高すぎる不動産が阻む韓国の経済発展(後)
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不動産価格の高騰は企業の競争力を弱め、生産的な投資を停滞させる要因にもなる。不動産が高騰すると、労働者にとっては住宅費用などが高くつき、結果的に生活費の上昇を意味する。企業にとってもオフィスや工場の費用が上昇するので、設備投資などの足かせになる。不動産が値上がりしてコストが高くなると、国内企業はコストの安い海外移転を考えるようになるし、海外企業の国内誘致も困難に陥る。つまり、生産的な部門に資金が投入されず、簡単にお金儲けができる不動産にどっと資金が流れる現象が起こるのである。実際、企業の経営者からは自嘲的な話をよく耳にする。「自分は会社を経営するために20年近くこつこつ働いて、結果は30坪くらいのマンション一つ。一方で資金を不動産に投資した人はマンションをいくつも持つ結果になっている。世の中、間違っている」という話である。そのような社会ムードは企業家を育成するよりも拝金主義に走る人の増加につながっている。
不動産の高騰は韓国経済を不安定化し、政府にとってもまともな政策が実行しにくい状況を生み出している。不動産があがり続けると、普段、不動産にあまり関心のない人でも、自分ひとりだけ取り残されるような気持ちになるので、少し無理をして不動産ブームに参加することになる。これからも住宅が値上がりすると見越して銀行からお金を借りて住宅を購入したが、2008年世界金融危機以降、住宅価格が安定し、住宅が上がるどころか下がるようになり、いわゆるハウスプアが生まれたのだ。
それから、韓国政府はこのような状況下で住宅価格が下がると、どのような危機が待っているかを誰よりも良く知っているので、どうしても実施できる政策が限られてくる。今までの土地神話が崩れ、住宅の価格が下がり始めるのを経験するようになった2008年後半からは人々は住宅を購入するよりは全貰を選択するようになった。しかし、韓国政府では住宅価格を下支えするため、金利を下げたり、お金を借りやすくしたりと、不動産を支える政策ばかりをとって来た。
不動産の高騰は、韓国社会に低出産と結婚率低下ももたらした。大手企業の正社員なら別だが、結婚して生計を立てることに自信をなくした青年も多く、それゆえに結婚をしないのである。結婚をしたとしても子供を生まない夫婦も増えている。このような状況下でも、政府は問題を解決するどころか、不動産を刺激するような政策をとり続けるのはわけがある。韓国の金融機関の経営層、国会議員、高位官僚、政治家など政策を決定する層は皆、不動産をいろいろ所有していて、自分に不利な政策には決して乗り出さないのだ。
昨年末から未分譲のマンションが急激に増えたり、不動産市場にも異変が生じている。膨らみ続ける家計負債を抑制するためのローンの規制、経済成長率の鈍化、米国の金利上げによる金利上げへの不安などで不動産市場に黄信号がともっている。他の国に比べて高すぎる不動産の問題を解決しないと韓国経済に成長は望めない。
(了)
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