「声を上げるしかない」「野党は共闘」~安保法制と民主主義で討論
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「声を上げるしかない」「野党は共闘」~安保法制と民主主義で討論
立憲デモクラシーの会のシンポでパネルディスカッションする出席者=11月29日、福岡市
立憲デモクラシーの会が11月29日、福岡市で開催したシンポジウムのパネルディスカッションでは、安保法案反対の運動と今後、次の国政選挙への関わり方、パリ同時テロと緊急事態宣言を可能とする憲法改正の動きなどについて意見交換した。
安保法反対の運動は、一過性ではなく、市民が主権者として立ち現れたことが特徴で、運動は成立後も持続している。
安保関連法に反対するママの会@福岡の宮下彩さんは、「声を上げるのが、ご飯をつくったり、子どもを遊ばせたりするのと同じ日常生活の一部になってしまった」として、成立後も毎週1回行動しないと落ち着かないと話した。
Fukuoka Youth Movement(FYM)の熊川果穂さんは、安保法案の衆院採決後に、大学人の会結成に刺激され、学生ら若者で結成したFYMの中心メンバーの1人として、安保法に反対してきたことを述べ、「生き生きとした4カ月間だった」と振り返り、「廃止させるために毎月19日に行動している」と、安保法制成立後の取り組みを紹介した。
戦争を許さない福岡県民委員会の井芹美穂弁護士は、「安保法案成立は本当に残念。成立された以上、使わせないことが大事だ。弁護士として、法律の問題点、違憲性を指摘していけるし、(個人として)反対している姿を見せていくことが大事だ」と呼びかけた。
南野森・九州大教授(憲法学)がフロアから発言し、「憲法を踏みにじる、憲法が何を書いていようが解釈で乗り切れるんだという安倍政権のやり方が、安保問題以外にも出てきていると感じている」として、臨時国会招集問題を指摘。「憲法の規範力、憲法には嫌でも従わないといけないという政権の自覚が非常に低くなってきている。国家権力を縛るのが憲法の役割だが、罰則がなく、国家権力が従ってくれない限り非常に無力な、普通の法律と異なった法というところに憲法の特色がある。『お前、憲法守っていないじゃないか、憲法主義に、立憲主義に違反する』と声を上げるしかない」と述べた。
テロと緊急事態条項に関して、九条の会の村井正昭弁護士が、「テロは軍事では解決できない。安倍首相がテロ対策を利用して何をやろうとしているかだまされてはいけない。すでに災害緊急事態法があるが、今はマスコミ統制ができない。安倍政権はそれを1番やりたいと思っている」と指摘した。
コーディネーターを務めた山口二郎・法政大学教授が「為政者に効き目があるのは選挙の投票だ」と強調し、来年夏の参院選挙へ向けた協力について、パネリストの意見を聞いた。
宮下さんは「『だれの子どもも殺させない』と訴えてきたが、みんなで幸せになってほしいという考えが根底にある。あきらめないでやっていくには、楽しくやっているのが大切だ。フリマやマルシェ、ピンクのプラカードで人文字をつくろうかと考えている。この夏、路上からの、公園からの、我が家からのデモクラシーを経験した。次は、まず投票に行こうという声を上げるのが役割だと思っている」と答えた。
熊川さんは、9月23日の北九州市の集会で「野党は共闘」のコールをし、出席した野党4党の議員が壇上で手をつないだことを紹介し、「どうしたら野党が一致して安保法制についてやっていけるか、模索している。投票に行く意味、1票を持っている意味を日常の対話のなかで話していけたらいいと感じています」と、決意を語った。
村井弁護士は「安保法制廃止を求めているが、今度の参院で勝っても廃止はできない。しかし、(安保法制では)自衛隊が海外出動する要件として国会承認を求めている。参院で過半数を割ったら、国会承認が成り立たないので、戦争法を使うことができない。このことを多くの人に知ってもらいたい」と訴えた。
シンポで基調講演した中野晃一・上智大学教授(政治学)、阪口正二郎・一橋大学教授(憲法学)もパネリストとして発言した(詳報はコチラ)。【山本 弘之】
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