中小企業対策費が大幅増 令和7年度は補助金活用の好機

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 2024年12月27日、政府は令和6年度補正予算を閣議決定し、中小企業・小規模事業者向け対策費として約5,900億円を計上した。さらに令和7年度当初予算では、前年度比218億円増の1,300億円を確保。当初は中堅企業重視の方針が目立っていたが、一転して中小企業支援を大幅に拡充。人材不足やデジタル化の遅れに直面する経営者に千載一遇の機会をもたらした。令和7年度は、補助金を積極的に活用し、事業の成長や立て直しを図る絶好のタイミングといえるだろう。

政局主導の中小支援

 政府は2024年3月、「中堅企業元年」を宣言し、中堅企業の成長支援に注力する方針を示していた。一方、中小企業は市場競争の激化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れから、淘汰の危機が囁かれていた。

 しかし、昨年末に国民民主党が「手取り増」を重視する政策を打ち出したことを受けてか、政府は中小企業支援に急きょ方針を転換。令和6年度補正予算では、「ものづくり補助金」が当初の1,000億円から2,000億円に倍増し、「持続化補助金」も約1,000億円を計上した。

 さらに、新設の「中小企業成長加速化補助金」(上限5億円)も目玉として注目を集めている。政局主導との批判はあるが、経営者にとっては追い風だ。

新たな補助金のカタチ

 とくに注目すべきは「中小企業成長加速化補助金」だ。この補助金は、中小機構(中小企業基盤整備機構)が出資するファンドを通じ、売上高100億円超を目指す中小企業にリスクマネー(メザニンなど)を供給する仕組み。

 上限5億円という大胆な支援額は、大規模な設備投資や事業拡大を後押しし、成長へのチャンスを提供する。製造業なら新工場の設立、小売業なら全国展開といった第一歩を踏み出せる可能性がある。

 経営者にとって競争力を高める魅力的な選択肢だが、単なる補助金ではなく、返済義務や資本構成への影響をともなう「融資的要素」を含むため、慎重な判断が求められる。それでも、成長意欲のある企業には競争力向上の有力な手段となるだろう。

好機到来、今こそ行動を

 令和7年度は補助金の公募が本格化し、中小企業経営者に行動の好機が到来する。製造業なら最新機器導入、小売業ならオンライン販売基盤構築などが可能になり、業務効率化や販路開拓が期待できる。
 中小企業庁は申請手続きの簡素化や相談窓口の拡充を進めており、補助金活用が初めての経営者でも取り組みやすい環境が整っている。ただし、予算は有限で、早めの情報収集と計画が鍵。補助金で賃上げや拡大を図れば、従業員や地域経済にも寄与する。今が一歩を踏み出すべき時だろう。

【児玉崇】

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