“財務省の正体とビジネス防衛論”──植草一秀氏が福岡で講演、出版記念パーティーも盛況

 6月20日、(株)データ・マックス主催のプレミアム・セミナーが福岡市民センターで開催された。講師は政治経済学者の植草一秀氏で、「財務省の正体とビジネス防衛論」をテーマに、日本経済の停滞や財政構造の課題、消費税の本質を鋭く解説。講演後には新刊『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』の出版記念パーティーも行われ、参加者との活発な交流が繰り広げられた。

講演会概要

 (株)データ・マックスが企画・主催したプレミアム・セミナーが6月20日、福岡市民センター小ホールで開催された。講師は、Three Nations Research Institute代表の植草一秀氏。演題は「財務省の正体とビジネス防衛論」で、地元企業経営者ら130名が参加し、会場は満席となった。

 講演は、日本経済の構造的課題から始まった。植草氏は、日経平均株価の長期低迷、OECD加盟国中最下位に近い日本の平均賃金、名目GDPの相対的低下をデータで示し、「日本経済は35年間停滞している」と指摘。バブル崩壊以降の失政が、国民生活を圧迫していると強調した。

 次に、「日本財政の基本構造」では、本予算と補正予算の不均衡を批判。「補正予算の多くが不透明な利権支出に流れ、社会保障などの権利財政が圧迫されている」と述べ、「家計に例えれば、月23万円でやりくりする家庭で、別の配偶者が月39万円を浪費している状態」と例えた。

 とくに注目を集めたのは「消費税問題」の解説だ。植草氏は、「消費税は二重課税であり、低所得者に重い逆進性をもつ」と断じ、「法人税や所得税減税の穴埋めに使われ、格差を拡大してきた」と主張。過去の政治家の「シロアリ退治」発言を引用し、消費税の導入と増税の欺瞞(ぎまん)性を糾弾した。

 後半では、「インフレ誘導政策の正体」と「ビジネス防衛論」を展開。インフレが実質賃金を下げ、債務者に有利な一方で労働者や預金者に損失をもたらすと解説。さらに、軍需・ワクチン・気候変動ビジネスを「戦争と恐怖で動く断末魔のビジネスモデル(WPF)」と定義し、こうした構造に警戒が必要だと訴えた。

質疑応答

 講演後の質疑応答では、参加者から実践的な質問が相次いだ。「税制改革下で企業はどう動くべきか」「中小企業の防衛策は何か」といった問いに対し、植草氏は「マスメディアの情報に頼らず、政策の本質を自ら検証することが重要」と回答。情報の見極めと主体的な判断を強調し、参加者に深い印象を残した。

出版記念パーティー

 講演終了後、午後5時10分から同会場で、植草氏の新刊『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』の出版記念パーティーが開催された。

 パーティーでは、植草氏が参加者と直接交流し、講演内容の補足や個別の質問に応じた。とくに、経営者からは「財務省の影響力をどう見極めるか」「今後の経済予測」といった話題が活発に議論され、会場は熱気に包まれた。新刊書籍へのサイン会も行われ、参加者にとって植草氏の知見に触れる貴重な機会となった。

総括

 本セミナーと出版記念パーティーは、植草一秀氏の鋭い分析と参加者の積極的な対話により、財務省や日本経済の課題を深く考える場となった。参加者からは「消費税の真実を知った」「ビジネス防衛の視点が明確になった」といった声が寄せられ、福岡での開催は大盛況のうちに幕を閉じた。(株)データ・マックスは、今後もこうした社会課題を議論するセミナーを企画していく予定だ。

【児玉崇】

植草一秀 (著): 財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体

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