【中国総領事】多国間貿易体制を共に守り、国際的な公正と正義の擁護を

中国駐福岡総領事 楊慶東 氏

矢は三本束ねれば折りがたい

 米国の新政権が講じた一連の一方的な関税措置は、国際経済・貿易秩序を深刻にかき乱し、各国の正当な権益と発展の権利を著しく損ない、世界経済の回復と成長にも厳しい試練をもたらしている。中国側は、自国の正当な権益および国際経済秩序を守るため、国際法の基本原則および国内関連法規に基づき、米側の関税濫用に対して断固たる対抗措置を講じた。

 最近、米側高官は複数のチャンネルを通じて自ら中国側に対話の意思を伝えた。中国は、世界の期待、中国側の利益、米国の産業界と消費者の訴えを考慮したうえで、米国との接触に同意することを決めた。10、11日に何立峰副総理はスイスでベッセント米財務長官と会談を行った。

 会談は率直で建設的、かつ踏み込んだものであり、実質的な進展が見られ、重要な共通認識に達した。両国は経済貿易協議メカニズムの設立に合意し、詳細を速やかに確定してから共同声明を発表する。

 現在の国際情勢のもと、この会談には国際社会からの強い関心が集まった。双方の努力により、会談は意義深く成果の富んだものとなり、平等な対話と協議による分岐の解決に向けた重要な一歩を踏み出した。これで分岐の弥縫、協力の深化のための基盤と条件が整った。

 米国の関税濫用に断固反対する中国の立場にはいかなる変更もなく、圧力・威嚇・恐喝によって中国を屈させることは不可能である、自国の発展上の利益を守り抜く決意も、国際的な公正と正義を守り、国際貿易秩序を維持するという中国側の立場と目標も変わることはない。米国が対話を口実にして、なおも威圧や恐喝を続けるようであれば、中国側は断じて受け入れないし、ましてや原則と立場、国際的な公平と正義を犠牲にするようないかなる合意を図ることもあり得ない。

 長い間、米国は国際貿易から多大な利益を享受しており、世界中から安価で質の高い商品を輸入し、金融、技術、サービスなどの高付加価値分野では明確な優位に立っている。中米の経済・貿易関係の本質は互恵とWin-Winである。昨年の中米貿易総額は6,800億ドルを超え、中国で事業展開する7万社以上の米国企業が500億ドルの利益を上げた。対中輸出だけで米国の93万人の雇用を創出している。米国のサービス貿易黒字の最大の相手国は中国であり、過去20年間で黒字は11.5倍に拡大した。

 開放こそ進歩をもたらし、閉鎖は必ず後退を招く。経済グローバル化の勢いはせせらぎから大河となり、貿易障壁を引き上げることは刃で水を断つような行為である。いかなる外部からの衝撃も、中国経済の基盤の安定性、優位性、強靭性、潜在力を変えることはなく、質の高い発展の着実な進展ぶりを変えることもない。

 中国は世界第2位の消費市場であり、最大規模の中間所得層を抱えている。今年第1四半期の中国経済は好調で、GDPは前年同期比5.4%増加し、輸出入総額は10兆3,000億人民元に達し、とりわけ輸出は逆風のなかで6.9%増加した。最近、中国は金融政策のパッケージを発表し、経済発展の内生的な力と革新の活力は引き続き強化される。国際情勢がいかに変化しようとも、中国は引き続き開放を拡大し、質の高い発展とハイレベルの開放による確実性で世界の不確実性に対応し、世界各国と発展の機会を共有する。

 融和では平和は得られず、妥協でも尊重は得られない。原則と立場を堅持し、公正と正義を守ることこそが、自国の利益を守る正しい道である、世界各国は正しい選択をしなければならない。一本の木では支えられず、寄り添えば林となる。中国は世界各国と協力を強化し、一国主義と覇権的行為の反対、正当な権益と多国間貿易秩序の擁護を望む。

 中国と日本は重要な隣国で、世界の主要経済体である。経済的利益が深く融合し、互恵的な協力により豊かな成果を上げており、世界経済に対して重要な影響力をもつ。中国は日本とともに、自由貿易と多国間主義を守り、普遍的に恩恵をもたらすインクルーシブな経済のグローバル化を推進し、世界に安定性と確実性を提供していきたいと考える。中国と九州が共に発展のグレードアップとモデルチェンジに取り組むことで、協力強化による相乗効果が生み出されるだろう。

 総領事館は引き続き、実務的な協力の深化に交流の場をつくり、デジタル経済とGX、医療健康、ハイエンド製造、新興産業の各分野で協力のポテンシャルを掘り起こし、新たな成長分野を育成していきたい。

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