2024年12月26日( 木 )

2016年流通業界「垣根を超えた再編連携加速もチャンス到来の年」

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office_akusyu マルミヤストアと丸久の経営統合で幕を空けた昨年の九州流通業界再編の主役は「2強プラス1極」という流れが決定づけられた。
 ダイエーからの衣替えを終えたマックスバリュ九州やイオン九州らイオングループ。九州地区で「丸和」を展開する広島のユアーズを買収したイズミ。今年の再編もこの3社が主導する可能性が高い。進化を続けあらゆる業態の脅威となっているコンビニ業界の再編も進んだ。ファミリーマートが「サークルKサンクス」を展開するユニーグループ・ホールディングスと経営統合に合意。3位と4位の統合で2位のローソンを抜き首位のセブンイレブンを伺う。そのローソンもポプラら中堅との資本提携を進め業態開発を進めている。

 3強への収れんが決定的となった年だった。好調を維持し出店を重ねたのが、ドラッグストアやディスカウントストアなどの低価格勢。出店余地が狭まる間隙を縫って業績を伸ばしている。ただし、既存店ベースの伸びが一巡した企業や店舗によって出店時期を見合わせるなどかつてほどの勢いを失いつつある企業も生じた。
 昨年はネット通販による消費が加速した年でもあった。アマゾン、楽天らが店舗網を有するコンビニと連携。実店舗とネット販売を融合させた「オムニチャンネル」が盛んに叫ばれるようになった。セブン&アイはグループの専用サイト「オムニ7」を立ち上げて本気でシェアを取りにきた。単独企業にとっては厳しさを増す経営環境が映された。こうしたなかで強烈な追い風となったのが訪日客による「爆買い」だった。各社が免税品の取り扱いや新設で売り込みに注力。地理的環境などで恩恵度合いには差はあるものの、多くが消費増税後の停滞を取り返して余りある実績を上げた。

 2016年は更なる海外客の増加が見込まれることに加え、新たな博多に新たな大型店が開業する。博多駅の「KITTE博多」と核テナント「博多マルイ」は昨年末のマイングのリニューアル開業など存在感を増し続ける博多駅地区の更なる活性化は必至だ。実際に博多阪急、博多デイトス、アミュプラザ博多らを運営するJR博多シティはこれまで増収を続けており今年は売上高1,000億円を伺う。
 天神エリアはリニューアルや海外客対応を強化した。厳しいなかにも明るい兆しが見えるが、こうした時期に次ぎの一手をどうするかで明暗は分かれそうだ。コンビニ業界で圧勝するセブン&アイも「オムニ7」はまだ手探りの状況だ。訪日客の勢いがどこまで続くかも未知数。ネット通販と海外客の将来を見通すのは難しい。ただ、海外客向けのネット通販は企業規模や業態に関わらず大きな市場があることを知った企業は続々と参入を始めた。知名度の低い企業が一気にブレイクすることもありうる。一方で、年々人材確保は困難さを増している。いかなる方策で優秀な人材を囲い込むかも今年の各社の優劣を決める要素になる。これまで以上に業界情報の目を凝らし、さまざまな方位から情報を発信していく所存だ。

【執行役員 流通事業部長 鹿島 譲二】

 

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