九州経済圏、6月も黒字維持も自動車中心に米向け輸出が半減

 門司税関が17日に発表した6月の九州経済圏(九州・沖縄・山口)の貿易統計速報によると、輸出は前年同月比7.2%減の9,797億円、輸入は6.1%減の8,128億円でそれぞれ3カ月、5カ月連続のマイナスとなった。差引額は1,668億円で貿易黒字は5カ月連続。

 ただ、九州の主要な産業で、輸出品である自動車が、アメリカ向け輸出の不振により大幅に落ち込んでおり、構造的なリスクが浮き彫りとなっている。アメリカ向けの自動車輸出額は292億円で、前年同月(1,270億円)から77.0%の減少となった。4月以降大幅な前年同月比減が続いており、減少幅は5月の66.0%(前年同月比)から拡大した。

 アメリカ向け輸出全体でも931億円と同50.4%減となり、輸出が自動車に依拠している構図が改めて浮き彫りになった。アメリカの自動車輸入に対する関税政策に加え、ドル円相場が前年より円高に振れたことの影響と見られる。

 輸出では1位の自動車が全体で2,583億円(同22.1%減)と減少幅が一番大きかった。中国向けも696億円(同14.6%減)となった。一方で、韓国、EU、中東向けは伸びている。

 次に減少幅が大きかったのが鉄鋼で681億円(同18.7%減)。アメリカ向けが43億円(同53.3%減)と半減した。5月に落ち幅の大きかった半導体等電子部品は引き続きマイナスながらも5月の同33.2%減から6月は9.8%減と改善された。

 輸入では1位の原粗油が1,802億円(同12.5%増)と増加した。一方で減少幅が大きかったのが石炭の422億円(39.2%)減、石油製品の441億円(27.5%減)。

 上半期で見ると、輸出は6兆338億円(前年同期比0.9%増)で9期連続のプラス、輸入は5兆652億円(同5.5%減)で4期連続のマイナス、差引9,686億円で4期連続の貿易黒字だった。全国では、財務省の17日発表によると、輸出総額は53兆3,622億円(同3.6%増)、輸入総額は55兆5,780億円(同1.3%増)、差引2兆2,158億円の貿易赤字となった。

【茅野雅弘】

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