福岡・新宮町で進む区画整理、3社共創の大規模マンションも

住宅整備が先行する
下府土地区画整理事業

新宮町と福岡市    新宮町は、立花山や新宮海岸といった豊かな自然環境に加えて、JR新宮中央駅と西鉄新宮駅を擁し、福岡都市圏への通勤・通学にも適した立地特性から、主にベッドタウンとして発展を遂げてきた。近年は子育て世帯を中心に人口定着も進んでおり、同町の人口は3万3,153人(2026年5月末時点、「人口・世帯数の推移(住民基本台帳)」参照)で、25年2月以降は3万3,000人台で安定推移を見せている。同町では妊娠・出産期から産後、乳幼児・子育て期と、状況に応じた子育て支援や、玄界灘に浮かぶ離島・相島における空き家活用移住促進事業などを実施している。こうした支援施策の充実も、子育て世帯の暮らしやすさや、転入の後押しにつながっているものと考えられる。

下府土地区画整理事業位置図 新宮町公表資料より
下府土地区画整理事業位置図 新宮町公表資料より

 新宮町では現在、22年12月から27年7月までの事業期間で、「下府土地区画整理事業」に着手している。施行区域面積は9.1haで、同地区側には国道3号から福岡市東区三苫を結ぶ県道湊下府線のほか、国道495号も通り、JR新宮中央駅およびJR福工大前駅、西鉄新宮駅の3つの駅がいずれも徒歩圏内と、相応の交通利便性が確保されている。総事業費は30億円。近隣にはドラッグストアや複合娯楽施設・新宮ドームなどのロードサイド店舗があり、相乗効果に期待がかかる。

3棟建ち並ぶサンパーク新宮EXIA
3棟建ち並ぶサンパーク新宮EXIA

 施行区域内では、(株)しまむら(埼玉)による「(仮称)新宮ファッションモール」(26年12月オープン予定)や「(仮称)マックスバリュ新宮下府店」(施工:田代建設(株)、26年12月オープン予定)のほか、新たな人口の受け皿となる、個人による店舗付きマンションや、全73区画の大型分譲住宅地「ブライト・クレスト新宮」などの住宅整備が先行。なかでも注目されるのが2つの新築分譲マンションで、1つが大英産業(株)による3棟構成の「サンパーク新宮EXIA」。そしてもう1つが、(株)谷川建設とミサワホーム九州(株)、ミサワホーム(株)の3社による「THE BRIGHTON ALBIO(ザ・ブライトンアルビオ)新宮」だ。とくにザ・ブライトンアルビオ新宮は新宮町最大級の全167戸を計画し、設計・監理を(株)JIN建築設計、施工を上村建設・アスミオ.JVがそれぞれ担当する。竣工は28年2月末、入居は同年3月末を予定している。

ザ・ブライトン-アルビオ新宮建設現場
ザ・ブライトン アルビオ新宮建設現場
外観完成予想CG THE-BRIGHTON-ALBIO新宮公式サイトより
外観完成予想CG THE BRIGHTON ALBIO新宮公式サイトより

新街区を象徴するプロジェクト

 ザ・ブライトンアルビオ新宮は、JR新宮中央駅および福工大前駅まで自転車で5分程度、西鉄バスの人丸バス停留所までは徒歩4分程度の立地となっている。建築物の概要はRC造・地上12階建、延床面積14,063.16m2の全167戸。間取りは2LDK~4LDKで、これまで木の家づくりを追求してきたハウスメーカー3社による共同プロジェクトという点でも注目される。外観デザインには、自然豊かな新宮町に溶け込む、山の稜線のような安定感のあるフォルムが採用され、エントランスホールには、和の伝統的な造作として知られる格天井、壁面には上品で柔らかい印象の諫早石を取り入れることで、木や石などの自然素材を生かした空間とした。このほか、随所に木の家づくりで培われてきた意匠やノウハウが反映されており、谷川建設・ミサワホーム九州・ミサワホーム3社の建築思想が息づく希少プロジェクトとなっている。

 周辺には、既存のものから今後開業予定のものを含め、日常使いできるドラッグストアやスーパー、飲食店などが集積しているほか、新宮小学校・新宮中学校も徒歩圏であり、住環境・子育て環境としての期待値も高い。

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 新宮町では現在、新たな成長の基盤づくりとなる「下府土地区画整理事業」と、「三代土地区画整理事業」が同時進行で進んでいる。

