自民党保守派から噴出する「石破首相交代論」
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自民党内で、石破茂首相(党総裁)に対しての交代論を含めた批判が噴出している。2025年度予算案などで野党に譲歩する首相の対応に不満が蓄積していることが理由として挙げられる。夏の参院選に向け、内閣支持率が回復しなければ、一気に退陣論が浮上する可能性もある。
旧安倍派からの首相批判
石破首相を強く批判しているのは、旧安倍派を中心とした保守系議員である。旧安倍派に所属していた西田昌司参議院議員は12日、国会内で開かれた党参議院議員総会で「参院選は今の体制のままではまったく戦えない。総裁選をやって、新たなリーダーを選び直さないといけない」と首相交代を要求した。
3期目の西田氏は参院選京都選挙区(改選定数2)に立候補する予定。西田氏は「この前の総裁選で、党員投票で一番多かったのは高市早苗・前経済安全保障相だ」と述べるなど、党内でも「反石破」の立場をとる者は多い。
高市氏は11日、自身のXで9日の党大会での首相演説に触れ、「パンチの効いた政策メッセージは打ち出されなかった」と冷ややかな反応を示した。
夫婦別姓が党分裂の火種に
そもそも高市氏は、選択的夫婦別姓に反対するなど保守色が強い。自民党大会に合わせて総会を開催した保守系団体「日本会議地方議員連盟」は、夫婦別姓に断固反対する方針を打ち出している。全国から約120人の地方議員が集まった総会には、高市氏の他、有村治子・和田政宗両参議院議員も出席した。
総会では日本会議所属の女性地方議員の会から旧姓の通称使用の法制化を求める要望書が高市氏に手渡されている。
保守派のヒロインといってよい高市氏は、リベラル志向があり、野党に譲歩する石破首相に対して批判的な姿勢を見せる必要がある。ただ、トーンを上げすぎれば党の分裂につながりかねない。
保守系グループ「日本の尊厳と国益を護る会(護る会)」の代表を務める青山繁晴参議院議員も12日、ニッポン放送のニュース番組に生出演し、石破首相が高額療養費の負担上限額引き上げ凍結を表明し、2025年度予算案が参議院で再修正されることについて、「政局の始まり」「(首相は)一定の政治責任は取らざるを得ない」と語り、「基本的に、(石破首相は)財務省のいうことを優先し過ぎている。ご病気の方は公的補助(高額療養費)がないと途中で命をあきらめることになる。弱者の味方の石破首相なのに、『こんなお金のかかることは困る』という財政当局のいうことに耳を傾け、国民を見ていなかった」と批判した。
ただ、参院選や東京都議選を控える中、こうした党内の動きに否定的な自民党議員も少なくない。党内の混乱は、自身の選挙に影響し、ますます支持率が下がると考えているからである。今後どこまで首相批判が広がるのかが注目される。
【近藤将勝】
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