8日投開票の衆院選について、メディア各社は「自民党は単独過半数(233議席)を大きく超える勢い」と報じているが、これまで連立を組んでいた公明党とその支持団体である創価学会の持つ票が各選挙区に2万から3万票あるとされ、自民党関係者などからは「公明票が相手方に流れ、厳しくなる」との声が聞かれる。
国政選挙は中道に
福岡県南の八女市では、次のようなことが起きている。八女市は、福岡7区に属し、農村地域で古賀誠元自民党幹事長の支持が強かった地域だ。
保守的な価値観が根強いが、近年変化もみられる。2024年11月の八女市長選挙で自民党が推薦した元副市長の候補が、経済産業省官僚出身の簑原悠太朗氏に敗れた。同市長選をめぐっては、自民党八女支部や農政連支部が両陣営に分裂し、熾烈な争いとなった。
地元代議士の藤丸敏氏は古賀氏の元秘書で、公明党とも非常に関係が深かった。旧民主系は大牟田を中心に旧社会党系の労組が支えてきたが、自民には遠くおよばなかった。
前回選(24年10月)でも藤丸氏の7万9,029票に対し、立憲の亀田晃尚氏は4万7,444票と、3万票以上の大差をつけられた。
ところが、昨秋の自公連立解消で、立憲民主党と公明が合流し、中道改革連合が結成され、旧公明を支える創価学会票が中道から立候補した亀田氏に流れることになる。
古賀誠氏の危機感
危機感もあってか、古賀氏の元秘書で自民党県連副会長の井上忠敏福岡県議会議員(小郡市・三井郡選出)も、公示日に八女市内で行われた出陣式に参加していたという。以前、井上県議は「八女市長選に対して古賀先生は『中立』で、前市長との関係で藤丸氏が元副市長を応援した」と内情を語っていた。旧八女郡選出の市議のなかには地元県議の桐明和久元議長ではなく、井上氏を通じて古賀氏に陳情することもあったという。
地元市議は「市議会では公明との関係は続いているが、国政選挙は中道に行くでしょう」と述べたうえで、「藤丸氏の集会もおつきあいで参加している人が多かった」「農政連幹部などが引き締めを図っているが、期日前投票が従来よりも少ない」と語った。
「おつきあい」とはどういう雰囲気かとの問いに対し、市議は「熱量を感じなかったし、同じ会場を使った県議選(23年4月)の参加数よりも少なかった」(地元市議)と回答した。支持基盤の農業関係者が消極的で公明票を失うとなると、高市人気があるとはいえ安心できないだろう。
1月29日に自民党本部は、鈴木俊一幹事長と古屋圭司選挙対策委員長の連名で「急告」を出し「選挙戦はこれから本番」「1票でも多く得票できるように奮闘しなければ勝利は望めない」と訴えた。
「近く古賀先生もお見えになり、てこ入れを図るようです」「公明側にアプローチもあるかもしれない」(地元関係者)。全国道路利用者会議最高顧問を務め、現在も政界に強い影響力を持つ古賀氏であるが、藤丸氏を落とすわけにはいかない。
長年、無風状態にあった福岡7区も今回は激しい戦いとなることが予想される。
【近藤将勝】








