トリビュートの不動産再生(6)拡大する福岡ホテル市場

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2024年インバウンド 九州でも過去最多

    「福岡市中心部の不動産には、外資も注目しており、とくにホテルやホテル用地の高騰はまだ続くと見ています」──不動産再生を手がける(株)トリビュート(福岡市中央区)の田中稔眞社長は話す。

 「福岡はビジネスホテルは多いですが、外国人観光客が求めるようなホテルはまだ伸び代があります」と続ける。一般的に、外国人観光客は4人程度の家族ないしグループで福岡を訪れることが多く、ビジネスホテルよりも30m2超の客室を備えるホテルを好むケースが多いといわれる。

 2024年、九州を訪れた外国人旅行客は500万人を記録。過去最高だった18年(511万人)に肉薄したほか、宿泊をともなわない船舶観光上陸を除いた通常入国者は426万人で、362万人だった18年を大幅に上回る結果となった(資料:国交省九州運輸局)。実際、博多駅周辺や中洲・天神では外国人旅行客を多く見かけるほか、飲食店で行列をつくる姿がすでに日常となって久しい。

 福岡市では、どのエリアがホテル開発用地として見られているのだろうか。トリビュートのグループ会社・(株)TRホールディングスの専務取締役・永田誠氏に話を聞いた。

 博多区と中央区の駅徒歩圏が、ホテル開発用地として見られているようです。博多区では、博多駅や東比恵駅・祇園駅・中洲川端駅・櫛田神社前駅の周辺は当然ながら、最近はJR南福岡駅でもホテル開発用地としての売買が確認できました。

 中央区では駅から離れますが、清川・高砂・春吉といったエリアでホテル開発を検討するケースが増えてきたようです。このあたりは20坪前後の狭小地も少なくないですが、戸建タイプのホテルにすることで、住宅アセットより収益性の高い開発が可能となることもあります。

 コロナ禍前、小規模のホテル開発が多数確認されましたが、建設コストのさらなる高騰により、今では客室面積40~50m2のホテル開発は収支が合わないことも少なくありません。建設コスト高騰の影響は大きく、どの立地でどの規模ならポテンシャルを最大化できるのかをこれまで以上にしっかりと見極めていく必要があります。デベロッパーに用地を提案する当社としても腕の見せどころですね。

博多駅至近の土地取引で坪単価2,000万円超

    地価高騰により、ホテル用地なら坪当たり1,000万円以上は当たり前になってきており、博多駅至近なら2,000万円以上で取引されたケースもすでに見られている。コロナ禍前、博多駅の周辺ではホテルチェーンによる用地取得が活発化した。コロナ禍で一気に落ち込みはしたものの、現在はそれをも上回る価格上昇局面にあるといって差し支えないだろう。

 「すでに中心部の地価は、ホテル開発以外は検討しにくい状況になってきています。土地が高いことももちろんですが、建設コストの高騰で新規開発のハードルが高くなっていることも大きな要因です。今後、建設コストが低下することは考えにくいでしょう。それでも、国内では東京に比べるとまだまだ安い。ホテルの宿泊単価も上昇していく余地は十分にあると思っていますし、在京・在阪のデベロッパーからの問い合わせは実際に増えています」(田中社長)。

新規開発だけでなくコンバージョンも

 賃貸マンションの利回りも低下傾向で、比較的新しいものなら表面利回り4%台も珍しくなくなった。「ホテル事業を検討する場合、新規開発のほかに、たとえば賃貸マンションからコンバージョンすることも可能です。立地や建物の状況から、ホテルにコンバージョン可能な賃貸マンションであれば、利回りは単純に倍以上となります」(田中社長)と話す。

    「コロナ禍や自然災害、政治リスクによる需要の縮小は考えておく必要がありますが、日本の観光資源のポテンシャルは我々が思っている以上に大きい。先日、オーストラリアから観光で来日した方とお話をする機会があったのですが、彼は自転車で旅をすることがライフワークといい、今回の日本観光では自転車で四国一周したそうです。印象的だったのは、『日本はどんなに田舎に行っても道路がちゃんと舗装されている』という一言でした。我々からすれば当たり前のように感じてしまうことですが、非常に誇らしく思いました」。

 ストック事業の強化も図る同社では、長期保有を目的に賃貸マンションを取得し、今春から同物件でホテル事業をスタートする予定だ。次号では、同社のホテル関連事業を紹介する。

【永上隼人】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:田中稔眞
所在地:福岡市中央区渡辺通1-1-1
    サンセルコビル6F
設 立:2009年4月
資本金:1,600万円
TEL:092-292-2313
FAX:092-292-2314

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