参院選野党共闘の現状、山口二郎教授「市民主導に各党が乗る枠組みが現実的」
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2016年参院選挙の野党共闘、野党協力の現状について、立憲デモクラシーの会の山口二郎共同代表(法政大学教授)は11月29日、福岡市で開かれたシンポジウムで報告し、「市民主導に各党が乗るという枠組みが現実的」という見解を示した。
山口氏は、民主党に近い立場から、野党結集を働きかけてきた。「志位共産党委員長が野党結集を呼びかけて2カ月経ちますが、民主党はどこを向いているんだと言われるように、1つにまとまれない、方針を決めきれない状況だ」と指摘。「岡田代表と枝野幹事長は野党共闘路線」だとして、党内に、右寄りの野党再編で、おおさか維新と合流したい反対派がいると述べた。安保法制に反対した各野党と各団体の協議会が10月から開始され、12月9日に3回目があると明らかにした。協議会には、立憲デモクラシーの会、安保法に反対する学者の会、ママの会、SEALDs、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会も出席しているとして、「実質的な野党協力をそこで協議して方向性を出す、各党はこれに乗れというかたちを作りたい」と表明した。
石川県で安保法に反対していた弁護士が参院石川選挙区に立候補すると11月28日に記者会見したように、「具体的に地域で安保法反対の候補者を市民が擁立するかたちを作っていければ、みんなが希望を持って取り組んでいけるのかなと期待もちょっとある。民主党にも、市民主導の候補者擁立を裏から実質的に支援している政治家もいるので、民主党が全部駄目なわけじゃない」と語った。
中野晃一教授「屈服させる政治へ個人の尊厳に根ざした対抗軸を」
同シンポで基調講演した中野晃一・上智大学教授は、2016年の参院選挙へ向けた状況を「まだこのままいくと負けるだろうと思っている」と分析した。「それは、対抗軸がきちんとできて、52.7%まで落ちた投票率が上がるくらい、意味のある選挙だと発信できなければ、今の状態では野党共闘ができるかどうかも怪しいが、野党共闘ができただけでも駄目だと思う」と述べ、野党共闘がかたちのうえでできるだけでなく、有権者に発信すべきポジティブで包括的なメッセージの必要性を説いた。
「その軸になるのは、屈服させようとしている政治に対し、個々人の尊厳や自由、それに根ざした政治を行えということを突きつけていくような連合体しかないと思う。それは経済問題でも使い捨てのような労働のあり方、沖縄のこと、原発のことなどさまざまな分野で、力のある者、富める者が、他の人間を屈服させることが行われようとしていることに対して、個人の尊厳、それを中心に据えた政策のあり方があるんじゃないかと野党が結集して、それを市民団体が後押しする構図ができて初めて勝負になる可能性が出てくる状況だと思う」と述べた
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