博多旧市街に新拠点「HAKATA 縁 TERRACE」 出来町公園にぎわい施設、27年秋開業へ

HAKATA 縁(EN) TERRACE
ニュースリリースより

 20日、福岡市は博多旧市街エリアの出来町公園(福岡市博多区博多駅前1丁目)で進める休養施設等整備事業について、優先交渉権者らが提案する「HAKATA 縁(EN) TERRACE」の概要を公表した。観光案内、飲食、地域交流、防災機能を備えた複合拠点として整備し、2027年秋の供用開始を目指す。

 福岡市が公募していた「出来町公園休養施設等設置・管理運営事業」で、優先交渉権者に選ばれたのは(株)プレジデントハカタを代表企業とするグループで、構成員は(株)井上輝美建築事務所プラス都市開発研究所、(株)百田工務店、古賀緑地建設(株)、(株)JTB、(株)ふく富グループ。

 計画地となる出来町公園は、博多千年門や承天寺、東長寺など歴史資源が集積する「博多旧市街」エリアの玄関口に位置する。市は、御供所地区における回遊性向上やにぎわい創出、観光客・公園利用者の利便性向上を目的に民間活力を活用した再整備を進めてきた。

出来町公園(GoogleMap)

「HAKATA 縁(EN) TERRACE」の提案概要

 提案では、公園を中心に「歴史・文化・人が交わる開かれた縁側空間」を創出するとしている。1階には観光案内ブースや休憩スペースを設置し、「博多ガイドの会」と連携して街歩きの起点機能をもたせる。映像やパネルで博多部の歴史や変遷を紹介し、周辺施設への回遊を促す。

 飲食機能としては、地域住民や観光客が楽しめる店舗に加え、「明太子道場」や、承天寺のうどん発祥伝承にちなむ「うどん道場」など体験型コンテンツも盛り込む。さらに、プロジェクションマッピングを活用し、博多の伝統文化を遊びながら学べる空間づくりを掲げる。

 施設にはWi-Fiやユニバーサルデザインに配慮したトイレ、多目的広場と連動した休憩スペースを整備。オフィスワーカー、観光客、地域住民など多様な利用者が気軽に立ち寄れる拠点を目指す。加えて、防災倉庫を設け、災害時には地域防災拠点としての役割も担う。

 今後は2026年4月から設計・工事に着手し、2027年秋の供用開始を予定する。

HAKATA 縁(EN) TERRACE
ニュースリリースより

博多駅前の「通過点」から「滞在拠点」へ

 今回の計画の本質は、公園整備そのものではなく、博多駅前と旧市街エリアの間に存在していた「素通り空間」を滞在拠点へ変える都市戦略にある。博多駅利用者の多くは駅周辺商業施設で完結し、寺社や歴史街区への回遊は限定的だった。

 福岡市は近年、「FUKUOKA NEXT」に象徴される都心機能強化と同時に、博多旧市街の歴史観光資源活用を進めている。今回の出来町公園整備は、商業都市・博多駅前と歴史都市・旧博多を接続する結節点づくりといえる。

 民間主導で収益施設を導入しつつ、防災・観光・地域交流を複合化した点も特徴だ。単なる公園再整備ではなく、「稼ぐ公共空間」への転換モデルとして、今後の福岡市内他地域への波及も注目される。

【寺村朋輝】

▼関連記事
出来町公園の休養施設、優先交渉権者にプレジデントハカタG』(26年4月2日掲載)

関連記事