新たな飛躍「ソフトバンク2.0」の高みを目指す孫正義(3)
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当然、こうした経営体制の激変は、内部に動揺をもたらしている。
「孫さんはずっと社長できたから、社長に使われる社員の身になって考えられない。下からすると、孫さんの前にニケシュたち外国人幹部が関門として立ちはだかるから、やりにくくてしょうがない」――そうこぼす中堅幹部もいる。
ある経営中枢で働く管理職も、こう打ち明ける。「とにかくインド人の人は、よくしゃべる。しゃべりはうまいしプレゼン上手。それでみんな『そうなのか』と、やられちゃうけれど、でもホントに実現できるのか、うまくいくのかな、と思えるときも少なくありません」。
別の日本人幹部は、「孫さんと直接コンタクトが取れていない状態がずいぶん続いている」と困った表情で打ち明ける。
かくして、お手並み拝見というぎくしゃくした空気が醸成されている。それには、アローラ氏の165億円という破格の報酬も作用しているだろう。「何せ時給500万円ですからね……」と社員の1人。このあまりにもべらぼうな高額報酬に社内から冷ややかな声が上がるのは当たり前だが、アローラ氏がすかさずソフトバンク株600億分を自分で買うと言い出してから、多少雲行きが変わったという。アローラ氏のはたく600億円は、自ら借り入れをするなど個人資産を充当し、ソフトバンクから融通するわけではない。「自前で600億円分も株を買うというのには幹部社員の多くが驚いた」と、社内事情に明るい関係者は打ち明ける。
「社内で澎湃として湧き起こっていた批判や雑音を封じ込めるのに効果的だった。だれもが『すげーや』と思ったからね」。(つづく)
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