち上げる寸前までいったが、2町の議会が否決したので合併できなかった。合併で20万人の市になれば財政力も大きくなる。(前回と同じ枠組みの6町に)町長6人、議員約80人の削減など財政削減効果は大きい。合併が検討課題になるのは当然。糟屋郡の場合、過疎自治体同士の合併ではなく、人口増加、成長地域同士の合併になる。地域からの要望が大前提だが、県議として合併の動きが出れば援護していきたい」。


 吉松県議は、須恵スマートインターチェンジの活用、久山町の観光交流センター事業の今後、海産物を中心にした商業施設『海の駅』(仮称)整備など、長期スパンで構想を描きながら、地域住民の相談や陳情の対応、実現に邁進しながら、県民の暮らし、地域の安全・安心のために、1つ1つ取り組んできたと述べ、これからも取り組んでいくという姿勢を示した。


 ところが、福岡市営地下鉄の延伸や糟屋郡の成長発展の地域資源に話がおよぶと、「糟屋郡には、福岡市の人口増、経済成長、観光客増の恩恵がおよんでいる。住民の半分は、福岡市内に勤務している。福岡市の勢いが根底にあって、糟屋郡は成長している。高島宗一郎福岡市長は良くやっている。高島市長と連携を取って、元気を吸収していきたいと思っている」と、話し出した。


 まるで「糟屋郡の発展は高島市長にかかっている」と言わんばかりで、何のための県議なのかと驚かざるを得ない。市町村が県と連携して発展をめざし、その橋渡し役をするのが県議である。地域の財産を活かして発展するより、「福岡市依存」一辺倒、福岡市のおこぼれをもらって成長しようというのでは、「地方の自立」にも逆行する。
 吉松県議は、今年4月の県議選糟屋郡区(定数3)でトップ当選を果たした。盤石な地盤を築いていてもおかしくないが、同選挙では8年ぶりに農政連の候補者が立候補しており、TPPに絡んで、農業票が自民党に反旗を翻せば、保守票が分断して、何が起こるかわからない選挙区事情にある。選挙対策として、福岡市長の人気に便乗するようでは志が低い。
 「高島市長におんぶにだっこで、なんとかなる」という発想の貧困に嘆かされた。

 

【山本 弘之】

 

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