榛葉幹事長が玉木総理誕生ヤル気なしの本音発言──高市新総裁アシストの麻生別動隊か?

 公明党の連立離脱で高市首相誕生が危ぶまれる一方、玉木首相誕生の可能性が急浮上しつつあった10月11日、「趣味は玉木雄一郎」が口癖の榛葉幹事長から玉木総理誕生ヤル気なしの本音発言が飛び出した。兵庫県神戸市で開かれた党員・サポーター集会(候補募集説明会)で、冒頭頭撮りを終えた報道関係者の退出後、集会参加者に「動画を撮ってもいいが、絶対に外には出さないで」と釘を刺したうえで、本音丸出しのトークを始めたのだ。

榛葉幹事長「自民党は(自公)連立でも過半数ないのに、連立相手の公明党に愛想をつかされた。『さあ、いよいよ立憲民主党チャンスだ。野田さんを総理にして頑張るぞ』と思ったら、『みんなで玉木と書こう』と。立憲も維新も本気になっているのならいいよ。冗談半分でやっている。維新は維新で『立憲と国民(民主)がまとまるなら考えてもいいよ』と言っている。どこに本気度があるのですか。どこにこの国を何とかしようという本気度があるのですか」

 玉木首相誕生に後ろ向きな発言を口にした榛葉幹事長は、首班指名での政権交代を目指す野党がとてもではない飲めない条件を次のように示したのだ。

「(立憲民主党は)れいわと共産にも『玉木雄一郎と書いてくれ』と言っている。『共産党は原発再稼働を認めるのですね。安保法制を認めるのですね。憲法改正やるのですね』と認めるわけがない。立憲もれいわも所詮、批判勢力だということが分かってしまった。本気でないということ。連立を組むそれぞれの党首や幹事長が全員そろって『今日から私の趣味は玉木雄一郎です』と言ってくれるなら(首班指名での玉木首相誕生を)考えるよ」

 国民民主党ナンバー2の榛葉幹事長が「趣味は玉木雄一郎」というのを問題視するつもりはないが、他の野党の党首と幹事長が全員そろって「今日から私の趣味は玉木雄一郎です」ということを首班指名選挙での連携条件にするのは無理難題としか言いようがない。他党幹部に“玉木代表信奉者”になれということは、国民民主党に吸収合併されるような状態に近いからだ。到底飲めない条件を突き付けることで、玉木総理誕生を阻もうとしているとしか見えないのだ。

 首班指名での政権交代に否定的な発言は、集会後の囲み取材でも繰り返された。「政策実現のためには玉木総理が近道だと思うが、なぜ目指さないのか」と榛葉氏に聞くと、「理念が大事だからです」と回答。そこで「理念も一致させればいいのではないか」と再質問をすると、「共産党が原発賛成してくれますかね。そういう問題を含めて理念が大事です」と榛葉氏は言い出したのだ。

 これには唖然とした。公明党の連立離脱で、仮に共産党とれいわ新選組が玉木代表投票で足並みをそろえなくても、立憲と維新と国民民主党が足並みをそろえば、自民党票を上回る。首班指名選挙での玉木首相誕生の前提条件ではない両党の基本政策一致を理由にして、政権交代ひいては政策実現を阻もうとしているとしか考えられないのだ。

 榛葉氏の回答に納得ができなかったので「国民民主と立憲と維新の三党で首班指名に勝てるではないか。共産、関係なくて」と問い質したが、榛葉氏は私の質問には答えずに「その他、ありますか。はい」と言って囲み取材を打ち切った。そこで立ち去ろうとする榛葉氏に向かって以下のような声掛け質問をしたが、振り返って答えることはなかった。

「麻生さんとつるんでいるのか。政権交代を阻もうとしようとしているのではないのか。言っていることとやっていることが違うのではないか。(麻生副総裁に)漫画を返しながら密談をしたのではないですか。高市さんの方がいいのか」

 首班指名選挙での政権交代に否定的なのは玉木代表も同じだった。

 同日(11日)の大阪駅前での玉木代表街宣後の囲み取材でも、「(基本政策について)立憲と協議をして合意をしているではないですか、政策について」と聞くと、玉木代表は次のように答えた。

「それも、4月に合意文書が連合を介してできているが、肝心の平和安全法制について違憲かどうかとか、原子力発電所を動かすかどうかについて、大事なところは合意しないということを合意している。だからいま私が求めているものとはレベルが違う。逆に双方で合意できるところだけ書いた文書になっているので、本質から逃げた文書になっている。だから立憲さんには議論することによって党内が割れてしまうとか、そういう懸念があるからあたり障りのないところでまとめたのだと思うが、逆にあの文書はよく読んで、読みました? 読んだらわかると思うが、私が申し上げたような最も本質的な安全保障やエネルギー政策について『合意できません』というのを合意している」

 言い訳にしか聞こえなかったので、私は「もう一回(協議を)やって総理になって政策実現をすればいいのではないか。逃げているのではないか」と再質問をしたが、玉木代表は「それは立憲さんに聞いてください」と回答。そこで「高市さんの方がいいのか。玉木総理のほうが良いのではないか」とも聞いたが、玉木代表が質問に答えることはなかった。

玉木雄一郎    そこで囲み取材終了後、玉木代表に大声で声掛け質問をし続けた。

「裏金(議員)復活の高市政権のほうが良いのか。玉木総理より、裏金(議員)復活の高市政権、高市総理のほうが良いのか。麻生さんと闇取引でもやっているのではないか。麻生さんと密約しているのではないか。総理大臣、なんで目指さないのか。できない理由ばかり言っているのではないか。覚悟がないのではないか、玉木さん。こんなチャンス、めったにない。総理ポスト取ったほうが政策実現できるのではないか。逃げていないでください。日和ってばかりいないでください。『逃げの玉木』と呼ばれますよ」

 しかし、玉木代表は私の声掛け質問に一言も答えることはなかった。総理大臣になる絶好のチャンスを生かそうとしない玉木代表の言動は不可解そのものだ。政策実現には総理ポストを取ることが一番の近道だし、それによって「手取りを増やす」政策実現をすることもできる。「対決より解決」が国民民主党の口癖だが、政権交代によって「課題解決」をしないのは言行不一致としか言いようがないのだ。

 「国民民主党は結局、麻生別動隊のような政権補完勢力で、高市首相誕生をアシストしてようとしている」という疑問は膨らむばかりなのだ。首班指名選挙は10月21日となる見通しだが、今後の国民民主党の対応が注目される。

【ジャーナリスト/横田一】

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