代議士が嘆く、先行き不明
昨夕、ある代議士(福岡県選出)と情報交換した。同氏は3日間、東京に滞在して情報収集に専念している。もちろん、石破首相(自由民主党総裁)をめぐる政局動向を把握したいと必死になっている。なぜならば、衆議院解散となれば、この代議士も即刻、選挙対策を講じなければならないからである。
一言、「行き先、まったく不明。誰彼かまわず聞き回ったが、本音のところ、誰も核心ある見解をもっていない」との困惑気味の発言であった。右往左往する空気に接し、この政治家自身も狼狽しているのだ。「責任を取らない石破首相を絶対に許さない」と憤り、退陣を迫る行動に踏み込めばよいのだが・・・。
本シリーズのテーマである「既存政党が淘汰される時代」において、シリーズ⑤では「アメリカと向き合って日本国益を守るために体を張る政治家がいない」と論じた。この石破引きずり下ろしに体を張って挑む議員がどれだけいるか。身分保全を最優先に立ち振る舞う政治家たちが大半である。政治的立場がどうであれ、今回の石破首相の無責任ぶりには呆れ、怒り心頭に発するはずであるが──。
政治記者・評論家、何も読めず
今回の局面で、自己保身に走る石破首相の策謀を、YouTube上の解説はさまざまに語るが、主張が毎回変わる。たとえば「森山幹事長が小泉進次郎農林水産大臣に幹事長ポストを与えると約束し、次は君が首相になるべきだと断言した」という解説である。「最後まで石破政権を支える」という情報まで流した。冷静に考えていただきたい。いくら「馬鹿の極まり」と一部評論家から批判を浴びる小泉代議士でも、政局の大枠を読む能力は有している。結果として、石破陣営への肩入れの動きは鈍い。このYouTube政治評論家は最近は沈黙している。
政治的立場の違いからの激評はどんどんやれ
保守派の評論家が「石破は極左である」との批判を展開しているのを聞き、失笑した。何を言っても構わないが、政治用語の常識から外れた用語法を駆使する批判には呆れる。批判は大いに結構であるが、的確な政争の見通しを述べていただきたい。
こちらの政局の決着見通しをまとめる。石破首相の粘りの支えは何か。「政治信念の裏付けから粘っている」という説は、まったく信じられない。要は、権力の味を舐めすぎて手放したくない、というのが本音である。そこを押さえれば、石破首相の最終決断は「孤独になっても、1人になっても、衆議院解散の策動に走る」ということになる。策動に走っても、潰される可能性は高い。
(了)