NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「参院選において憲法と消費税の視点で投票対象になり得るのは、れいわ、共産、社民の〈護憲三兄弟〉に限られる」と論じた6月5日付の記事を紹介する。
▼【6/20】植草一秀プレミアムセミナー&出版記念パーティー開催▼
衆議院の憲法審査会が毎週木曜日の午前に開催されている。このことについて、国会内に常設の機関を設置して改憲の可能性を検討すること自体が憲法違反であるとの指摘がある。
参議院議員で憲法学者の高良鉄美氏は「憲法制定権力である国民を差し置いて、国民からの要望もないまま国会・議員が率先して網羅的に改憲論議することは憲法構造上『いびつ』」だと指摘する。
日本国憲法99条が定める憲法尊重擁護義務は「国家権力を縛る規律」。99条は国会議員およびその他の公務員に憲法尊重擁護義務を課している。権力者が憲法を逸脱し、憲法および憲法の基本原理を破壊することがないように、政府・権力者に高度の憲法理解・憲法遵守を求めている。その国会議員が、主権者である国民からの要望を検討するということではなく、網羅的に改憲論議していること自体が憲法尊重擁護義務違反である。
憲法違反の疑いが濃厚な、その憲法審査会が暴走を加速させる気配を示している。憲法改正が発議された先に国民投票があるが、国民投票が憲法改定の歯止めにならない可能性が高い。国民投票のルールがなきに等しく、国民投票が資金力で支配される可能性が高いからだ。
そこで、現在の憲法審査会の廃止、憲法改悪発議を阻止するための市民運動が展開されている。5月29日の〈ガーベラの風国会イベント〉でも〈改憲発議阻止デモ〉主催者ならびに参加者が発言された。
衆議院憲法審査会の開催日程に合わせて毎週国会議事堂横、首相官邸前でデモが実施されている。
https://x.com/LQE8iaJpIuN6ELW
6月5日のデモには私も参加させていただいた。
https://x.gd/N5sXu
米騒動のどさくさに紛れて憲法を改変する謀略が進行している。極めて重大な問題。これが本当の〈緊急事態〉である。
憲法審査会の俎上に載せられているのは次の4テーマ。
1.緊急事態条項・選挙困難事態の議員任期延長
2.参議院の緊急集会
3.臨時国会召集期限
4.解散権の制限
このなかで、
3.臨時国会召集期限
4.解散権の制限
については世間一般の抵抗が弱い
憲法は、臨時会の招集要請があれば内閣が臨時会を招集しなければならないと規定しているが、期限の定めがないために内閣が臨時会を招集しない事例が観測された。これを正すために憲法の条文を変えるとの提案。
内閣が内閣の都合で恣意的に衆議院を解散することは権力の濫用。しかし、歴代内閣は恣意的な衆院解散を繰り返してきた。だが、臨時会招集は国会法に定めを置けばよいだけだから憲法改定の必要性がない。解散権抑止は望ましいが、権力を握る自公が内閣の行動を縛る憲法改正案に賛成するとは思えない。
憲法改正についての世間の一般的見解は、世の中に通りやすい改憲案を提示して、まずは「お試し改憲」を強行する。これによって、憲法改定のタブーを取り払ったら、一気に本丸である憲法破壊に突き進む。このシナリオが描かれてきた。ところが、現在の憲法審査会は〈お試し改憲〉のプロセスを省略して、いきなり憲法破壊に突き進む気配を濃厚に示し始めたのだ。
※続きは6月5日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「国政選挙での投票対象政党」で。
▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』
【6/20要申込】
植草一秀プレミアムセミナー&出版記念パーティー開催
6月に新刊『財務省と日本銀行-日本をダメにするカルトの正体-』を上梓する植草一秀氏を講師に迎えて、日本の財政政策の実態を読み解き、経営者が今後の経済環境にどう向き合うべきかを考えるセミナーを開催します。植草氏と直接意見交換ができる貴重な機会です。ぜひご参加ください。
<INFORMATION>
〔日時〕
2025年6月20日(金)午後3時~6時
〔場所〕
福岡市民ホール(小ホール)
〔プログラム詳細〕
講演『財務省の正体とビジネス防衛論』 午後3時~4時半
質疑応答 午後4時半~5時15分
出版記念パーティー(軽飲食付き) 午後5時15分~6時
〔講師〕
植草一秀氏(政治経済学者)
〔参加費〕
1万円(飲食、新刊書籍、書下ろし資料代含む)※要申込
〔お申し込み先〕
専用フォームあるいはTEL、FAXにて
▶ 専用フォーム
TEL:092-262-3388
FAX:092-262-3389
主 催:(株)データ・マックス
※当セミナーの詳細な内容は告知記事にてご確認ください。
<プロフィール>
植草一秀(うえくさ・かずひで)
1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーヴァー研究所客員フェロー、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ(株)=TRI代表取締役。金融市場の最前線でエコノミストとして活躍後、金融論・経済政策論および政治経済学の研究に移行。現在は会員制のTRIレポート『金利・為替・株価特報』を発行し、内外政治経済金融市場分析を提示。予測精度の高さで高い評価を得ている。政治ブログおよびメルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」で多数の読者を獲得している。