新しい政治文化、市民が出現~立憲デモクラシーの会「安保法制以後」でシンポ
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立憲デモクラシーの会のシンポジウム「安保法制以後の憲法と民主主義」が11月29日、福岡市内で開かれた。安保法制の問題に対する市民の関心の持続と、立憲デモクラシーの回復に向けた取り組みや来年夏の参院選挙で安保法制阻止のための行動を、全国各地の運動参加者とともに考える地方講演会の取り組みで、札幌に続く第2回。
中野晃一・上智大学教授(政治学)、阪口正二郎・一橋大学教授(憲法学)が基調講演。同会共同代表の山口二郎・法政大学教授をコーディネーターにして、戦争を許さない福岡県民委員会の井芹美穂弁護士、安保関連法に反対するママの会@福岡の宮下彩さん、Fukuoka Youth Movement(FYM)の熊川果穂さん、九条の会の村井正昭弁護士がパネルディスカッションした。戦争を許さない福岡県民委員会、FYM、九条の会が共催。約300人の市民が参加した。立憲デモクラシーが福岡市で開いたシンポジウム
山口二郎・法政大学教授
阪口氏が安倍政権と立憲主義について講演し、憲法改正でやるのか解釈改憲でやるのか、いずれにしろ近代立憲主義の無視という結論ありきの安倍政権の姿勢を批判。近代立憲主義は、単に憲法が国家権力を縛るだけではなく、多数者の意思によっても侵害できない人権の保障を前提にしていると指摘し、個人主義、基本的人権、社会契約論、人権の普遍性を否定する動きを警告した。
中野氏は、政治学から見た安保法制の問題点について講演し、丸山真男氏の「まつろう」「まつろわす」という戦前の政治の特徴づけを引用して、「日本国内の民意を無視して、だまして、力づくで『自発的な服従』を強制し、米国にこびへつらい、その見返りに歴史修正主義のおこぼれを認めてもらう」と安倍政治を分析。それが戦後的価値の対極にあるから、多くの人が国会前でも地方でも集まったと述べ、「まつろわない人」であり、その原理にあるのは個の尊重だと強調した。パネルディスカッションでは、山口氏が「安保法制反対運動は、日本で、新しい政治文化が出現した大きな転機だった。多くの人が市民としてカミングアウト、市民が出現したことが安保法制反対運動の意味があった。公共人としての義務を感じて、いても立ってもいられない、ここで何か自分も言わなければ、行動しなければ、子どもたち、孫たちに申し訳が立たないという義務感で動いたから、この運動が広がった」と述べた。
阪口氏は、「戦後何年たったから憲法を変えなきゃと言われるが、家電を何年たったから買い換えようとは考えない。結婚して30年たったら別れようとか、3年付き合ったから別れようという話はない。どこかに問題があるから変えるわけで、憲法のどこに問題があるかをきちんと議論する必要がある。ムードに流されず、自分で考えることが一番重要だ」と指摘。「この夏、国会前で印象に残った言葉があり、SEALDsが叫んでいた『民主主義って何だ、これだ』というのを、私も実感した。この国は民主主義だ、この国は立憲主義だという国にしたいと強く思った」と決意を語った。
中野氏は、「『自発的な服従』の強制は、言ってみればドメスティックバイオレンスで、DV政権だ。次々と『違憲インフレ』状態でやってくるのは、我々に無力感を与えようとしている。それをどう断ち切るかというと、関係を切るしかない。この夏、SEALDsと関わってわかったことは、戦後ずっと平和運動に関わってきた人たちが彼らにインスピレーションを与えているということです。子どもや若いときは、ウザイなと思っていても、背中を見て、それを血肉にして、今、自分の言葉で平和を語るようになってきている。ここからスタートするしかない。DV政権を追い出すことをやっていきましょう」と呼びかけた。立憲デモクラシーの会は、安倍政権が政治の基本原則を覆そうとしているのに対し、憲法に基づく政治を取り戻そうと、2014年4月に設立された。「為政者が暴走し、個人の尊厳や自由をないがしろにすることのないよう、さまざまな歯止めを組み込んでいるのが立憲デモクラシー」だとしている。共同代表は、樋口陽一・東京大学名誉教授と山口二郎・法政大学教授。
中野晃一・上智大学教授
阪口正二郎・一橋大学教授
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