変わり続ける『今』を把握し即応する
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日建建設(株) 代表取締役 金子 幸生
危機から見えてきた地力と課題
日建建設(株)は1950年3月の設立以来受け継がれてきた地盤をさらに育みながら、より良い住環境の提案、施工に努めてきた。祖父、父、そして現代表の金子幸生氏と、経営のバトンをつないでいくなかで、場所がもたらす利便性、建物がもたらす機能性の両立を常に意識し、快適な空間の提供に尽力してきた。『快適さ』の基準は、環境問題、グローバル化の波、そして超高齢化社会の到来とともに、常に変容し続ける。同社は社会のニーズを先読みし、手がける物件は常に最適なものにして提供してきた。集合住宅をはじめ、公共施設に商業施設、そして介護施設まで幅広く施工実績を持ち、提案できる生活空間は多い。また、多様化するニーズに応えるため、2000年8月に住宅施工を専門とする(株)三京をグループ会社とした。スピードの速い時代に対応する新体制を整えた。同社の順応力がいかに高いかは、その実績と行動力からうかがい知れる。
もちろん長く営業しているからこそ、大きな問題にぶつかることもある。金子代表は、とくに苦慮したのが先のリーマン・ショックだったと語る。「マンション工事の回収の見込みが立たなくなり、色々と手を尽くしても状況が好転するどころか悪くなる一方でした。経営者として舵を取っていくことの難しさを、改めて痛感しました。それでも、これまでお世話になってきた皆さまのおかげもあり、何とか切り抜けることができました。そして危機を乗り越えることができたからこそ、少なからず自信を持つこともできました」。
受け継いできた地盤、そして自らの経験を武器に自信を深める金子代表だが、同社の今後を楽観視はしていない。「この2~3年、建築費の高騰が続いています。大体2~3割といったところでしょうか。そうすると心配になるのが、マンション価格への反映、そして福岡の市場がその状況にどこまで耐えられるのか、わからないということです」。
中央区の再開発など好材料はあるものの、物を建てたところで買い手がいない、そうなってしまってはどうしようもない。金子代表はそういった市場が孕むリスクの見通しがつかない難しい状況のなか、経営者として今後を考え、新たな分野への挑戦を考える。しかし、そういった考えをめぐらせるなかで、必ずと言っていいほど立ち塞がるのが、職人さん確保の壁だ。「福岡だけじゃないと思いますが、受注していざ施工しようとしても、職人さんが足りないという状況が必ず生まれるんです。ただでさえ少ない職人さんは、やはり条件の良いところへ流れてしまいますから、将来のことも考え、自分のところで『人を育てる、取引先との信頼関係を深める』といったことが急務であると感じます。もちろん現場だけでなく経営サイドも同じです」。
引き継いでいくために
金子代表が経営にも人材をと考えるのは、やはり先にも挙げたリーマン・ショックの影響がある。「これから先も、地場で堅実に仕事を受注し企業として生き残っていきたいと考えております。しかし何が起こるのかはまったく分かりません。今後、不測の事態を前にしても、会社の舵をきちんと取れる人材を育てていかなければなりません」。
祖父から父へと受け継がれてきた経営のバトン。そして地盤を、さらに磐石なものへと磨き上げた金子代表。その経営を、今度は自分が次の世代へと引き継いでいく番がめぐってくる。「日建建設は今年設立65周年を迎えたのですが、これだけスピードの速い時代ですから、設立70年を迎える頃には、恐らく弊社を取り巻く状況もかなり様変わりしていると思われます。状況に振り回されず、柔軟に対応のできる、そんな後継者を育てていきたいと思います」。
地場を中心に活動する福岡建築界の雄が見せる、次なる進化に注目したい。<COMPANY INFORMATION>
日建建設(株)
代 表:金子 幸生
所在地:福岡市中央区六本松3-16-33
設 立:1950年3月
資本金:5,000万円
TEL:092-731-2434
URL:http://www.nikken-co.jp<プロフィール>
金子 幸生(かねこ ゆきお)
1968年4月16日、福岡市生まれ。西南学院大学法学部卒。福岡地所(株)を経て95年5月、日建建設(株)入社。2002年1月、代表取締役に就任。関連キーワード
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