サッカーJ1リーグ・アビスパ福岡は20日、アウェーのIAIスタジアム日本平で清水エスパルスと第11節の試合を行った。19日に開催された試合で京都サンガが勝利したため、アビスパは首位を明け渡して、暫定2位でこの試合に臨む。対する清水は4勝4敗3分けの10位。清水は昨シーズンJ2優勝をはたし、今季は3年ぶりのJ1復帰。「サッカー王国」といわれた静岡のクラブらしく、高いテクニックをベースにした攻撃的な試合運びが特徴だ。前節は横浜F・マリノスに2点を奪われながら、3点取り返して大逆転勝利。マリノスのスティーブ・ホーランド監督解任の引き金を引く快勝をはたした。
ここまで7戦無敗と好調を続けてきたアビスパを、試合開始直後いきなりの試練が襲う。2分にはコーナーキックの流れからMF見木友哉がこの試合初めてのシュートを放つが、これは清水GK沖悠哉がセーブした。
その直後の3分、清水は最終ラインのDF吉田豊からのパスを受けたMFカピシャーバが中央にドリブルで切り込む。カピシャーバからのパスを受けたのはFW松崎快だ。昨シーズン清水に加入した松崎は、25試合で2ゴールを挙げる活躍で清水のJ1昇格に貢献。今シーズンは主力として前線で躍動し、ここまで2ゴールを挙げている。さてその松崎は、アビスパ守備陣がエリア内に侵入しようとするFW北川航也、MFカピシャーバをケアしようとしていると見て取るや、左足を強振。グラウンダーのシュートは、短く刈り込まれた芝の上でスピードに乗り、アビスパGK村上昌謙の手をすり抜けてゴールに収まった。試合開始3分、アビスパはあっという間に1点のビハインドを負ってしまった。
常々「先制点が大事」と言い続けている金明輝監督にとっては、もっとも憂慮すべき事態だ。だが、今のアビスパはこれで意気消沈などしない。その直後の4分、左サイドの深い位置でスローインを受けたMF藤本一輝は、5人の選手に囲まれながらペナルティエリア内をドリブルで進む。藤本はボールを失うが、VAR(ビデオアシスタントレフェリー)のチェックの結果、最後に立ちはだかったFW乾貴士が藤本を倒したと判定が下される。アビスパはペナルティキックを獲得した。このPKをMF見木が確実に沈め、アビスパが同点に追いつく。
同点に追いついたアビスパは、きびきびとボールを回しながら清水ゴールを目指して攻撃を繰り出す。対する清水は無理にボールを奪いに行かず、集中した守備でアビスパの攻撃をしのいでいく。このまま前半も終わるのか…と思われた前半アディショナルタイムの47分、清水はこの試合初めてのコーナーキックを獲得する。蹴るのはFW松崎だ。松崎が左足で蹴ったボールに対し、ゴール前に詰めてきたMFマテウス・ブエノが頭で合わせて勝ち越し弾を決める。さらに50分、左サイドでボールを受けたFW乾貴士が逆サイドに大きなサイドチェンジを送ると、これがDF北爪健吾に収まる。北爪が中央に折り返すと、そこに走りこんできたのはまたしてもFW松崎だった。松崎は、前半だけで2ゴール1アシストと清水の全得点に関わる大活躍を見せる。
後半もアビスパはしっかりボールを保持したうえで次々と攻撃を仕掛け、シュートも放つものの、清水のディフェンスの前に決定機には至らない。試合はこのまま3-1で清水が勝利。アビスパは清水の倍以上のシュートを放つが、得点はPKの1点にとどまってしまった。
アビスパが公式戦で敗れるのは、2月26日の川崎フロンターレ戦以来。3月は無敗、4月も公式戦4連勝と波に乗っていたが、ここで小休止ということになった。この結果、アビスパは5位に後退。次の試合は4月25日、金曜日ホーム開催のファジアーノ岡山戦だ。仕切り直しとなったアビスパがどんなゲーム運びを見せるか、夜のベススタで目撃しよう。
【深水央】