2024年12月23日( 月 )

常に新しさを求め、既成概念が築く見えない壁を打破せよ

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ファブスコ(株) 代表取締役 江藤 邦彦

社員に一企業家としての気骨を求める

ファブスコ(株) 江藤 邦彦 代表取締役<

ファブスコ(株) 江藤 邦彦 代表取締役

 売上を順調に伸ばし、今期25億円の売上を目指すファブスコ(株)。初年度売上が2億円だった頃は4名だった社員が、今は31名に増えた。「これからも良い人材を採用していきたい」という江藤邦彦社長は、まさに人は財産でもあると率直に語っているかのようだ。今後も「社員1人ひとりが企業家であれ」という考えをモットーに、一層社員教育に力を入れる。将来の管理職として育つ職員に対し独立精神を期待しているところに、外資系企業で営業のノウハウを培って独立した江藤社長ならではの価値観が反映されている。

 F1が好きな江藤社長は、本田技研工業を一代で築き上げた本田宗一郎氏の本の愛読者。本田氏の、「社員のチャレンジ精神を大切にする姿勢」、それと同時に「やるなら責任を持て」と厳しく指導し、必要とあらば激しく叱咤するという方針に強い共感を覚えた。「要は怒られたことをプラスに捉えるかマイナスに捉えるかという本人の問題です。本田氏のように『石橋は叩かずに渡れ』というチャレンジ精神を持つのはすごく良いと思います」(江藤社長)。江藤社長自身、優秀な営業成績を上げていた前職を辞めベンチャー企業家への転身を図ることで、本田氏の言葉を実践した。さらに右肩上がりの売上高という結果を出して、今も成長中だ。

 長年在籍する社員は新規採用にも関わらせているが、その際、会社が雇用する職員というより、「自分の部下を採用するつもりで面接に臨むように」と指示している。「会社が成長していけば、経験のある社員は当然会社の上層部に立つようになります。自分が仕事を任せられる人材を選ぶつもりで採用してほしい。そうすれば責任を持って新人を育てるでしょうし、新人教育に面白味を感じることでしょう」と、自分の腕で仕事の舵を取る醍醐味を社員にも体験させようとしている。
 優秀な社員の集合体として企業を育てようとするのなら、社員に企業家のような独立性を求めるのは矛盾しているようにも思えるが、「そこは独立していいと思いますよ。独立した元社員と資本提携関係ができればいいし、ゆくゆくはホールディングス化しても良いでしょう」と期待を寄せる。それだけ気骨のある人材を求めているのだ。

福岡市に新しい企業を育てる土壌を

 成長のためには現状を打破し続けることを厭わない江藤社長は、最近、福岡市に対してはがゆさを感じている。東京や大阪で商談することが多いため、自然と九州を客観的に見るようになった。以前は人間的なつながりが深くて良いところだと思っていたそうだが、今は新規事業を興そうとすれば目に見えない壁がそれを拒み、誰もその壁を打ち壊そうとしないという閉塞感を覚えている。新しい企画を積極的に取り入れようというチャレンジ精神に欠けている。そのために、若いベンチャー企業が育たない、それこそ新しい風が吹かない都市になってきていると感じている。

 「グローバル創業特区をアイランドシティにつくろうという発想自体、ベンチャー企業の本質を理解していないことの現れです。交通網が発達した動きやすい中心部でなくては育ちにくいことがわからないのでしょうか」と手厳しい。「このままだと、優秀なベンチャー企業は東京や大阪へ流出していくかもしれません。福岡を活性化させていくには、行政自体が新しい血を取り入れ、管理をきちんと行わないことには始まりません。そのためにはもっと民間企業の血を取り入れて、企業的な視点を持つべきでしょう」。成長するベンチャー企業の代表として、福岡市が既成概念に捕らわれたまま形骸化するのではないかと苛立ちを隠せずにいる。成長のためには壁を壊すことを恐れず実践してきた江藤社長らしい気骨が、言葉になって迸る。

※記事内容は2015年8月31日時点のもの

<COMPANY INFORMATION>
ファブスコ(株)
代 表:江藤 邦彦
所在地:福岡市博多区博多駅前2-15-15
設 立:2011年12月
資本金:5,000万円
TEL:092-432-2323
URL:http://fabsco.co.jp/

<プロフィール>
etou_pr江藤 邦彦(えとう くにひこ)
1975年生まれ。(株)ヤナセ在職中に、エネルギービジネスに興味を抱く。2011年には、15年間勤めたヤナセを“卒業”。ファブスコ(株)を設立した。全国を飛び回りながらネットワークを形成する巧みさには定評がある。

 

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