今こそ若手育成や業界環境改善を考えるべき
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(株)サンコービルド 代表取締役社長 園村 剛二
さまざまな分野の事業でノウハウを蓄積
(株)サンコービルドの前身は、1972年8月に三井鉱山(株)(現・日本コークス工業(株))の子会社として設立された三井鉱山堅抗トンネル掘鑿(株)である。三井鉱山グループ内では建設部門的な役割を担っていた同社は、83年2月に三鉱建設工業(株)へと商号を変更し、86年6月には福岡市博多区へと本社を移転させた。97年には現在の本社所在地に移転し、不動産分譲にも進出していった。「シベール」ブランドとして福岡市および県内各地でマンション分譲や宅地分譲事業を展開させ、地場建設会社としての基盤固めを行っていった。
2004年4月、三井鉱山からの支援を受け、サンコービルドとして独立を果たす。その後はマンション、オフィスビル、教育・公共施設、医療機関、福祉施設、一般住宅、ホテル、商業施設など、幅広い分野の工事を手がけるとともに介護・福祉事業を運営するサンコーケアライフ(株)との経営手法の共有、それを生かした営業展開で福岡・九州各県を中心に堅実な経営を続けてきた。
08年には弓場建設(株)が展開するマンションブランド「ユーミーマンション」のフランチャイズに加盟。また、同社グループ企業が所有する老人福祉施設や賃貸マンションに太陽光発電設備を設置するなど、さまざまな取り組みを行っている。14年2月には持ち株会社のサンコーホールディングス(株)を設立し、次代の組織構築を目指している。このホールディングス制の導入は、社内的な整備と協力会社との技術体制の整備が主な狙いだ。若年層の育成がカギ
建設業界は長らく低迷していたが、アベノミクスでの公共工事の増加や需要の高まりなど、少しずつ好転している。「福岡の建設業界も、ここ5年間は仕事に困らないだろう」(業界関係者)との声も聞こえてくる。
一方で、職人不足が常態化しているのが今の建設業界だ。この現状については、「福岡では、一時期に比べると労務単価も良くなってきているので、若年層も入ってくるようになったと感じています。しかし、入りたての若者たちはまだ技術を持っていないため、事故も起こりやすい。弊社では社員の安全を第一に考え、入社から2年経つまでは先輩社員を同行させます。ですので、現場を単独で任せることはありません。少しずつですが、この業界に興味を持ってくれる若い人材が増えたことは大変嬉しく思います」と園村剛二社長は笑顔で語る。
だがこれは、同社が若者たちをきちんと育成できる土壌をつくっていたからこそ言えることだ。『現場で職人たちと相談しながら、無理なく仕事を進める』『徐々に仕事の幅を増やしていき、能力に見合った責任を持たせる』などといった細やかな配慮が、同社の高い定着率にもつながっている。
地場建設業者の強みを生かしたい
近年、福岡市では新たな空間と雇用を創出するプロジェクト『天神ビッグバン』などの再開発計画もある。こういった再開発について、「建設業者としては再開発を積極的に行うことに対しては賛成です。ビルの立て替えなどが地域活性化につながれば、景気ももっと良くなるでしょう。併せてインフラ整備なども行ってもらいたいですね」と園村社長。続けて、「今は地場業者と大手業者の技術的な差は、ほとんどないと思います。地場業者はお客さまに一番近い位置にいますし、福岡の環境も理解しているので、もっと地場業者を頼ってほしい」と言う。その言葉からは、自社だけでなく、業界全体を考える姿勢が垣間見えた。
未来を見据えた堅実経営でより良い業界環境を築く同社に、期待したい。
※記事内容は2015年8月31日時点のもの
<COMPANY INFORMATION>
(株)サンコービルド
代 表:園村 剛二
所在地:福岡市博多区博多駅前1-31-17
設 立:1972年8月
資本金:9,900万円
TEL:092-414-6610
URL:http://www.sanko-bld.co.jp/<プロフィール>
園村 剛二(そのむら ごうじ)
1950年6月生まれ、福岡県出身。82年4月に三鉱建設工業(株)(現・(株)サンコービルド)に入社。2002年6月には取締役に就任。その後、常務取締役(08年6月)を経て、09年4月に代表取締役社長に就任した。趣味はゴルフ。関連キーワード
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