 下府地区ではまちづくりのコンセプトとして「暮らしやすさを実感できるまちづくり」を掲げ、新たな生活拠点づくりが進められている。住宅整備が先行した影響もあり、計画人口は当初の約700人に対してすでに990人を見込み、世帯数は当初の280世帯に対して395世帯(26年6月取材時点)となっている。JR新宮中央やJR福工大前駅、西鉄新宮駅、そして学校に近い立地を生かしながら、将来を見据えた、歩いて暮らせる環境づくり、さらに浸水対策や避難機能の強化まで視野に入れた整備が進んでいる。単に宅地を増やすだけではなく、安心して住み続けられるまちをつくる発想が一貫しているからこそ、若い世代や子育て世帯にとっても魅力の高い地域として期待されているものと考えられる。

三代土地区画整理事業も進行中
三代土地区画整理事業も進行中

    三代土地区画整理事業は、新宮町の成長を「居住」だけでなく「産業」や「防災」の面から支えるプロジェクトといえる。施行区域面積は35.2ha、計画人口約370人で、総事業費は108億円。商業施設、物流・工業施設、住宅を組み合わせた複合的な土地利用を進め、防災活動拠点である新宮東中学校や新宮ふれあいの丘公園を支えるまちづくりを目指している。加えて、東西をつなぐ都市計画道路三代・的野線の整備は、南北方向に比べて弱かった町内交通の骨格を補い、町の東部発展にもつながる可能性をもつ。住む場所を増やすだけでなく、働く場所、支える場所、災害時に機能する場所を同時に整える点で、三代地区は下府地区と合わせて、新宮町の将来像を一段引き上げる役割を担っている。

 新宮町でも、いずれは人口減少局面に入ることは避けられないだろう。重要になるのは、減少局面に入る前に何を準備できるかだ。下府で暮らしの質を高め、三代で産業と防災の基盤を築くことができれば、新宮町は単なるベッドタウンではなく、「住む」「働く」「育てる」「支え合う」がそろった、持続可能な生活都市へと進化できるはずだ。人口が増えることだけを目標にするのではなく、人口が落ち着いた後も選ばれ続ける町になること、そこに新宮町の本当の成長余地がある。

新宮町内で散見されるマンション開発 写真は穴吹工務店によるザ サンズ新宮中央建設地
新宮町内で散見されるマンション開発
写真は穴吹工務店によるザ サンズ新宮中央建設地

【代源太朗】

木に癒され、
新たな交流を育む住まいへ

(株)谷川建設
代表取締役 谷川喜一 氏

(株)谷川建設 代表取締役 谷川喜一 氏    ──居住地としての新宮町のポテンシャルや魅力をどのように感じられますか。

 谷川 新駅開業や再開発・土地区画整理事業によってまちの利便性や魅力が向上すれば、そのまちに住みたい人は増えるものです。2010年のJR鹿児島本線・新宮中央駅開業を機に、15 年の国勢調査における新宮町の人口増加率は約23%を記録し、同増加率で全国市町村のトップになりました。続く20年の調査でも、全国11位の人口増加率(約8.5%)となっています(※1)。また、福岡県内で住宅地の地価が13年から13年連続で上昇していますが、福岡県内で13年連続上昇しているのは、福岡市と新宮町、粕屋町です(※2)。福岡市東区に隣接し、博多や天神などのビジネス拠点に近いにもかかわらず、手の届く価格で住宅が購入できる点も、人口増加を促しているものと推察しています。

 新宮町の年少人口割合(0~14歳)は約17%で、県内市区町村で最大、全国でも11 位(※3)です。子育て層に選ばれる理由として、都心への通勤利便性、商業利便性に加え、豊かな自然環境が挙げられます。新宮町では、24年10月から第2子以降の保育料を無償化するなど、独自の子育て支援施策を実施(※4)しており、子育て層をサポートしている点も魅力だと感じております。

 ──今回、下府土地区画整理事業の施行区域内でマンション開発に踏み切った決め手は、何だったのでしょうか。

 谷川 生活環境としては必ずしも駅に近くなくてもいいですし、小・中学校やスーパーマーケットが徒歩圏にあり、商業施設は新街区内にも予定されています。自然環境にも恵まれており、何より新街区では新しいコミュニティが生まれます。とくに若い人が増えれば税収も安定し、まちの成熟にもつながっていきますので、将来的にも大きな可能性がある土地だと感じており、下府エリアでのマンション開発に踏み切りました。

