斎藤元彦知事問題を精力的に取り上げている元テレビ朝日法務部長の西脇亨輔弁護士が9月6日、「斎藤元彦陣営『立花さんが本当の話を…』動画発覚!『立花二馬力知らない』答弁崩壊か!」と銘打ったネット番組を配信した。これまで斎藤知事は会見で、立花孝志氏との二馬力選挙を知らないと何度も答えてきたが、その答弁を突き崩す動画を西脇氏は紹介したのだ。
ネット上で拡散している西脇氏注目の動画は「ふくまろネットニュースチャンネル」が昨年11月5日の斎藤知事個人講演会を撮影・公開したもので、今(9月7日)も視聴可能。(https://www.youtube.com/watch?v=00e4U2wOUso)。
ここで斎藤知事とともに講演会場に現れたサポーターの森田氏が冒頭で挨拶、こう切り出していった。
「知事選がスタートして、もうすぐ1週間が経とうとしていますが、神戸の方でいろいろYouTubeとか見ていますと、もう斎藤さん、すごい人気が、どちらかというと、もう盛り返してきているような状況です。1人でこの選挙に立ち向かわれている選挙です。何とか皆さまで応援していただきたいなと本当に思っています」
続いて森田氏が立花孝志氏との二馬力選挙について、「皆さんのなかで、この現在の状況というか、N党の立花さんがSNSとかYouTubeで報道されている内容をご存知でしょうか」と聴衆に聞いたときのことだ。それまで森田氏の隣で冒頭挨拶を聞いていた斎藤知事が横に移動、画面に映らなくなってしまったのだ。
その後は、森田氏だけの独演会映像となり、次のように続けていった。

「(立花氏の発信について)ご存じの方、手を上げてください。ああ皆さん、結構(ご存じですね)、はいはい、ありがとうございます。本当にあの人がすべてはっきり言ってくれている。ある部分、こんな応援があるのかと思うぐらい、あの人を見直しているというか、初めはあの人の名前を聞くだけ『これ、ちょっとまずいな』という気もしましたけれども、本当に斎藤さんがいえないことを彼が全部言ってくれています。本当にパワハラの問題であったりとか、元県民局長を自殺に追い込んだとか、全部、斎藤さんのせいにされている状況です。これを立花さんが、全部、本当の話を皆さんに訴えてくれている状況なので、何とか、あの地上波だけでは全然その報道はされませんので、我々1人ひとりが声、その声をいろいろな人に伝えていくというのがこの選挙で一番大きなところかなと思いますので、皆さん、よろしくお願いしたいなと思います」
立花氏の話を広げることが斎藤知事(当時は候補)再選のカギと強調、二馬力選挙を進めていこうと訴えていたのだ。ただし、この後でマイクを握った斎藤知事は、立花氏についてまったく触れることはなく、再選後の知事会見でも知らぬ存ぜぬの答弁を繰り返していたのだ。
しかし知事支持派の高見千咲・姫路市議は、県知事選の選対会議で立花氏のことが話題になり、斎藤知事話が放っておこうという趣旨の発言をしたと教えてくれた。動画公開サイトのフランス10で「話題沸騰!斎藤知事支援の高見千咲・姫路市議に横田一がインタビュー」と銘打った約1時間の動画を視聴可能だが、関連部分は以下の通りだ。
https://www.youtube.com/watch?v=bh_VVnqFTBo 43分45秒~

――選対会議では「立花さんの援護射撃、心強いね」とかという話は出ていたのですか。
高見市議(以下、高見) いや、「心強いね」という話は出なかったのですが、「どうする」「どうする、どこまで手を組んでいくのか」というみたいな感じの話は若干出た覚えがありますね。その時も、止めようもなかったではないですか。なので、ちょっと様子を見ていこうみたいな。「擁護してもらう分には悪い方向には働かないのではないか」という声のほうが大きかったですかね。
ただ、あまり関係性を強く結びつけられてしまうとマイナスに働くかもしれないし、今回、立花さんへの見方がいい方向に変わったという人も多いですけれども、やはりこれまでの印象として立花さんは都知事選のこととか、結構、あまりいいイメージがない人が多かった。そういう人と組むとなると、マイナスに働くのではないかという心配はありました。正直なところは。
