(一社)社労士成年後見センター福岡設立
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一般社団法人社労士成年後見センター福岡(木原美佐子理事長)の設立を記念した講演会と披露パーティが11月19日、福岡市内で開催された。同センターは、成年後見業務などを行う社会保険労務士が高齢者、障害者らが自らの意思で安心して日常生活を送れるように支援するために設立された。これまで福岡県社会保険労務士会内に設置されていたが、2015年10月に独立した一般社団法人となった。14年から家庭裁判所の依頼を受けて、成年後見人などの推薦を行っている。専門職による成年後見は、弁護士、司法書士、社会福祉士らが多くを占めているが、社労士が取り組みを本格化する。
披露パーティには、行政関係者や、高齢者・障害者らに関係する諸団体の関係者、弁護士、司法書士、社会福祉士ら成年後見に取り組んでいる専門職らが多数出席し、設立を祝った。
木原理事長が、「少子高齢化、核家族化、結婚しない若者の増加など、家族のあり方が変わるなか、判断能力の低下した方を社会全体で支援していくための、第三者による成年後見制度は、ますます需要が高まる。年金・介護保険の専門家であり、障害年金の必要な方の成年後見もあり、成年後見に関わる意義は大きい」として、成年後見活動の決意を述べ、関係者に倍旧の支援を求めた。
記念講演会では、日本ホームヘルパー協会会長で、福岡県介護福祉士会会長の因利恵氏が、成年後見人に必要な介護を取り巻く状況、介護の現場の問題点を述べた。
因氏は、「セオリーどおりにいかないことがある」として、介護の現場から問題を提起した。1人暮らしの高齢者の事例として、「だまされていると思っても一緒に住んでくれる人がいてほしい」という事例を紹介。1人暮らしの女性高齢者の自宅に同居を始めた中高年者の男性が高齢者の預金を頼りに生活していたケースを紹介し、関係者で対応を協議し男性が出て行くことを承諾したものの、いつまでたっても同居が続いていたとして、女性に事情を聞くと「どんな人でも一緒に暮らしてくれる人がいた方がいい」という答えだったと語った。
また、親の貯金や年金を子どもが当てにしてお金を無心するため、貯金の出し入れやお金の管理を、家族ではなくホームへルパーら第三者に頼みたいと思っている傾向があると、介護の現場から指摘した。
因氏は、福祉サービスの基本理念(社会福祉法3条)として、「個人の尊厳の保持」と「その有する能力に応じて自立した日常生活を営むことができるように支援」する重要性を強調。認知症高齢者の増加、老夫婦世帯や高齢者単独世帯の増加から要介護者の増加が見込まれるなか、最近の介護保険制度の改定を紹介。軽度の人を地域ボランティアや助け合い組織で支援する地域支援事業の創設、高所得者の負担割合の引き上げ、要支援者訪問型への移行、要介護認定にあたって軽度者を特定高齢者として選び出すための「チェックリスト」など、社会保障費を削減する方向が進んでいて、軽度者や生活援助の“介護外し”の懸念を表明した。
最後に、「個人の価値の平等」という近代立憲主義、憲法13条の基礎をなす「個人の尊重」が重要だとして、社労士の成年後見活動の発展、活躍を期待した。
理事は、木原美佐子(理事長)、枌年行(副理事長)、熊本準一(副理事長)、神吉マサ子、川波継道、児玉佳美、帆士宜洋(福岡県社労士会会長)、村岡五十次(福岡県社労士会専務理事)の各氏。【山本 弘之】
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