 ──ザ・ブライトンアルビオ新宮では、これまでハウスメーカーとして培ってきた知見を、どのようにマンションの商品企画に落とし込まれたのでしょうか。画一的な集合住宅ではない、この物件ならではの特色を教えてください。

 谷川 私ども谷川建設は「木の家づくり」にこだわり、ミサワホームさんは「木質パネル工法」の家づくりを推進されています。本件ではハウスメーカーとして「木」をどのようにアレンジできるかを追求し、外観や住戸内などに木を積極的に使用しました。木はやさしさであり、ぬくもりです。都市の近くに位置しながらも、豊かな自然に恵まれた新宮町だからこそ、心身のゆとりを主眼に置いた木に癒される家づくりをしたい。ザ・ブライトンアルビオ新宮は、私たち3 社だからお届けできるマンションだと自信をもっています。

 ──全167戸・2LDK~4LDK という大規模かつ幅広いプラン構成にされた狙いは、どこにありますか。

 谷川 総戸数167邸のスケールメリットを生かし、屋外テラスに出られる「ラウンジ」やテレワークに対応する「スタディルーム」「ランドリー」などの共用施設を設置しました。共用施設で育まれるコミュニティは、災害時共助の礎になります。ファミリータイプ中心なので、子育て仲間の輪も広がると思います。また、駐車場は総戸数167邸に対し、199台分・119%が確保され、車2 台所有も可能です。全区画平置き式で、大型車にも対応しております。24バリエーションの多彩なプランから選べるのも本物件の魅力と感じております。さまざまな世代との交流を、このザ・ブライトンアルビオ新宮で育んでいただけると信じています。

※1:総務省統計局「平成27年国勢調査」「令和2年国勢調査」参照
※2:福岡県「令和7年地価公示の概要」参照
※3:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(25年1月1日現在)参照
※4:2026年6月出稿時点

下府整備で描く次の成長
住宅・商業・交通の結節点へ

新宮町長 桐島光昭 氏

新宮町長 桐島光昭 氏    ──新宮町の魅力をどのように見ていますか。

 桐島 新宮町は、福岡市への通勤・通学の利便性が高く、JRや西鉄の駅が使えることに加え、道路環境にも恵まれています。新宮中央駅前の発展以降、居住地としての人気が高まり、とくに若い世代や子育て世帯に選ばれる町になってきました。学校の近さや通学のしやすさ、地域のつながりが残っていることも大きいと思います。暮らしやすさと都市圏へのアクセス、その両方をもっているのが新宮町の強みです。

 ──下府土地区画整理事業は、まちにとってどのような意味をもちますか。

 桐島 下府エリアは、これからの新宮町の居住機能を支える大切な受け皿です。計画としては住宅が中心ですが、幹線道路沿いには商業機能も配置し、生活利便性の高いエリアにしていきたいという思いもありました。すでに戸建住宅やマンションの整備が進み、実際に入居も始まっています。駅に近い立地でもあり、働く世代や若い人たちの転入がさらに進むのではないかと期待しています。

 ──どのような街並みを思い描いていますか。

 桐島 新宮町の西から東までを結ぶ1本の軸ができることで、その沿線に人の流れが生まれ、賑わいが出てくると考えています。そこに商業施設が立地し、住宅地が広がることで、暮らしと交流の拠点になるはずです。実際、ドラッグストアなど出店ニーズの高さも感じています。下府土地区画整理事業は、単なる宅地開発ではなく、新宮町の新しい都市軸をかたちづくるものになると見ています。

 ──事業を進めるうえでの、苦労された点について教えてください。

 桐島 区画整理は、家を建てるだけの事業ではありません。道路の線形調整、水道管やガス管への対応、移転補償、補助金の確保、そして地権者との調整など、非常に多くの解決すべき課題があります。下府土地区画整理事業でも、そうした協議を1つひとつ積み重ねながら進めてきました。ただ、その苦労があるからこそ、将来的に整然とした、住みやすく魅力あるまちが実現できると思っています。

 ──今後の展望を聞かせてください。

 桐島 新宮町は今後も、若い世代が住み、働き、子育てできる町でありたいと思っています。下府土地区画整理事業はその象徴的なプロジェクトですし、ここで終わりではなく、周辺も含めた将来の土地利用や道路ネットワークの広がりも視野に入れています。暮らしやすさに加えて、賑わいと活力のある町へ。下府土地区画整理事業は、次の成長を支える大きな一歩になると考えています。

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