2024年12月22日( 日 )

シェールガスの台頭、パイプライン~LNGの未来は?(前)

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LNGとはLiquefied Natural Gas(液化天然ガス)の略語で、メタンを主成分とした天然ガスを-162度に冷却して液化したものである。天然ガスは動植物の死骸が地中で長い間、圧力と熱を受けて変化し、形成されたものといわれている。天然ガスを-162度で冷却すると、気体は液体になり、気体の状態に比べ、体積が600分1になる。ガスを液体にすることによって、大量輸送、貯蔵なども可能になり、液化天然ガスは全世界で使われるようになった。液化天然ガスは基本的に産地で液化され、専用のLNG船で消費地に運ばれる。


 液化されたガスを現地で消費する際には気体に戻して使うことになる。これまでは海水でガス化することで、冷たい冷熱を海水に捨てていた。しかし、この冷熱を活用して冷凍倉庫を冷却しようというプロジェクトが韓国で推進されている。


 韓国のユジン(EUGENE)グループは平沢港と仁川港にそれぞれ3万坪の大型冷凍倉庫団地の建設を予定しており、この物流団地は今までは海に捨てていた冷熱を利用することにより、冷凍コストを70%削減できるとしている。それだけでなく、太陽光発電などを利用することによって外部からの電力を一切使わない、画期的なプロジェクトとなっており、これが実現した際には全世界への輸出を考えているようだ。


 中国との交易が増えていく中で、このプロジェクトには韓国内外の熱い視線が注がれている。総工費は5,000億ウォンにのぼり、東京ガスエンジニアリング社と技術提携して進められている案件である。筆者はこのプロジェクトに関わるようになり、最近LNGのことをいろいろ調べる中で、一つ気になる動向があることが分ったので、今回はそれを取り上げてみたい。


 ご存知のようにLNGの価格は石油価格に連動されているので、原油価格が下がることによって、LNGの価格も一時期に比べれば大幅に下がっている。LNG価格が下がることで露呈された問題でもあるが、液化天然ガスの価格は根本的な課題を一つ抱えている。天然液化ガスは本来、石油より安いが、液化するコストと特殊な船で運ばないといけないため運送費がかかり、それをガス本体の価格に上乗せしなくてはならない。それによってガスの価格が決定される。そのような価格の仕組みなので、ガス本体の価格が安くなればなるほど、逆にこの液化と運送のコストがガス本体価格より大きくなる現象が発生する。


 運送費は地域によって違うため一概には言えないが、アジア地域を中心に考えてみると、液化天然ガスの価格は4ドル/MMBtu(熱量単位)で、液化コストが3ドル/MMBtuで、運送費が2ドル/MMBtuである。ガス本体の価格よりも別のコストが高い奇異な状況が発生しているのだ。天然ガスの価格が下がっても、液化コストと運送費はそれほど変わらないものである。ということは、低油価時代になればなるほど、このコストがネックになり、液化天然ガスは競争力をなくしてしまうことを意味する。このような状況下で、液化天然ガスの脅威となる存在が台頭しつつある。シェールガスの出現とパイプラインでのガスの供給である。


 液化天然ガスをもっとも多く輸入しているところは、東北アジア(中国、日本、韓国)とヨーロッパである。国別に見ると、日本が1位で36.6%、韓国が2位で16.7%、ヨーロッパは3位で15.8%になっている。しかし、シェールガスの出現などでエネルギー市場に変動が起きようとしている。

(つづく)

 

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