門司税関が18日に発表した5月分の九州経済圏(九州・沖縄・山口)の貿易統計速報によると、輸出・輸入ともに前月比で大きく減少したものの、差引額は4カ月連続のプラスとなり貿易黒字を維持した。輸出の減少幅は全国よりも大きいものの、日本全国では貿易赤字のなか、九州経済圏としては輸出超過、貿易黒字となっている。
九州経済圏の5月の輸出総額は8,498億円(前年同月比14.6%減)で、自動車、半導体等電子部品の減少が響いた。輸入総額は7,638億円(同16.3%減)で金属鉱及びくず、半導体等電子部品の減少が響いた。差引額は860億円(同4.1%増)
品目別に見ると、輸出は1位、2位を占める自動車と半導体等電子部品の減少が大きい。自動車は2,180億円(同26.8%減)で、とくにアメリカ向けが403億円(同66.0%減)と大幅に減少した。トランプ米政権の関税政策(自動車は25%上乗せ)の影響が顕著に現れた。また中国向けが541億円(同23.3%減)と減少した。半導体等電子部品は757億円(同33.2%減)で、香港が305億円(同27.1%減)、ベトナムが54億円(同66.7%減)と大幅に減少した。増えたのは映像機器で66億円(同300%増)で中国、アメリカ向けが急増した。
輸入では、1位の原粗油が1,521億円(同9.0%減)となったほか、2位の金属鉱及びくずが775億円(同30.2%減)、鉄鉱石が193億円(同54.0%減)と大幅に減少した。半導体等電子部品も450億円(同33.5%減)と大幅に減少しており、台湾が374億円(同36.7%減)、中国が47億円(同12.3%減)と減少した。
全国で見ると、輸出が同1.7%減、輸入が同7.7%減となり、6,376億円の貿易赤字となった。赤字は2カ月連続で、自動車や鉄鋼など主要品目の輸出が減少したことが響いている。とくに米国向け輸出において自動車が同24.7%減、自動車部品が同19.0%減と大幅に落ち込んだ。
【茅野雅弘】