2024年11月25日( 月 )

不登校生徒支援の立花学園、前理事長へ不明朗な支払い?(前)

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不登校支援で全国から注目されている立花高校(福岡市東区)を運営する学校法人立花学園(齋藤眞人理事長)の5年前の理事長交代劇をめぐって、前理事長への不明朗な支出を疑わせる「念書」を入手した。福岡都市圏で欠くことのできない不登校支援高校で何が起こったのか。


「不登校生徒が安心して不登校でいられる学校」

立花高校


 立花高校の不登校生徒の自立支援の取り組みが脚光を浴び、齋藤眞人理事長・校長には、全国から講演依頼が絶えない。齋藤理事長は、文部科学省が2015年2月、不登校児童生徒への効果的な支援策を検討するために設置した「不登校に関する調査研究協力会議」の委員も務めている。


 立花高校は、創立57年。創設者の安部清美氏の「一人の子を粗末にするとき教育はその光を失う」を今に受け継ぎ、「不登校を克服する学校ではなく、不登校生徒が安心して不登校でいられる学校」を理念にしている。できないことを嘆くよりもできることを認めていくという「パイルアップ」(積み上げ方式)の考え方で、回り道でいい、各自のペースで一歩ずつ進む、受容の精神が特徴だ。


 文部科学省は、年間30日以上欠席した児童生徒のことを「不登校」と呼んでいる。これに対し、立花高校では「欠席が多いだけの普通の子どもたち」ととらえている。学校に行ければ良くて、行けなければ駄目なのではなく、「学校に行けてなくてもよかよ」と受容の精神で、不登校や引きこもり生徒の自尊感情を満たすことを大切にしている。

齋藤理事長体制で、不登校支援充実

 全日制普通科で、不登校体験者の生徒のためにその生徒の個性に合った時間割編成で学習できるように、単位制を採用し、留年を招かず、3年間にこだわらず卒業を可能にしている。また、前後期の二学期制を導入し、前期入学(4月入学・3月卒業)と後期入学(10月入学・9月卒業)があることで、いったん他校に入学し環境が合わなかった生徒が1年間待つことなく、「入り直し」ができる。
 不登校支援のために地域の公民館などでの学校外教室、特別支援のためのサポート教室などの支援システムを持つ。不登校生徒に特化した高校の数が少ないため遠方からのニーズも多く、通学圏外の生徒に対応するために学生寮を備える。


 私立高等学校間の競合激化により、高校を運営する学校法人の経営環境が厳しいなかで、齋藤理事長体制で、不登校生徒と特別支援受け入れに特化して、定員をオーバーする入学者数を確保している。生徒数は、定員が1学年150人全体で450人のところ、定員をオーバーする515人が在籍している(2015年5月1日現在)。


 齋藤氏は、2004年に教頭に赴任し、前理事長貝原秀輝氏のもとで、07年校長に就任。貝原氏が理事長を務めていた酒田短期大学の中国人留学生への奨学金未払い問題などが起き、2010年6月28日に貝原氏が立花学園理事長を辞任した後、翌29日、理事長に齋藤氏が就任し、理事長と校長を兼務している。(「無節操なリーダーが教育機関のトップ」参照)


 不正常だった貝原体制から新体制への移行前後に関して、NetIB-NEWSでは、同年6月30日、齋藤理事長が貝原氏に差し入れた2通の念書などの写しを入手した。

(つづく)
【山本 弘之・道山 憲一】

 

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