2024年11月23日( 土 )

ヤミ金経営者を脱税で起訴、福岡地検~ヤミ金被害、福岡はいまだ高水準

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福岡市内で九州サポートファイナンスなどの屋号で無届けの貸金業(ヤミ金業)を営んでいた元経営者、松本俊二被告人(56)=福岡市中央区、無職=を、所得税法違反(脱税)などの罪で福岡地検が12月8日、福岡地裁に起訴した。福岡国税局から3月に告発を受けて在宅で捜査してきた。


 起訴状などによると、松本被告人は、貸付金を従業員名義の預貯金口座で取り立て、自身は別会社の従業員であるかのように装い、ヤミ金業で得た所得を確定申告せず、2010年分から2012年分までの所得合計約1億4,000万円を隠し、所得税約4,600万円を脱税した。


 また、2011年1月から2013年11月にかけてヤミ金業に従事していた従業員(年間4~5人)に支払った給料合計約9,400万円に対する源泉所得税約2,900万円を納付しなかった所得税法違反の罪(源泉所得税不納付)でも起訴した。


 松本被告人は、2002年頃から、九州サポートファイナンスなど4つの屋号でヤミ金業を行っていた。

市民団体が98業者を貸金業法違反などで告発

 福岡市でサラ金やヤミ金被害者の相談に応じている「ひこばえの会」によれば、ヤミ金被害の相談は、全国では減少し、東京や大阪という大都市圏でも年間相談者が数人という水準にまで低下しているにもかかわらず、福岡ではヤミ金の相談が年間300件にのぼる。
同会の専従相談員は、「私たちの会では相談全体の8割をヤミ金が占めている。福岡は特異な状況で、かつての090金融が、電柱や電話ボックスにチラシをベタ貼りできなくなり、ネットやスマホに潜っている。利用する側には、ギャンブル依存症などの問題が背景にある」と指摘する。「一度ブラックリストに載るとサラ金業者から借りられなくなるので、スマホなどで『お金貸します』のネットサイト見つけてヤミ金を利用してしまうケースが多い」と語る。


 相談を受けたなかの特徴的な事例として、会社や親族知人の携帯電話番号を提出させ、最初1万円貸し付けて返済を確認後、返済能力の調査を装って「30万円振り込め」と指示し、応じないと「振り込まないと会社に電話するぞ」「振り込まないとキャンセル料がかかる」と強要。振り込みに応じると、「お前がブラックだったから口座が凍結された。ほかに100万円入っていたが引き出せない。100万円振り込め」と要求がエスカレートしていき、結局340万円の被害にあったケースがあるという。


 また、福岡県内の司法書士や弁護士、被害者の会でつくる「福岡クレジット・サラ金・ヤミ金対策協議会」は9日、98業者を貸金業違反や出資法違反の容疑で福岡県警に告発状を出した。同協議会では、毎年、違法業者から被害を受けた相談事例から、被害者の同意を得て、業者を刑事告発している。


 ひこばえの会では、平日午後1時~5時にサラ金などの相談に応じている(電話092-761-8475)。

【山本 弘之】

 

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