――親密な関係が深いということはあまり印象づけずに。
高見 そうですね。なので、こっちは淡々とやって行って、向こうが同じ場所で街宣するとかは止めようがないし、「やらないでくれ」という必要性もないので。
――斎藤知事を擁護してくれるのなら。
高見 勝手にさせておこうと。
――プラスに働くかもしれないと。
高見 プラスに働くかもしれないというレベルでしたね。(プラスに)働くかも分からない。もしかしたら立花さんが擁護することで何か胡散臭いと思われるかもしれなかったし、それは、それは反応として皆さんがどういうような印象がついたかは分からなかったのですが、でも私の個人的な感覚としては、斎藤さんがあまり相手のことを強く批判したりするタイプではないので、それの補佐役的な。
――(立花氏と斎藤知事で)役割分担をすると。
高見 そうそう。(役割分担)みたいな感じで、相手の悪いところを「わー」と指摘していくみたいな人がいてくれるのは、いいたいことを言ってくれる人がいるのは助かる面もあるのではないかと思っていましたけれども。
――なるほど。違うタイプなので、お互いの特徴を生かして二馬力選挙をやれば、プラスになるだろうと。
高見 斎藤さんはクリーンなイメージというか、人の悪いところを言わずに自分の正義を貫くのですというきれいなイメージを保ったまま、でも、(立花氏の街宣によって)向こうの悪いところを主張できるということになるではないですか。だからイメージ戦略としても「ありではないか」と私は思いましたけれども。
――選対会議では、斎藤知事とかはどういうことを言っていたのですか、立花氏に対して。
高見 立花氏に対して、あんまり、そんなに反応していなかった気がしますね。何か、「まあ別にやってもらう分には勝手にやってもらったらいいのではないですか」みたいな。
――そういう発言をしたと。
高見 それぐらいの。
――感想を述べていたと。
高見 そんなに「嫌です」とも「やっていきましょう」とも言っていない。私たちがやるべきことを私たちはやっていこうというぐらいの感じでしたね。
――立花氏を止めようもないし、勝手にやっているのだから、でもプラスになる要素もあるからまあ放って置こうかみたいな反応を斎藤知事はしていた。
高見 だと思いますね。
この高見市議発言を7月2日の斎藤知事会見でぶつけたが、斎藤知事は立花氏二馬力選挙については知らないという立場を変えなかった。
――立花氏の二馬力選挙について最後まで考えをはっきり述べられていませんが、これ立花氏は県知事選で自らの当選を目的にせずに、斎藤知事を応援に回ったと。だからビラとかポスターとか政見放送はほかの候補よりも斎藤、立花陣営は2倍できたと。これ明らかな不公平な選挙で、公選法違反の疑いが極めて高いと思うのですが、今でも問題だと違法性が高いという考えではないのですか。元総務省の官僚出身なのに、何でそのおかしいといえないのか不思議なのですが…。
斎藤知事(以下、斎藤) ご指摘は真摯に受け止めたいと思います。私としては先ほども答えたかもしれないが、前回の選挙については候補者の1人として、自分がやるべきことをしっかりやってきたということですね。
――県(知事選)の選対会議で高見千咲市議がリモートで参加した、県知事選の選対会議で斎藤知事は立花氏について、「勝手にやってもらったらいいのじゃないの」というふうに発言したというふうに、証言しているのですが、選対会議はリモートで開かれていましたよね。それは間違いないですよね。
斎藤 選挙に関することについては、私がここでコメントすることは差し控えたいと思います。
斎藤知事と私との質疑応答は平行線のままで終わったが、西脇氏がネット番組で紹介した県知事選中の個人演説会動画と並べ合わせると、斎藤知事の答弁は崩壊、会見で嘘をついていた可能性が高いことが浮き彫りになるのではないか。
この問題は斎藤知事会見や県議会で取り上げられるのは確実だろう。今後の追及が注目される。
【ジャーナリスト/横田一】