10日、(株)高田工業所(北九州市八幡西区。以下、同社)は日揮(株)(横浜市)と資本業務提携を行うことを発表した。両社は昨年11月以降、プラントの設計・調達・建設(EPC)分野で協業を開始していたが、今回の提携により両社間の関係を資本面からも強化することになる。
同社は1940年の創業以来、産業設備の設計から建設・メンテナンスまで幅広く手掛け、近年は装置事業や設備診断事業へと事業範囲を広げ、デジタル化やICT化にも積極的に取り組んでいる。2022年度から26年度にかけて第5次中期経営計画を推進しており、成長産業への進出や既存事業の強化を軸に、事業構造の改革を進めていた。
同社によると、資本業務提携の目的は、低・脱炭素案件が増加するなか、EPCの遂行リソース確保が課題となる環境下で、両社のEPC遂行能力を高め、安定的な遂行体制を構築するとともに、国内のプラント設備の老朽化が進むなか、DXを活用した業務効率化やメンテナンス体制の強化を狙うとしている。
今回の提携では、同社が第三者割当増資を実施。日揮が新たに普通株式89万4,386株を取得する。発行価額は1株あたり1,426円で、調達額は12億7,539万4,436円となる。日揮は既存株主からも株式57万2,514株を市場外の相対取引で取得し、合計146万6,900株を保有。これにより日揮は同社の筆頭株主(議決権比率20.31%)となり、これまで筆頭だった西日本興産(株)は持株比率10.88%で第2位に後退する。
調達資金の用途は、経営システム刷新費用6億5,000万円(25年4月~28年3月)および新システム運転費用5億8,300万円(25年4月~30年3月)を予定。全社基幹システム(ERP)の刷新を中心に、業務プロセスや調達、施工管理システムを抜本的に再構築し、DXによる業務効率化を一層進める考えだ。
【寺村朋輝】