久保田医師、発達障害の発症メカニズムを佐賀市議会で解説
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25日、佐賀市議会で、福岡市中央区の久保田産婦人科麻酔科医院の久保田史郎院長が、「日本の周産期医療を見直す―産科医からの緊急提言」と題して講演。厚生労働省が推奨している出産直後のカンガルーケア(早期母子接触)、完全母乳哺育、母子同室の問題点・危険性を指摘する久保田院長は、講演のなかで、さまざまに特徴がわかれる発達障害の発症メカニズムについて、重症黄疸、低血糖症、飢餓状態などの要因のうちどれが最も大きく作用するかで特徴が決まるという持論を展開した。講演は、佐賀市議会議員のほか、医療福祉分野に携わる佐賀市職員が聴講した。
久保田院長が指摘する日本の出産医療の問題点とは、出産直後の乳幼児における(1)母乳以外の摂取を認めない『完全母乳哺育』に陥る栄養不足、(2)胎内温度(38℃)と分娩室の室温(25℃)の環境温度差による寒冷刺激からくる低体温症、(3)寝た状態の母親に乳幼児を抱かせることのうつ伏せの危険をはじめ、多岐にわたる(詳細は、同院ホームページに掲載)。
久保田院長の「発達障害の発症メカニズム」とは、上記の問題点が引き起こす低血糖症や重症黄疸などのうち、大きく作用したもので特徴が変わるというもの。たとえば、重症黄疸は行動を司る小脳に影響し、善悪の判断がつかない行動パターンの原因に。また、飢餓状態は、脳の興奮を抑えるグリア細胞の機能障害につながり、繰り返し運動の原因になるという。
昨年(2015年)3月、久保田院長は、今回の講演と同様の内容を、政府・与党である自民党の障害児者問題調査会でも講演したという。その甲斐あってか、昨年12月、厚生労働省は、早期新生児期において、「母乳や育児用ミルクといった乳汁の種類にかかわらず、母子の健康の維持および健やかな母子・親子関係の形成のための支援が提供されるよう」との周知徹底を、関係機関および施設に依頼している。これは久保田院長が強く求めていた『完全母乳哺育の撤回』と言えるのではないだろうか。
聴講した佐賀市議からは、「(新生児が)素人が見てもわかるチアノーゼを起こしていたり、手足が冷たかったりするなど、新生児ケアに疑問を持った」という経験談が語られた。久保田院長は、発達障害の発症メカニズムについて、子の障害が遺伝の問題となった場合、子づくりへの意欲が削がれることから「遺伝子説は少子化の原因」と指摘する。昨年は週刊誌でも話題になった著書「カンガルーケアと完全母乳で赤ちゃんが危ない」(小学館)を出版するなど、久保田院長は開業医として出産医療に携わりながら、現場から警鐘を鳴らし続けている。
【山下 康太】
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